サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2007.06.16
XML
 さて「ものごとの生成と消失」という推移を、古代人はどう理解しようとしたか、あるいはどう折り合いをつけようとしたのでしょうか。科学的知識を持たないぶん、彼らはこれらの事実に今よりもはるかに具体的に向きあわなければならなかったでしょう。
 その向きあう中味とは、彼らを取り巻く周辺の過酷な自然であったり、母体の胎内から生まれ出る赤子であったり、腐乱して朽ちていく死者であったり、常に具体的な事像であったわけで、もちろん本やパソコンから知識を得て解決するというわけにはいきませんでした。彼らは日々向きあうこうした自然の「生成と消失」に敏感にならざるを得ず、時に森の闇から漏れる獣の足音や風の音に戦慄し、時には土から立ち上がる稲の穂に歓喜したでしょう。

 これらと折り合いをつけて、なし得るならば収穫を維持できて、いつまでも生存したいというのは、誰しも願うことで、その解決策として現れたのがカミでした。宗教の発生にはさまざまな説がありますが、人智を越えたすべてのものに畏怖を感じるとともに、それとうまく付き合っていくというのは、種族を維持していくうえで、絶対要請なものとしてあったでしょう。
 もちろん時代を経るにしたがって、人間の社会の知識は少しづつでも蓄積し伝承されていったわけですが、逆に考えれば、知識を伝承したり、カミと折り合いをつけることのできた種族だけが、今に残っているのかも知れず、かつて数種類は存在した人類の仲間は、われわれ一種類を残してすべて滅んでしまいました。ひょっとするとネアンデルタール人は宗教を持たなかったのかも知れません。

 してみれば今にいたる人間というのは、少なからず宗教的特質を持った種族であるのかもしれず、少なくとも他の生き物で宗教的振るまいを示すものは、イルカやサルといえどもいないのです。(今のところ?あるいは彼らの行為の中に人智のまだ及ばない振るまいがあるかもしれません。死んでミイラ化した子供を抱いて離さない母ザルや、娘の骨を取り囲む母ゾウの振るまいは、あるいは現存する生き物たちに共通する生存因子なのかもしれないのです)

 まあそれはさておき、古代人が見た子供とはいったいどういう存在だったのでしょうか。私たちは遺伝学の知識でもって、ごく自然にわが子が自分に似ている、あるいは相方(奥さん?ダンナ?)に似ていることを何とも思いませんが、古代人にとってわが子とは祖先の再来だったかもしれないのです。祖先という言いかたは、今ではことがらを過去から未来へと流れる時間にとらえる恐れがあるので、あえて言い直せば古代人の周囲をあまねく取り巻く人智を越えた自然(Mana)の化身したもの、あるいは死者の生まれ変わりととらえていたでしょう。
 これは古代人の周辺を想定すれば、それほど現代人にとっても想像不可能ではなさそうで、死者は腐乱して土に返るのに、新たに生まれてくる赤子は、明らかに親や祖父(祖母)に似ている、であるなら赤子はまったく新しい生というよりは親や祖父(祖母)も含めた、より大きな共通因子が化身したもの、つまり再生したものととらえるのはそう無理な想像ではなさそうです。この共通因子を古代人は「魂(たま)」と呼んだのでした。
 古代エジプトのファラオのミイラは、ファラオ(現人神、人間ではない)の魂を呼び戻すための一種の衣装であるとも言え、また古代インドの輪廻転生思想も、魂は次々と肉体を借りる(人であったり虫であったり)ので、死者の腐乱した肉体は魂の抜け殻にすぎないという発想から出てきたとも考えられるのです。

 こういう世界観では、現代人が考える時間とか、過去とか未来という概念はまったく意味を成さなくなります。






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2007.06.17 00:20:58
コメント(0) | コメントを書く
[政治、経済、社会、歴史] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Calendar

Archives

2026.06
2026.05
2026.04
2026.03
2026.02

Profile

TNサリエリ

TNサリエリ

Comments

TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

Favorite Blog

まだ登録されていません

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: