濫読屋雑記

濫読屋雑記

2007年06月13日
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カテゴリ: 手に取った本
はい、 今日は私が心から愛する火器の中で、時々これを使って腹の立つ相手を粉微塵に吹っ飛ばすのに丁度良いな~、と妄想する大砲 (あとは、蜂の巣にするのに丁度良い散弾銃も良いですが)、 その中でとくに日本ではこれまであまり紹介されたことのなかった前装砲の歴史について概述したその題名もずばり 大砲の歴史 』著者 アルバート・マヌーシー 、訳者、 今津浩一 (ハイデンス、2004年10月、表紙画像なし)を紹介&解説していきたいと思います。

この本を簡単に説明しますと、 先にも述べた前装砲(先込め式の旧式大砲)についての解説書となります。この本を読めば、大砲の発展史、アルキメデスから日露戦争までの大砲の種類、火薬、砲弾とひととおりの知識を得ることができる本です

当然、アルキメデスの時代には火薬はありませんので、中世ヨーロッパの攻城戦で用いられたカタパルト(投石器)や、バリスタ(古代大型石弓)、そして時代は少々下りますがトレビュッチョ(攻城投石器、前方に巨大な重しをつけて、反動と遠心力を利用して重さ150kg以上の石弾を300m以上発射する事が可能な兵器)などの紹介で本書は始まっています。

火薬の登場 」というとこで火薬と大砲の起源が語られ、次の「 最古の大砲(ボンバード射石砲) 」という章から本格的な大砲のお話へと入っていきます。この章では、巨大な射石砲、オスマン・トルコが1453年のコンスタンチノープル包囲戦で使用した巨大な青銅鋳物砲、最大のものは重さ19トン!300kgの石弾を1日に7発も発射する事ができた大砲の解説、射撃方法や大砲を操作する集団(ギルド)と君主(雇用主)との関係などが説明されていて、興味深いものがあります。

さらに「 16世紀の大砲 」、「 17世紀の大砲(グスタフ・アドルフの改革) 」、「 18世紀の大砲 」「 19世紀初頭の米国砲 」、「 ライフル(砲腔への施条) 」、「 南北戦争 」(この時代に火器、小銃から大砲にいたるあらゆる兵器が爆発的に発展した時期です)、「 20世紀初頭の大砲へ 」という感じで、大砲の進化の歴史が解説されているのですが、 どうも記述内容が、アメリカやその周辺の事象に偏っているのですよね 。何でだろうと、後ろの「 訳者あとがき この本は米国公園局出版の 」と書いてあります。そして、 原作者もアメリカが植民地であった時代に建設されたセント・オーガスティンとそれを守るサン・マルコス砦(フロリダ州にあるスペインが建設した要塞)の歴史に「深い興味を持ち、深く研究した」とあるので、なんで米国偏重なのかが理解できました

こんな感じで大砲の歴史の説明が終わると次は、「 火薬 」の解説に移ります。「 火薬の配合と保存法 」、「 点火 黒色火薬の改良 」の3つの章からなるこの部分では、火薬を調合する際の混合比率からどの大砲には、どのような火薬をどれだけ装填すればよいのか、そして大砲の点火方法の改良の歴史と、黒色火薬の特徴や改良、黒色火薬の粒化や燃焼速度に関する記述、無煙火薬発明後の黒色火薬の利用法などが書かれています。

お次が「 大砲の種類 」で「 滑空砲-初期 」では、 ファルコン砲、カルバリン砲、カノン砲などめいめいに勝手な名称がつけられた当時の大砲を、発射する砲弾の重量や発射角度によって分類し一覧表にしてある辺りは芸が細かく、非常に参考になりました 。また「 滑空砲-後期 」ではそれまで、煩雑で用途ごとにばらばらに作られてきた大砲が、国家の統制の元、例えば清教徒革命の時代のイングランドでは6・9・12・18・24・32・42ポンド砲へと口径で区分し、大砲の生産に画期的な改革を行った事が解説されています。この他には「 要塞砲と艦載砲 」、「 攻囲攻城砲 」、「 野砲 」、「 ホーウィッツァー砲 」(17世紀、オランダで発明された臼砲より軽くカノン砲より大きな炸裂弾を高い弾道で発射する事ができる大砲)、「 臼砲 」に関して、砲架の構造、とくに英米仏スペインなどの、砲架の機動性や据え付け、照準方法や砲身への装飾などに関する記述が大半を占めています。

その次が「 砲弾 」となって各種砲弾の解説に入っていきます。「 実態弾 」(ただのむくの鋳鉄の弾丸からぶどう弾、棒弾、船の索具を破壊するためのチェーン弾などなど)、「 炸裂弾 」、「 信管 」、「 散弾 」(とくに艦船のカロネード砲などに使用されたブリキの缶の中にマスケット銃の弾丸を数百発詰めた代物など)、「 焼夷弾と科学弾 」、「 カートリッジ 」(一体型砲弾)そして最後に「 ロケット弾 」(アメリカの国家で有名ですね)とそれぞれの弾丸の種類や特徴などを記述してあります。

そして最後に、「 砲手の道具 」と題して大砲に付属する各種の装備の解説があり、続いて「砲術の演習」と題する箇所では、大砲をどのように装填し発射したかを手順毎の人員の配置方法を図示して、発射手順を事細かに解説しています。

また、巻末には「 用語集 」があり、小難しい技術用語に関する簡単な説明が載っています。

ただこの本、 装丁も印刷も安っぽく、一見するといいかげんな自費出版書みたいに見えるのです 。しかし、 意外に内容はソコソコ読める代物です 。ただし、 著者が描いたというイラストは、すべて白黒である上、中には画質が不鮮明であったため、図解されている内容がよく分からないものもありました

ただしこの本、 近代以前の先込め式大砲に関する日本語の資料がきわめて乏しい現状で、その具体的なイメージを掴むのになかなか優れた本だと思いました 大砲がお好きな方は一度、読んでみると良いと思います。ただ、1500円出して買うには少々微妙な本であるので、図書館でリクエストして取り寄せてもらうか、購入してもらったほうが良いとお勧めします






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最終更新日  2007年06月14日 01時57分58秒
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お~~~い  
余菱  さん
悪いけれどトピずれだ。
ホンモノの岡田斗司夫がカキコしてくれた。
見てくれ~、花開富貴さんならことの重大さがわかるだろう。

あまりに愛想がないので、一言。
ティーフティンの120mm滑空砲は、実戦使用されたのか教えてください。
(2007年06月14日 21時57分14秒)

ギャオー!!!  
花開富貴  さん
余菱さん、キマシタネ~。

>悪いけれどトピずれだ。
>ホンモノの岡田斗司夫がカキコしてくれた。
>見てくれ~、花開富貴さんならことの重大さがわかるだろう。

ハイ、これはシャンパン抜いて祝うべきほどの事態ですね♪しかし、まさか当人からとは・・・。素晴らしいです。

私のところにも某ナポレオン戦争本の訳者さんから、宣伝のお礼と無事初版売り切れの報告があったのですが、それ以上ですね。

>あまりに愛想がないので、一言。
>ティーフティンの120mm滑空砲は、実戦使用されたのか教えてください。
-----
チーフテンは、確か中東、イランやヨルダン、オマーンにクウェートに輸出された型が、イラン・イラク戦争や湾岸戦争で実戦使用されています。ですので、当然、55口径120mmライフル砲も発砲しているはずです。チーフテンはまだ、ライフル砲ですよ。 (2007年06月15日 20時41分55秒)

Re:ギャオー!!!(06/13)  
余菱  さん
花開富貴さん

>チーフテンは、確か中東、イランやヨルダン、オマーンにクウェートに輸出された型が、イラン・イラク戦争や湾岸戦争で実戦使用されています。ですので、当然、55口径120mmライフル砲も発砲しているはずです。チーフテンはまだ、ライフル砲ですよ。

おお、私のかすかな記憶ではTAMIYAの1/35MMシリーズにティーフティンは滑空砲のはず。

よし、検索検索。
おやおや、やっぱりチーフテンは、ライフル砲。私は何と勘違いしたのか。何だレオパルドか、所詮私にオタクを名乗る資格はないですね。ちょっと悲しい。

(2007年06月15日 23時35分39秒)

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