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2007/01/31
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カテゴリ: 映画
fight club

■雪に閉ざされたホテルでジャック・ニコルソンがタイプしていた文字の羅列を思い出した。そういえば、あの映画で彼が演じた主人公の名前もジャックだ。「ファイトクラブ」を見終わった後、思い出したのがこの「シャイニング」で、わたしはつくづくジャックという名の登場人物に弱いのだということに思い当たったわけだ。

■しかし、この映画でエドワード・ノートンが演じた人物の名前は本当はジャックではない。「わたしはジャックの切ない心臓です」「わたしはジャックの脳の延髄です」暴力シーンに重なるこれらのモノローグが観るものを混乱させるわけだが、これらのセリフは彼が廃屋で見つけだした書物からの抜粋に過ぎない。それでは彼の役名はどうなっているのかといえば"Narrator(ナレーター)"、つまりこの物語は実は彼の一人称的世界の騙し絵だったのだとエンドクレジットで我々は知らされるわけだ。

■映像化することによって原作小説の持ち味を損ねてしまう作品は数多い。しかし、このファイトクラブに限っては実写化されたことにより幻惑度が魅力的に倍加している希有な例だと思う。そう、これからこの作品を観ることになる幸運な人は見事に騙されちゃって欲しい。なるほど、彼女の不可解な行為も、彼の一連のモノローグも後から思えばなるほどそうだったのかって腑に落ちること請け合い。

■痛みこそ生を認識できる最高の刺激であるというメッセージはそれこそ痛いほど伝わってくる。結局私たちを恐怖のどん底に落としいれるものの正体の半分以上は痛みなのかもしれない。しかしそれを日常的に被る訓練を続けていくことで、取り払われる恐怖が少しでもあるのならば、人は今までより、より強く生きていけるのかもしれない。そしていくらか強くなった肉体にはいくらか強くなった精神がついてくるのかもしれない。

■この映画の中のブラッド・ピットは無敵である。まるでブルース・リーのようにしなやかに舞う彼の肉体はそれを持ちたいと願う我々の理想の姿を体現している。ただスクリーンに映しだされる彼の姿はエドワード・ノートンが思い描いたメタファーに過ぎない。今までこんなにメタフィジカルな役柄を演じた俳優は滅多にいなかったのではないだろうか。

■「セブン」のラストのデビッド・ボウイも傑作だったが、このデビッド・フィンチャーという監督は音楽にうるさい。ここでもダスト・ブラザーズの重低音が要所要所で映画の不安を煽り、テンションをあげる。まるで最初からこの音楽が監督の頭にあったようにダークなムードが作品を支配している。

■劇中ブラッド・ピットは映画技師として子供向けのアニメーションを映写する仕事を引き受けているが、いつもその中に一瞬だけポルノフィルムを挿入するというお遊びをする。実際この映画の中でもフィンチャーはサブリミナル的に私たちの潜在意識の中に結末を暗示するようなカットを加えているのだそうだ。そして所々彼らしいギャグも折りまぜ、ただの暴力賛美映画にしていないところが傑作たる所以である。

PS



『チョークで描かれたジャックはビルを見つめて待ってる』

ライダーズがBLDGという歌を作ったのが86年。ファイトクラブより13年も前の話だが、YBJ(ヤング・ブラッド・ジャック)の物語といい、この映画との偶然の符合はちょっと恐ろしいくらいである。





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Last updated  2007/01/31 09:36:17 PM コメントを書く
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ミリオン@ Re:「北の国から」を友達にすすめてみる(01/02) こんばんは。 嬉しいです。頑張って下さい…
Dehe@ Re[1]:カルトQ 2005 北の国から(10/18) adventさんへ ご指摘の通りです。例によ…
advent@ Re:カルトQ 2005 北の国から(10/18) 五郎が読んだ大江健三郎> 開口健ではなく…
しょうゆ@ Re:家庭教師 / 岡村靖幸(09/09) …最後まで岡村靖幸はわからなかったのでは…
背番号のないエース0829 @ Re:ヒトラー 映画〈ジョジョ・ラビット〉に上記の内容…
Dehe @ Re[1]:センチメンタル通り / はちみつぱい(04/17) Mr.Zokuさんへ 情報ありがとうございまし…

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