サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2009.12.08
XML
テーマ: 古典の日(312)
カテゴリ: 文学
 光源氏の殿は、東の御方(花散里)に、(玉鬘を)お預けなさった。
 「『(昔)愛しく思っていた人が、気落ちして、はかない山里に身を隠しまして、(その人には)幼い姫君がおりましたので、年月、人知れず尋ね探しておったのですが、よう探し出せずに居るまま、(年頃の)娘に成るまで(時が)過ぎてしまいました。『(ところが)思いがけない所から、聞きつけまして今からでも(お世話をしよう)』ということで、(こちらへ)お引き取り申したのです。母君は、(すでに)亡くなりました。(あなたには、息子の夕霧)中将を、お世話いただいており、(この人の娘の世話を、またお願いしても)不都合はございませんでしょう。(中将と)同様に、ご面倒みて下され。田舎で生い育ちましたので、鄙びたことなど、多いと思います。しかるべき事々に触れて、躾けてやって下さい」
と、ずいぶん、丁寧に、お頼みになる。
 「まことに、そのような方がいらっしゃるとは、存じ上げませんでした。姫君が(明石の若姫)お一人でいらっしゃるのが、お寂しいと(思っておりましたので)。(それは)好かったこと」
と、(花散里は)屈託なくおっしゃる。
 「この(姫の)親御であった人は、気立てが、世にないほど素直でした。(あなたの)ご気質も、(とても)心安く、思っておりますので」
などと、仰せになる。
 「(今は)格別お世話申し上げる、事柄も多くなく、暇でございますゆえ。(こちらこそ、それは)嬉しいことでございますわ」と、(花散里は)お答えするのであった。(六条院の)御殿内の人々は、(殿の)姫君であるとも知らずに、「どんな方を、今度また、探してこられたのかしら」「(例によって)ホントに、厄介な古物いじりをなさるものだわね」と、(いろいろ)言っている。

 ここはしかし御殿内の噂のほうが、正しかったのですが、源氏の建前としては田舎から娘を探し出した、ということで公けにするのです。


 というわけでその晩、光源氏はさっそく玉鬘を見に行くのです。自分の娘ということであれば、お顔を拝見するのは別にルール違反ではない、ということですか。しかし右近も玉鬘本人も、そうでないことは知っているのですが。

― つづく ―





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2009.12.08 11:36:03
コメント(0) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Calendar

Archives

2026.06
2026.05
2026.04
2026.03
2026.02

Profile

TNサリエリ

TNサリエリ

Comments

TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

Favorite Blog

まだ登録されていません

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: