サリエリの独り言日記

サリエリの独り言日記

2022.09.04
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カテゴリ: エレクトーンの日
LiSA’s groove

 前にも話しましたが、私の二十代は、ヴォーカリストとしてのB・ストライザンド全盛期(1970~1980)の時代で、舞台で鍛えた驚異的な声量と広音域、精確で独特な発語は、英語を理解できない私にも、「届くもの」があると何度も思い、なぜそうなのかと自問したりしていました。で、当時の理解では、それはたぶん言葉ではなく、「発せられる声音」そのものの心地好さ、私の言う「発語力」のせいかとも勝手に思ったりもしました。
 とくに若いころのバーブラは、一つ一つの発語にものすごい神経を張り巡らせていて、ヴィヴラートのかけかた、高音域への駆け上がりかた、そして子音の結びまで、それらが音声としてどのように響き、どのように聴衆に届くか、すべて計算され尽くしている、そういう唄いかたをしていましたね。で、それに加えてミュージカル特有のドラマ性を、必ず一曲に盛り込むので、「三分間の歌に、 三幕物の劇 を持ち込むようだ」と言われたそうです。ただそうした唄いかたは、全体として重厚な感じにならざるを得ず、なかには「しつこい、重苦しい」と嫌う人もいましたね。

 とはいえ、そうした発語の魅力で、聴くものを一瞬にして自身の世界に引き込む力というものには、なかなか出会えず、先般、平原綾香さんの発語力で久しぶりに感じたことは、前にも言いました。
 では、LiSAさんのどうした発語力が、私に届いたのかと言えば、それは間違いなく「強さ」でしょう。彼女の「紅蓮華」を聴くと、もともとの地声の美しさに加えて、惜し気もなく強いアタックを連発して、しかもそれらが疾走しながら精確に音程をヒットするので、聴いていてスリリング。なんだか、それまでピーチクパーチクさえずっていた小鳥が、急に音程をそろえて唄い出す、そんな小気味良さを感じるのです。

 こうした強いアグレッシヴな歌唱、昔ロックやラップで聴いたような記憶がありますが、残念ながら私の趣味ではなかったので、詳しいことは分かりません。ついでに言うと、彼女の軽い乾いた声質というのも、昔、シティポップの山下達郎などがやっていたような気がしますが、これも確かなことは知りません。肝心なことは、では、今回何が私の耳朶をチャームしているのかということでしょう。
 私はそれはたぶん、またまたグルーヴ感としか言いようのないものなのだと思う。grooveの語義については、以前やったように思いますが、巷間したり顔で、ジャズやロックの専売特許のような言われかたをされては、全然腑に落ちない。私はカラヤンや小澤征爾にだって、grooveを感じてしまうのです。

 askaさんの鬼滅の刃【 無限列車編メドレー
 前にも話したように、私はここしばらく「鬼滅」の Epicversion を何度も聴いていたと言いましたが、ではそれらとaskaさんの音楽を分かつものは何かと言えば、結局この冒頭示されたグルーヴ感にあるのではないか、と思ってしまう。
 Epicversionは詳しくは知りませんが、おそらく自動演奏機器を用いたサウンドでしょう。確かに迫力や音の明晰度はすごいのですが、それを超えて人の心に入って来るというところがない。たんにサウンドが鳴り響いているということになりかねないのです。
 同じく極度に電子化されたエレクトーンでありながら、そこから繰り出されるサウンドは、まぎれもなくaskaさんという身体が聴き届けた「鬼滅」そのものであって、それ以外の何物でもない。と言うわけで、この「身体性の介在」こそgrooveの根源であろうという気がするのです。

 LiSAさんの「蓮華紅」は、そうした音楽における「身体性の介在」というものを、きわめて分かりやすく示してくれる。ラップのような早口の歌唱のあと、「人知れず儚い~」と続く間奏部、LiSAさんの真価が現れたレシタティーボ、どんな器械がこんな朗誦できると思います?そしてそうした彼女の魅力にどこまでも肉薄しようとする、かぶりつきの映像。私は曲そのものは「鬼滅」のアニメで知っていましたが、この映像がなければLiSAさんの真の魅力を知ることがなかったかもしれません。
 「音楽番組にいっぱい出とったやん !」と、またまた怒鳴られそうですが、私はテレビの音楽番組ほど(紅白も含めて)見ないものはなかったし、 テレビ番組で果たしてLiSAさんが、この「THE FIRST TAKE」のような歌唱を出来たのかどうか、じつは疑問に思っています。歌唱だけを厳密にドキュメントしているのはこの動画だけだからです。





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Last updated  2022.09.04 21:57:33
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TNサリエリ @ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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