サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2011.11.16
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 9.11が現代史に残したものが何であったか?というのは、10年を経た今日であってもまだ明確に語ることはできません。一つの事件が引き起こした事柄に対する歴史的評価というのは、おそらく30年から50年ほどしないとハッキリとは見えてこないものなのでしょう。とはいえ、新世紀の初頭に起きたこの事件が、歴史の変動を予感させていたことも確かなので、その後の10年を振り返るとき、その前と後で私たちの社会や心情がどのように変化したのかを、たどってみることはある程度可能でしょう。
 イチローと、「なでしこ」はその変化を見る表象として、とても分かりやすい図柄だと思うのです。

 イチローがメジャーリーグで大ブレークした年が、9.11に当たっていたというのは、それにしても象徴的で、確かその年のNHKのBSは、連日彼の試合を生中継していましたね。そういうこともあって、ある意味私たちは日本のプロ野球よりメジャーリーグの雰囲気になじんだというところがあったのです。野茂の時代は彼の先発試合だけの中継で、途切れ途切れになっていることもあって、メジャーリーガーが有しているらしい生々しいマインドまで感じるということはなかったのです。しかしシーズンを通して一つのチームを見るということは、自ずと彼らのナマの風俗を知るということになる。
 彼らが何に歓喜し何に怒り、要は興奮しているのか?ずうっと見ていると、明らかに日本のプロ野球の観客、選手たちとは異なった構えが感じられる。誰かが音頭を取るわけじゃない、好き勝手におしゃべりをしたりハンバーガーをパクついていた観客や選手たちが、一つのプレー一つの動作に、自ずから惹きつけられて拍手喝さいする。そうしたムードを一身に体現するのがスターでありヒーローだと、彼らは期待しているように見える。それの意味するところは、個人同士が互いの「自由意志」において相手をリスペクトし参加するという、まさしく「自律性」の表象なのでした。
 そうした在りようは「個我」を排除し、集団であることを強制する日本の応援団形式とは、対極にあるように思えたものです。

 この時期は、同時にITバブルでホリエモンだの村上ファンドだの、和製投資ファンドが脚光を浴びた時代でもあります。「自律」「自己責任」を体現するのが、個人投資家という名のギャンブラー(投機家)に仮託されるとき、その光芒はたちまち色褪せて薄汚れた姿に変貌したものです。ギャンブルというのは、本来制限された区画の中(劇場)だけで許される欲求の発散だと思うのですが、実体経済にめぼしい投資先が見つからない時、つまり「金余り」の時代には、こうしたマネーゲーム(お金がお金を次々生み出すけれども、それ自体からは、いかなる意味でも新たな「価値」を生み出さない)がもてはやされるものです。
 彼らは「そんなことはない。マネーこそ価値で、それがあればより自由が買える」と反論するのでしょうが、お金で買える「自由」が、もしより大きな買い物(買収)ができるという意味での「自由」なら、そんな「自由」の価値はタカが知れている。むしろそうした価値観に囚われて在る人格性に、はなはだ偏向した「不自由」を見出すのは、そんなに難しいことではありません。手に入れたマネーで「宇宙観光」ができたとして、それが新たな「価値ある自由」と考えているのでしょうか?彼らの提示しようとする「価値ある自由」とは、あまりにも貧寒としていて、大多数の人々にとって何の魅力も感じさせない。「一人勝ち(Winners Take All)」という考えかたは、実体社会にはなじまないのです。
 彼らは「自律」「自己責任」という時代風潮に乗って、それをあたかも「社会的認知」を受けたものであるかのように振るまったので、排除されたのです。

 ここで断っておかないといけないのは、いつの時代いつの社会にもこうしたギャンブラー(投機的)な人間性というのは存在するし、私たち自身の内部にも、そうした嗜好性が(部分として)あることも事実でなのだということです(世にあふれているゲームというのは、すべてそれを前提にしているでしょう)。大事なのは「一人勝ち」というゲームの仕組みが、あたかも実体社会の仕組みそのものであるかのように、社会が誤認する場合があるということで、それらはあくまでヒト社会の一部ではあってもすべてではない。このごくあたりまえの常識的概念が、マネーゲーマーには通じないのです。


― つづく ―





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Last updated  2011.11.16 14:00:45
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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