サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2017.11.01
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カテゴリ: エレクトーンの日
Sympathy


 明らかなのは、そうした「生きた『ずれ』や『ストレス』は、確かな技術の裏づけがあって、初めて可能」な部類に属するのであって、いきなりそれをやったら必ずコケるということでしょう。彼女のその方面の特色がよく分かる演奏として、「 カノンロック 」を聴いてみてください。滑らかで繊細な運指とブレないリズムが、まさしくバロックを疾走させている感じ。
 元曲の「 パッフェルベルのカノン 」をカラヤンで聴いてみると、これまたクラシックとしてはかなりリラックスした感じでノリノリですね。当時(1969年の夏)、避暑で彼の別荘にわざわざ楽員を呼んで、確かチェンバロはカラヤン自身の演奏ですね。バロックはバッハをはじめとして、こうしたノリを許す伸びやかさがあって面白い。厳密に譜面をたどることを要求するようになったのは、自己表現意欲の強くなったモーツァルトやベートーヴェン以降からでしょう。

 それはさておき、「グルーヴ感」というのが、強いビートに裏打ちされた「生きたリズム」が生み出すのだとすると、私のごく個人的な印象では、asukaさんの演奏でこれを強く感じるのは、「カノンロック」ではなく、「MIⅢ」のほうなのです。「カノンロック」も確かにすごいノリで、しかも音の粒だちが本物のエレキより明晰なのにはビックリですが、これはどちらかというと運指の妙を、「観て楽しむ」音楽と言うべきでしょう。ヴァイオリンでもピアノでも、視覚的にも超絶技巧を楽しむという音楽はたくさんありますね。
 まったく昔話で恐縮ですが、ベンチャーズというロックバンドの「パイプライン」。例のチャカチャカチャカの小気味よさが、日本でのエレキブームに火を点けたのでした(古いね、ホンマに)。しかしこれは「グルーヴ感」というのとは、まったく別物の面白味でしょう。

 してみると「グルーヴ感」というのは、譜面に託されたものに対する「感応力」、言葉になる前にそれが語りかけ、頭より先に身体が反応するところから、生み出されて来るものなのではないかしらん。そうした「感応力」が顕著に現れた事例というのが、例えば小澤さん率いるサイトウキネンオーケストラの演奏でしょう。
 当初は、桐朋学園創始者の一人である故斉藤秀雄の門下生が、没後十年(1984年)を記念して結集した手弁当のオーケストラだったそうですが、小澤さんはじめ世界中に散らばった名手たちが、同じマインドを共有して年一回集まるということで、ずいぶん話題になりましたね。1987年の欧州ツアーはビデオが残っていて、その伝説的演奏を聞くことが出来ますが、その中で私はフランクフルトでの ブラームス交響曲第4番 モーツァルトのディヴェルティメント が好きです。
 リズムだけでなくテンポもハーモニーも、驚くほど緊密でありながら、微妙なずれとか揺らぎが、絶妙の「表情」となって立ち昇る。この演奏会に立ち会った、フランクフルトの人たちはラッキーだったですね。

 恐るべしは、普段世界中でソリストや教育者や楽団員として、バラバラに活躍している人たちが、まるで一緒にやって来たかのように、同じ「呼吸」をしているということです。長年やってきたオーケストラなら、例えば先のショルティ、シカゴ交響楽団のように、厳しい練習を経て「鋼鉄」のように緊密な響きを作り上げるのでしょうが、これはそうじゃない。それぞれかなり強い主張を持った名手たちが揃えば、それを短期間にまとめるのは至難の業。
 それをやってのけた、「小澤さんはさすが!」ということになりますが、これを彼個人の手腕ではなく、厳しい薫陶を受けた斉藤秀雄を祀り上げるという仕方で結集したのが、大きな特色でした。ここでは楽員の誰一人「拘束されている」という感じがしない。誰からも何者からも「自由」で「自発的」でありながら、おそろしいほどに「呼吸」が合う。面白いのは、そうしたオーケストラのありように共鳴して、現役のベルリンフィルやボストン響の奏者も参加しているということです。彼らもまた古巣の楽団とは、また違った音楽作りに新たな刺激を感じたのでしょう。





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Last updated  2017.11.01 00:15:58
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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