サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2006.06.09
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カテゴリ: クラシック
フルートと尺八

 彼のフルートは純銀製で、恐ろしくよく響く、対して私の尺八はもちろんただの竹ですから、音量では完全に負ける。少し気張ると今度は音割れする。ちなみに尺八の修練は、首振り8年、音出し3年とかいいますが、これはウソで、竹との相性もありますが、音出しはおおむね1ヶ月、首振り(バイブレーション、ユリと云います)も半年くらいで出来るでしょう。
 やっかいなのは、その素朴さからくる楽器としての難しさで、なにしろ運指の穴が5つしかない。これは日本の基本旋律が5音で出来ているからで、陽旋法、陰旋法の半音階はすべて、唇と歌口の角度(メリ、カリ)と、運指のかざし方で調性するのです(7穴尺八も、作られてますが、私に云わせれば邪道)。
 というわけで、彼のフルート奏者は豊かな楽音が出れば、あとはひたすらに運指のトレーニングに励むのですが、われわれは4年かかっても、まともな楽音さえ出せないという景況を呈します(もちろん例外的な奴もおります、どこでもそうですが)。

 ところで西洋の楽器というのは、歴史的にひたすら楽音と響きの豊かさを追求してきたところが、あるみたいで、楽音以外の響きを雑音として排除する、ピアノなど100人のオーケストラと対抗できるまで巨大化する、フルートも均質化された材質によって、たった1本で50人くらいの弦楽器と対抗できる響きを獲得しました。一時期純金製のフルートが大半を占めたことがありましたね。たぶん金がもっとも均質な材質で、純粋な楽音を追求していけば、必然的に行き着く地点だったでのしょう(間違ってたらごめんなさい)。

 学生時代の尺八は最初、本物の竹ではなく(高いので)プラスチック(!)の模造品で練習しました。これが面白くないのです。ある程度音が出ると、必ず飽きてくる、音に味が出てこないのです。本物の竹(仲間内では尺八のことを竹と云います)は、眼が飛び出るほど高いですが、吹き込めば、吹き込むほどに音に味(竹の味と吹く奴の味)が出てきます。したがって下手くそな学生でも、竹だと、いともたやすく自分の音色(個性のようなもの)が出るのです。上手い下手は別として!

 奏者が楽器と一体となって(身体の一部と化して)、武満徹風に云えば、音が云わば垂直に立ち昇っていく。海童道尺八の横山勝也氏の「産安」など、まさしくそれで、まるでバレエを見るようです。普化尺八(虚無僧)の至上の音とは、竹林の中を吹きぬける風の音だそうです。
 これなど、音楽へのアプローチとしては西洋と逆で、人が事物に擦り寄っていくような、楽器を改変せずに、人を改造する、修練する。早い話、キー付きの尺八(サックスみたいな)なんて考えられませんね。

 正確な音階と楽音だけの豊かな響き、これは何だか西洋音楽の19世紀から20世紀にかけての流れとパラレルで進行しているようで、やはりオーケストラのハーモニーの洗練や巨大化と一体でしょう。ヴィオラダガンバやハープシコードにこれらを求めても無理だったでしょう。

 先日NHKBSでBBC製作のドラマ「ベートーベン、英雄交響曲」をやってましたね。ドラマ仕立てで、古楽器による「英雄」の全曲演奏だったのですが、いろいろ面白かったですね。

― つづく ―





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Last updated  2006.06.09 11:18:15
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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