サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2007.03.08
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カテゴリ: クラシック
 音楽の話は楽しいのですが、音の中味を言葉で語るのは難しいですね。私の言いたいことは、実際の音をコマ切れでも20秒ぐらいずつ聞いてもらえたら、話はずっと早いのです。
 というわけで、他のブログを覗いてみると、皆さんMP3などをピルトインされて、けっこう気楽に音楽を聴けるようにされてます。このあたり著作権はどうなのかなと思ったりもしますが、どなたか詳しい方おられませんか?
 いずれにしてもブログは、画像も音も活字も合体で表現できるので、便利だなとは思うのですが。

 それにしてもマーラー、この巨大なる神経症患者のような音楽が、なぜ今でも人を惹きつけて止まないのでしょう。第一次のブームは70年代でしたか、L・バーンスタインが巻き起こしていましたが、この神経症的な響きを高いお金を出して演奏会場で大オーケストラで聴かされるというのは、考えてみれば相当しんどいはずなのです。
 マーラーの同時代の19世紀末から20世紀初頭というのは、オーケストラの技術が極度に高度化した時代で、今日のオーケストラの形は基本的にこの時代のものです(マーラー自身も生前はむしろ指揮者として有名でしたね)。作曲技法も同時代に高度化多様化して、R・シュトラウスや、ストラビンスキー、あるいはバルトークやシェーンベルク、ウェーベルンまで含めると、ベートーベン以来の古典的オーケストレーションは、ここにきてほとんど解体されたように見えます。このなかで今でも、さかんに演奏会に取り上げられたり、CDが出ているのはマーラー、R・シュトラウス、ストラビンスキー、バルトークといったところでしょうか。以後の現代作曲家の音楽は、武満やショスタコーヴィッチの一部の音楽を除いて、世界的にみてもほとんど取り上げられません。聴衆とオーケストラと指揮者が一体となって堪能できる音楽というのは、マーラー以後失くなってしまったかのようです。

 このあたりは考えるに値する問題で、巨大化し詳細かつ精密を極めた解剖図のような音楽であっても、マーラーは 自身の解剖図を音楽にした ので、機械の図面を音楽にしたわけではありませんでした。他の作曲家の音楽が機械のようだという気はありませんが、12音技法や無調性音楽、あるいは偶然性音楽などと言われてしまうと、音楽に本来付着していたはずの身体性が失われてしまい、極論すれば、どれを聞いても全部同じに聞こえてしまうということはあるのです。
 ところで、マーラーと同時代のR・シュトラウス、多才なオーケストレーションという点では、マーラー以上に達者な音楽を聞かせますが、同じような錯綜した音の塊りを聞かせながら、マーラーとはまったく違って聴こえます。このあたりR・シュトラウスは、こうやったらどうだろう、ああやったらどうだろうと、いろいろオーケストラをいじったり、新しい楽器を作ってみたりと、19世紀的な発展史観を楽天的に取り入れていた人のようで、その意味では音楽技術的に自信のある指揮者やオーケストラなら、一度は挑戦してみたい作曲家ではあるでしょう。
 しかしその音楽は彼の身体とは無縁のところで響いているので、そうした意味でも彼が交響楽や純器楽曲から急速にオペラに傾斜していったのは、ごく自然の成り行きではありました(彼の同時代のオペラ作家が例の「トゥーランドット」のプッチーニです。ちなみに「アイーダ」のベルディと同時代はワーグナー)。彼は音楽家として長生きしすぎたみたいで、ドイツの敗戦を経験して、はじめて自分を吐露した音楽を書いていますが、それはすでに古色蒼然たる意匠の音楽でありました(それでも48年の「最後の四つの歌」はすばらしいのですが)。


 ストラヴィンスキーやR・シュトラウスは音楽技法的には革新的な仕事をしましたが、今聞いてみると少しも新しくない(何も彼らをクサしているわけではありません、どちらかというと好きな作曲家です)、むしろベートーベンの「大フーガ」や「ハンマークラヴィーア」あるいはバッハの「シャコンヌ」のほうが、私の場合は新鮮に聞こえる(これは私の勝手解釈)、こうなると音楽技法の発達というものは、音楽の本質的な新しさを示すのではなくて、その意匠に過ぎないとさえ思えてきます。

                                     ― つづく ―





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Last updated  2007.03.12 13:09:10
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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