濫読屋雑記

濫読屋雑記

2006年07月26日
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前回、6月21日に書いたときからずいぶん時間が経っていますが、 課題図書で戦争話を、の続きを書いてみたいと思います。 。取り上げる本は、同じく ゲイリー・ポールセン 著、 林田康一 訳『 少年は戦場へ旅立った 』(あすなろ書房、2005年)です。

少年は戦場へ旅立った


それにしても、これまで何度も「 続きはまた今度 」と言う言葉を使ってな~んにも書いてこなかった事やら・・・。今回は夏休みに入って学校図書館&その他のゴタゴタから一時的に開放され、ホッとしたら、「 これからのお話は、依然コレもブログで紹介した マーチン・ファン・クレフェスト 著、 佐藤佐三郎 訳『 補給戦 何が勝敗を決定するのか と絡めて前線への移動や戦場の様子を書いてみたいと思いますので」という文句を、『 補給戦 何が勝敗を決定するのか 、と言う教育に携わる人間としては少々問題のある発想で、カーソルを叩くことにした次第であります。失礼しました。('◇';ゞ敬礼!

補給戦


前回は、「 延々と砦にて訓練ばかりを行い、戦闘へ行く事もなく、フロンティア警備のための砦に展開している正規軍と交代させられるのではないか?という噂が飛び交う中、ついに指令が出て前線と移動することになるのですが 」という、いよいよ前線へ出動する直前でお話が終わっていました。今回は、 チャーリー 少年が訓練を受けた ミシシッピー川 上流の スネリング砦 から硝煙漂う最前線へ行軍する様子を描いた第3章「 マナサスへ向かって 」を中心に毎度の如く紹介&解説をしていきます。

チャーリー 少年が訓練を受けたのは ミシシッピー川 上流の スネリング砦 でした。この砦はひょっとすると、アメリカ合衆国建国以前、まだ ミシシッピー川 流域がフランス領(アメリカは1803年に、ルイジアナをナポレオンから買収したのです)であった時代からの 交通の要衝、若しくは原住民との毛皮などの交易地があった場所だったのかもしれません 実は19世紀半ばになっても (そして一部は現代でも) アメリカは鉄道網が整備されるまでは河川交通に頼っていたのです 。そして、あの有名な西部開拓も 幌馬車! というイメージがあるかもしれませんが、開拓者たち川船や艀(ハシケ)、筏(イカダ)で目的地近辺まで移動してから幌馬車に乗り換えて開拓地まで向かったのです。

アメリカの地図を見てみると、 ミシシッピー川 は何と南はメキシコ湾から北はカナダ国境、五大湖のひとつ、スペリオル湖の付近まで記載されています。 ちょうど、アメリカ東部を南北に縦断するかのようです。そして、そのような大河には支流が東西南北それぞれに枝分かれしているのです。ですので、未開のフロンティアを苦労しながら陸路を文字通り切り開いて進んでいくのと、たとえ川の流れに逆らっても、風の力、帆や人力、オールを使って川を使って旅をするのが効率的だったのです

さらに、 船は馬車よりも大量の荷物を運ぶ事ができました 。例えが日本の中世のお話になって恐縮ですが、当時、陸路では馬や牛、一頭に米俵は無理をさせて三俵が精一杯でした。畿内などの道が整備されたところでは荷車も使われていましたが、それでも無理して十俵程度しか積めませんでした。それに、そんなに積んだら牛馬や荷車に負担が掛かりすぎて長距離を運べません。ところが、 船ならその何倍もの米俵を積んで運ぶ事ができました 。あやふやな記憶で申し訳ないのですが、大坂から京に至る淀川で通常使われる川船は二十石くらいの大きさだったそうです(米俵二十俵分積めるという意味だったはずです、たしか・・・)。この例からも、 船による輸送が労力やコストの面からも優れている事が容易に分かるかと思います 。そして、この例は洋の東西を問わないお話でした。隋の皇帝・ 煬帝 (ヨウダイ)が大運河を作らせたのも、 江南、つまり長江流域の豊富な物資を都の洛陽まで運搬させる事が目的だったのです 。そして、 その大運河はその後の大唐帝国発展の礎となり以後、中国の物流の大動脈となるのです 。その一端が 田中芳樹 さんの『 纐纈城綺譚 』(表紙画像無し)に描かれています。

また、 ヨーロッパではイギリスが河川交通で発展した国の代表格でしょうか 。産業革命初期に、鉄道、というよりスティーブンソンが実用的な蒸気機関車を発明するまでは、 イギリスの石炭などの各種物資は、すべて河川とそれを繋ぐ運河によって運ばれていたのです 。それらは、馬に引かせた(運河や河川には、岸に引き馬用の道が整備されていたのです。そして、場所によってはトンネル!まで掘って運河を整備していました。閘門式運河なんて当たり前です!!)船や艀に載せられ、なんとリバプールからロンドンまでイングランドを横断し、果てはスコットランドまで水上交通網が延びていたのです。 これら水上交通網の発展は、運河の通行料を目当てにした大土地所有者である貴族やジェントリたちの投資があったためです

ですので 鉄道開業当時、貴族やジェントリたちは運河の通行料削減を恐れて鉄道の建設に反対し、それが鉄道のスピードと輸送力が河川交通を凌ぎ太刀打ちできないと知るや、今度はこぞって鉄道に投資したのです 。丁度、この鉄道大投資&大発展の時期が 森薫 さんの『 エマ 』(汽車が表紙を飾っている『 エマ(3) 』を)の時代、 ヴィクトリア朝前・中期となるのです 。そして、同様にドイツではライン川やエルベ川、フランスではセーヌ川、ガロンヌ川にローヌ川(共にワインの産地です!)、東欧ではドナウ川が河川交通の大動脈となり、とくに ドイツではライン川沿いのルール地方が石炭と鉄鉱石の産地であること (イングランド北東部も同じでした) により、ヨーロッパ最大の工業地帯が誕生することとなったのです 。また、ライン川とドナウ川も運河で結ばれていて、これまたヨーロッパ大陸を西から東まで横断できるのです。そして 現代では、環境保護の観点からトラックよりも一度に大量の荷物を運べる河川交通が見直されてきているそうです 。でも、 近年の異常気象の影響、熱波と降水量の減少で運河の水位が下がってしまい、河川交通網の現状は大変な状況だそうです

エマ(3)


では、申し訳ありませんが、「 範囲内(半角 8~10000 文字)の長さの文字列を入力して下さい 」の警告がまた出たので、 一度、お話を切りまして続きはすぐ後へと持っていきます





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最終更新日  2006年07月28日 01時26分16秒コメント(0) | コメントを書く


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