サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2011.11.24
XML
カテゴリ: スポーツ
 このあたり、おおいに気に触るけれども、けっして消し去ることのできない異物ないし他者に対して、何とか「折り合いをつける」という感覚が、「自律型」の自由であるべき市民社会を是とする近代社会では、かぎりなく縮減されていったわけで、今やファンドマネージャーたちにとっては、「自己」はほとんど無限大のレベルにまで膨張し、逆に他者あるいは異物はほとんどゼロにまで縮減させられている、と言っていいのではないか?少なくとも一国の国民経済など吹き飛ばすスケールにまで、その規模が膨れあがっているのは間違いないでしょう。
 いつごろから国際金融の市場マインドが、実体的な交換貨幣から仮想マネー(泡銭)の世界に変形していったのか?経済学の話は、まるきりの素人である私にはまことに難しくて、ここではとてもできませんが、一つきわめて素朴な金融のドグマとして「投資と投機は違う」という点だけ指摘して、別の機会に考えてみたいと思っています。

 さて、では「自律」「自己責任」を前提とした自由の体現者であるべきイチローと、仮想マネーの「勝ち組」たちとの違いは何なのでしょう?
 「勝ち組」の代表のような彼が存在し続けることによって、「負けた(出場機会を永遠に奪われた)」アスリートは数多く存在するはずですが、誰もそれによって彼らが消去されたとは思っていない(あたりまえです)。とすれば、イチローの栄光を具体的に担保しているのは、彼の「身体の信憑性」だけと言うしかないのではないか?
 考えてみれば、スポーツがなぜヒトを興奮させるのかと言えば、結局のところ、その具体性そのものである互換不可能な「身体」の確かさこそが、その基本に在ると思うのです。みんなそのまことに具体的な「信憑」があるからこそ、安心して熱狂することができるのではないか?

 ところが実をいうと、その間違いないはずの「身体の信憑性」が、今どき崩れつつあるというか、ボヤけて来つつあるらしいのです。ステロイドその他の薬物によって、手軽かつ異様にマッチョ化したアスリートたちがホームランを量産しだしたとして、果たして私たちはその身体に、どれだけ確かな「信憑」を置くことができるのかといえば、たちまち話は霞んでくるでしょう。
 こうしたマインドがいずれ行き着く先は、わりとハッキリしていて、代替可能になった「身体」によって演じられるスポーツは、すでに半ば以上仮想のゲーム世界に足を踏み入れているのです。手軽に代替されたサイボーグ同士の戦いには、本当の意味での「信憑」も「敬意」も私たちは抱くことはできません。

 このあたり「臓器移植」や「美容整形」が、あたかも身体の代替可能性を、所与の前提にしたようなしかたで話されるのと、似たような危険があるような気がする。欧米(あるいは韓国)では臓器移植や整形は、まるでビジネスレベル(市場での事務的取り扱い)の話になっているらしいのです。
 傷ついた身体を「移植」という手段で回復させるのは、今どきの医療技術の世界にあって、止むを得ない選択肢の一つです。ただし、それが「公認」の場でビジネスとしてやり取りされるのは、やはり間違っている。金融界のリスクヘッジと同じく、表沙汰にはできないが、止むを得ず「折れ合う」べき秘めごととして、これらは取り扱うべき事柄だと思う。同じように整形技術によって、「身体」がいくらでも代替可能なものとして、世間が認知し出したとしたら、ヒトの生き物としての最終的な「信憑性」は何で担保されるのでしょう?


― つづく ―





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  2011.11.24 10:49:35
コメント(1) | コメントを書く
[スポーツ] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


「お気に入りご登録者リレーエッセイ」で、上記の内容について掲載しました。
もしよろしかったら、アクセスしてください (2011.11.28 18:50:49)

【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

Calendar

Archives

2026.06
2026.05
2026.04
2026.03
2026.02

Profile

TNサリエリ

TNサリエリ

Comments

TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

Favorite Blog

まだ登録されていません

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: