サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2011.01.25
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 この場合、「生き延びる」とか「生きていく」というより、こうした絶対的絶望下の状況で、なおかつ自身がこの世に「生きて在る」ということの意味づけ、といったほうがよいかもしれません。
 そうしたとき、人の心理としては、我が身がこの世と完全に孤絶した自己でなく、何らかの他者(家族、母、肉親、恋人)という異物と関わっているに違いない、ということを意識せずには、「今こうして、このように絶望的な状況下にあって、なおかつ生きて在る」自身の意味を、納得させることが出来ないらしいのです。
 で、それは生き物であることの本源、
 ― 「外部からの絶え間ないエントロピー拡散の圧力に抗って、皮膜に覆われた個体の内部秩序を維持しようとする「意志」 ―
が、ヒトという妙に脳化した生き物にかぎって、特異的に現れた心理ではないか?と思っているのです。

 それじゃ、他の生き物は?と聞かれても、もちろん困るわけですが、例えばクマとかライオンとか、あるいは鳥でもシカでもいいのですが、彼らの「子育て」というのは、どうも「スペア(予備)の原則」に由っているような気がする(もちろん、そんな原則はどこの本にも書いてません。私の勝手な規定です)。もっというと、サカナでも植物でもそうじゃないか、と思ってしまうのですが、要は彼らにとって子孫を残すとは、出来るだけスペアを準備しておいて、自身の子孫(情報)が継承される機会を増やしておく、という原則に従っているような気がするのです。
 「そんなの、あたりまえじゃないか!」と謗られそうですが、私はじつをいうと、この場合の親と子の関係というか、双方が相手に抱いている心理(もし、そんなものがあるとすれば)、のようなものを考えています。なかんずくスペアとして「この世に在る」子供のほうの心理状態を、です。

 こんな妄想を抱くというのは、さまざまな動物番組を見ていて、子供というのは、大半が親の子孫を残すための「犠牲死」を、最初から前提されているように思うからでした。生き物によって、もちろんその生存の数とか比率には大きな開きがあるわけですが、例えばクマの子というのは、たいてい二頭で生まれて一頭だけが生き残る。もう一方は最初から「犠牲」になることを前提されている、あくまで予備としての意味づけしか与えられていないように見える。
 これはサカナを例に取れば、もっとすさまじい話になるわけで、数千数万の稚魚は一、二匹の子孫を残すためだけに存在する。数百数千数万分の一の確立であっても、親の情報を確実に継承させるために「犠牲死」することが、最初から規定されているわけです。このあたり、もしすべての稚魚が、個体ごとに同じレベルで生存することを欲望する、つまり利己的な振るまいを最後まで貫徹するとしたなら、最終的には同族相食むことになって、全滅してしまうでしょう。


 一見、個体単位で利己的に振るまっているように見える稚魚、あるいは子グマでも幼鳥でもいいのですが、「弱肉強食」で勝ち残った強い遺伝子だけが継承される(場合によっては、兄弟を蹴落とす)、というような「適者生存」というものの見かたには、何やら大きな見落としがあるようです。要は何度も言いますが、ごく少数の適者を残すに際して、散っていった側のほとんどの同族とは、いったい何だったのか?ということなのです。
 私は、ここに何がしか、原初的な「犠牲死」のスイッチが、すべての生き物にピルトインされているような気がしてしかたがない。つまり、すべての個体は一見利己的に振るまっているように見えながら、ある段階で利己的な振るまいを放棄するように、あらかじめ仕組まれているのではないか?
 で、このように「犠牲死」のスイッチが入った側の生き物とは、ひょっとすると「他者(異物)」を受け入れる態勢になったものではないか?という気がしているのです。

― つづく ―





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Last updated  2011.01.25 14:04:06
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
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