精神世界の鉄人

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「武」という文字は、「戈を止める」という意味だそうです。「戈」というのは、「矛(鉾)」のことです。「槍」や「銛」の意味もあるみたいですね。要するに、「武器」です。つまり、

「武とは、理不尽な暴力や権力を、止める行為」

という意味が、込められているそうです。

だから、「格闘技」と「武道」は、違うのです。

「格闘技」が、どちらかというと、ボクシングやレスリングのように、一定のルールのもとで、公平に闘い、技や勝敗を競うことに対し、「武道」は、闘うことが目的ではなく、あくまでも、無法者や無礼者などの理不尽な横暴や暴力を、止めるための心構えや技を、磨くための道なのです。自分や社会を、よくしていこうとする道だと、言ってもいいですね。

だから、空手などの武道では、昔から、

「空手に、先手なし」

という言葉があるのです。



こういうニュアンスの意味だと、思います。

格闘技が、勝負に勝つことを、目的に、訓練するのに対し、武道は、そもそも、勝負自体を、人間の哀しい行為だと考えるものなのだそうです。だから、もし、勝負で、勝っても、ボクシングのように、

「アイ アム ア チャンピオ~ン!」

などと、ガッツポーズなどして、叫ばずに、負けた相手にも、礼をして、しっかりと礼儀をつくし、もし、相手が、亡くなった場合も、供養もするというのが、武道なのです。

自分が、空手を、やっていたころは、ちょうど、こういう考えで、稽古していました。

空手道場を、辞めて、パワーリフティングの選手になってからも、やはり、自分は、どこか、こういう武道的な気持ちを、持ちながら、練習していました。

今でも、スポーツや格闘技なども、大好きですが、やはり、「武道」という言葉には、どこか、特別な尊敬や哀愁を、感じます。



宮城長順先生については、祖母から、いろいろ話は、聴いていましたが、書籍などの記録には、特別に豪快な武勇伝は、残っていません。若いころは、少し、ムチャをやったり、暴れたりしたこともあるみたいですが、武道家として、名前が売れてからは、喧嘩をしたりしたことが、ほとんど、なかったみたいです。

ただ、長順先生の孫弟子に、極真空手の創始者、大山倍達などの達人がいることなどからも、相当な達人だったことは、予想がつきます。生前は、その強さから、「拳聖」などとも、呼ばれていたそうです。

考えてみたら、若いころはともかく、武道家としてある程度の立場になったら、くだらない喧嘩などしないのが、本来の姿だと思います。武道家で、武勇伝が、たくさん残っているということは、もしかしたら、それだけ、無益な争いが多かったということではないでしょうか?

たとえば、居酒屋で、酔っぱらったヤクザに絡まれても、このヤクザをと喧嘩をして、やっつけるのは、同じようなチンピラだと思います。格闘技の選手だったら、一発ぶん殴って、終りにするかもしれません。



ヤクザを、ぶん殴って、やっつけたら、武勇伝が残り、周囲から、注目されたり、自慢ができるかもしれませんが、お詫びをして、その場から、立ち去れば、目立たないし、武勇伝は、残りません。でも、本当の武道の達人は、こういう目立たない行為が、できる人たちばかりだったと思います。

さらに、本当に賢い、武道家だったら、そもそも、そのようなヤクザが、絡んでくるような居酒屋には、行かないと思います。少し、高くても、上品で、礼儀をわきまえている人たちが集まるような店で、お酒を、飲むかもしれません。もしくは、酒場など行かずに、家で、奥さんや娘と晩酌するかもしれません。

もっと、凄い達人になると、健康に悪いと思ったら、お酒そのものを、意志力で、やめてしまうかもしれません。

こういう地味な強さは、わかりにくのです。でも、私は、こういう強さに、憧れるし、これが、本当の強さだと、思うのです。

冒頭の長順先生の「人に打たれず、人打たず、事なきを、もととするなり」というのは、弟子たちへの最後の遺訓だそうですが、本当に、それが、人間の生き方の理想だと思います。



これが、「武道」だと思います。臆病さから逃げるのではなく、あくまでも、無益な争いは、その3歩くらい手前で、止める。これができる人が、武道の達人なのだと思います。昔からの諺でも、

「君子は、危うきに、近寄らず。」

と言いますね。

自分も、パワーリフティングを、やっていた頃、武道家ではなかったのですが、いつも、「武道」の心構えが、頭から、離れなかったです。

自分の場合は、

「なるべく、人間関係で、もめごとが起こっても、強い腕っ節で、解決しないようにする。できるだけ、穏やかな話し合いで、解決するようにする。」

こういうこだわりがありました。なんか、一番得意な腕力で、問題を、解決するのは、とっても、恥ずかしいことだという意識が、どこかで、あったのです。

「武道」というものを、別の言葉で、言い換えると、美学をもって、生きる生き方と言っても、いいかもしれませんね。ダンディズムのある人生と言ってもいいかな?



国で考えたみた場合、世界中のほとんどの国は、悲しい事に、まだ、「チンピラ」の段階です。こう言っちゃなんですが、中国なども、大きい国ですが、いろいろな視点からみて、まだ、「チンピラ」だと思います。あとの発展途上国のほとんども、「チンピラ」か、「腕自慢」や「喧嘩自慢」です。アメリカやヨーロッパなどの先進国は、「格闘家」のような気がします。

そういう中、日本という国は、唯一、世界でも、「武道家」の国だと思います。

憲法第九条などの平和憲法は、「武道家の精神」を、見事に表しています。いろいろ改善点も、多いかもしれませんが、これは、武道家の心構えです。

よく、否定的な意見で、

「口先だけで、平和が、守れるか?」

という意見を、聞きますが、そうではなく、憲法第九条というのは、

「口先だけで、平和を、守ってみせる!」

という決意の表現なのだと思います。

逆に言えば、口先だけで、平和を守るには、よっぽど強くなくては、難しいということです。あと、ずば抜けた賢さも、同時に、必要になってきます。

これは、推測ですが、日本という国は、戦後、63年間、

「アメリカの属国だ! いいなりだ! 情けない国だ!」

と国民から馬鹿にされながらも、63年間も、直接、日本の土地を、戦場にしなかったり、他国でも直接の戦闘をしなかったことは、もっと、高く評価してもいいのではないでしょうか?

たしかに、情けなさすぎる一面もありますが、それは、部分的なもので、もしかしたら、日本は、居酒屋で、ヤクザに喧嘩を吹っかけられても、謝って、潔く、その場を立ち去るような武道家の姿勢を、63年間、やっていたのかもしれませんよ。

ただ、この強さは、わかりにくいです。武勇伝も、残りません。もしかしたら、戦争が起こりそうな、3歩くらい前で、くい止めていたのかもしれませんが、地味な動きなので、歴史にも、残らないでしょう。

この日本の姿勢や強さに、世界中が気がついて、感動するのは、もしかしたら、100年後の22世紀になってからかもしれませんね。





さて、ここで、私が、これまでの人生の中で、たくさんの人と、出会ってきましたが、「この人は、本当の武の心をもった人物だ!」と思った人物について、書いてみようと思います。

以前のエッセイにも、少し書きましたが、沖縄で、大学1年生の夏に、大学の体育館で、ロウさんとコウさんという二人の台湾人と出会い、二人から、パワーリフティングを、教えてもらいました。

二人とも、日本語が、ペラペラでした。「バーベルが、大好き」という共通の価値観から、すぐに、打ち解け、よく、一緒に、酒を飲んだりして、遊びました。二人とも親しかったのですが、特に、ロウさんと、仲良しになりました。

数学者で大道芸人のピーター・フランクルという方が、以前に、テレビで、こう言っていました。

「今、世界中で、国際人が、求められ、日本でも、国際人になりたいと思う、若者は、たくさんいるみたいですが、私が、思うに、国際人というのは、英語などの外国語が、流暢にしゃべれたり、たくさんの国に、旅行に行く人では、ありません。その人が、一人でいいから、外国人と、心底語り合える、親友になれたら、その瞬間から、その人は、国際人です。」

私にとっての、最初の外国人の親友は、このロウさんでした。


(後編に続きます)


以上


トーマ

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☆「黒帯」という映画です。「武とはなにか?」というテーマが、深く掘り下げられています。本格的な沖縄空手の映画です。





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Last updated  2008年08月30日 07時31分29秒


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