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苫治安

苫治安

2002.11.09
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カテゴリ: カテゴリ未分類
■演目:駱駝祥子(らくだのシアンズ)

■日時:2002年11月9日(土)18:30~
■会場:東京芸術劇場・中ホール(池袋)

会社帰りに(そう、土曜日なのに出社日だったの)、時差ぼけ頭で見に行った。
だって旅行に行くことが決まる前に、チケットをとっちゃってたんだよ~(汗)。

中国の現代作家、老舎の原作を京劇化したもの。
非常に面白かったが、内容は……つらくてつらくてつらい。
チャンイーモウあたりの映画を思い出したりして……。


そういって喜んでいたが、内乱のいざこざに巻き込まれ、兵隊に車を取り上げられ、自分も誘拐されてしまう(労働人員として)。
命からがら逃げてきたが、車は取り戻せず、らくだを引いて戻ってきたことから「駱駝の祥子(シアンズ)」とよばれる。
その後も不幸は続き、一所懸命まっとうに生きようとする彼を、何度も何度もうちのめす。
思いを新たに、家族としてやり直そうと前を向いた次の瞬間には難産で妻も子も失い、自暴自棄になって酒と賭博に浸る毎日。
彼にとって最後の砦だった幼なじみも、貧しさから父親に廓へ売られ、絶望して首をくくっていた。「何もかもうそっぱちだ。死だけが真実だ」

何度立ち直ろうとしても畳みかけるように追い打ちをかける不幸。
一番好きな幼なじみとは一緒になれず、半分はかりごとで結婚させられた妻も、家族として認めた途端に喪われる。
全然救いがないです……。
それでもなんとか舞台上に明るさを保っていられるのは、役者さんの技量でしょう。
主役の祥子もむちゃくちゃうまかったが、なんといっても虎紐(フーニウ)が凄かった(本当は女偏だが字が出ないので「紐」で代用)。

虎紐は、微妙な役どころ。

それでも祥子と幸せになろうと、「本当にコドモができたんだよ。あんたに息子をやるよ」と希望を持たせる。
そして彼女が死んでしまうと、それまで「かわいそうにね」程度だったものが、一気に「悲劇」へと昇華されるのだった。

この虎紐の役者さんがすごい華のあるひとで、虎紐が登場するだけで舞台上がパッと明るくなる。すっごい魅力だった。しかも声がまた実にきれい。
祥子と実は相思相愛の幼なじみ、福子(フーズ)の役者さんも、ほかの女形も、みんな声はいいし演技も巧かったが、虎紐はなんだか群を抜いて存在感が強かった。声も、他のひととは違う明るさがあった。
このひとの虎紐が見られてよかった。


京劇というととっつきにくいようだが、全然そんなことはなかった。形式張ったところがないから。
じゃあ単なる新劇になっているのかといえば、そんなこともない。
役者さんの振り、ひとつひとつにこれまでの型が活かされている。
祥子の車を扱うサマなんか絶品で、京劇で鍛えた所作が、古さや堅さを感じさせないようにうまい配分で取り入れられていた。
だれの演技にしても、指の先の先まで神経が細やかに使われているようで、酔ったふり、ふらつくようすなど、本当に見事だった。こうした演技は逆に(身体の力を抜いちゃうことではなく)神経を張り巡らせて身体のすみずみをコントロールすることで、可能になっていたに違いない。

ときに、あの椅子を斜めにしてそのままにするのも京劇の所作だろうけど、どうやっているんだ、いったい~? すごく不思議だった(笑)。





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Last updated  2003.02.25 00:27:35


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