サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2007.06.29
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 話がまたまたあちこち遊離してしまいますが、Human Errorのことです。人間がすぐれてミスを犯す動物であることを前提に、主として事故原因の調査の手法として、40年ほど前からアメリカで確立された航空機事故対策の考え方ですが、その淵源をたどっていけば、第二次対戦のアメリカの戦略論にも行き当たるし、ひょっとするとキリスト教的宗教観にもとづくものであるかもしれず、以前から興味をもっていたことの一つでした。
 これをたんなる事故調査の手法や方法論にとどめずに、物事のとらえ方とか考え方(文化論)にまで高めたのが、確か元NHK記者の柳田邦男さんの一連の「事故調査もの」の本で「マッハの恐怖」は愛読書の一つでした。事故原因の解析の手順やその分析の精密さの面白さもさることながら、私はむしろその背景にひそむ日本とアメリカの考え方の相違に強く関心があったので、事故原因が操縦士なり運転士なりの個人の操作ミスによるものであった場合、日本ではミスを犯した当事者に対する責任追及が主となって、結局その背景にひそむ構造的な組織の問題とか設計段階の致命的な欠陥にまで話が展開しない。
 それに対してアメリカでは、個人に対する追求以上に、なぜミスを犯すにいたったのか、その個人を取り巻く組織や操作機器の設計思想にまで立ち入って、その事故原因を明らかにしようとする、このあたり私など戦争中の日本とアメリカの考え方や振るまいの違いと、どうしてもリンクしてとらえてしまうので、最近でこそ「失敗学」といった呼称で事故調査や組織の構造解析を行う手法はだいぶ広まってきたとはいえ、まだまだ根本の考え方は浸透していないんじゃないかというのが私の感想です。

 人と機械の接点(Man-Machine Interface)で生じる軋轢というか、人と機械の振るまいの齟齬というのは、航空機事故や原発事故のような典型的な巨大事故の原因究明の方法論に留まらず、個人と組織の間の軋轢や齟齬を構造的に解析し、改善していくのに援用できる考え方だと思うのですが、そこで何よりも必要とされるのは、 個人の思い込みや願望をできるだけ排除した証言 なので、本当のことを言わせるには、脅迫ではなく保証が必要なのです。罰を前提とした追及では、誰しもできるだけ身を守ろうとするのはあたりまえで、結局本当のことは永久に出てきません。
 このあたりアメリカの証言台で、証人が神に真実を言うことを誓う、といったキリスト教の背景を論じる文化論もありますが、私はそれでは問題の本質にはまったく迫れていないと考える、少なくとも日本での方法論の確立にはまったく役に立たないと思うたちです。実際証言台で真実のみをしゃべるなどということが可能かどうか、実際の法廷を眺めればすぐ分かることです(日本でもアメリカでも)。
 というわけで、事故調査ではアメリカは個人の罪を問うまえに、全体の安全を守るための方法論が発達したみたいですね。いうなれば、 本当のことを言わせるシステム のようなもので、そこから司法取引のような発想も出てくるのです(良いか悪いかという価値論は別です)。
 日本ではまだまだ個人は組織に従属した位置関係にあるので、江戸時代以来の儒教的人倫関係に絡みとられた組織内では、本当のことをしゃべるというのは、並大抵ではないでしょう(ミートホープでは、辞めた役員の指摘によって事が露見しました、社内で堂々とというのは不可能なのです。たいていの企業はこの会社について、下手な辞めさせ方をしたバカな会社と思っているでしょう)。


 こんなことを言うというのも、先日来の「年金問題」、社保庁職員のボーナス返上だの、安倍さん以下閣僚の給与減免が取りざたされていますが、「ケジメ」という大義名分でこんなことをしてもらっては困ると思っているのです。こんな「ケジメ」をつけられてを何も解決しないので、社保庁問題はその解体と一連の悪者処分で一丁あがりの気分にもっていこうとする雰囲気が問題なのです。これが参院選挙向けの世論誘導であるのは間違いないので、私に言わせると、このまえの繰り返しになりますが、ボーナス返上も給与減免もしていらんから、「本当のことを云え」ということになるのです(歴代の社保庁長官も含めて)。
 一般第三者の溜飲を下げさせることで、物事の本質や根本原因を打っちゃるというのは、日本が開国以来繰り返してきた失敗の典型的パターンで、第三者(国民)もほとんどそのあたりはじつは分かっている、分かっていても年金の本質的な問題には眼を向けたくないので、取り合えず気散じで済まそうとする、問題はますます増大して結局取り返しのつかない失敗をしでかす、というのは敗戦を見るまでもなく、ついこのあいだのバブル崩壊で充分懲りたはずなのですが、またもや全国民レベルで熱狂を繰り返すとはどういうことなのでしょう。

― つづく ―





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Last updated  2007.06.29 14:37:02
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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