ライフキャリア総研★主筆の部屋

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2003年12月12日
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 求人ニーズだけを見れば、介護関連職種は「21世紀の有望職種」と言えるでしょう。その背景には、4人に1人が65歳以上の高齢者になるという超高齢化社会の到来があります。今後10年ぐらいの間に、高齢化率(65歳以上の人口が全人口に占める割合)は急激に上昇します。

 大きな節目となるのが、2015年という年。この年、「団塊世代」と呼ばれる戦後のベビーブーム世代(1947年~49年生まれ)の全てが65歳以上の高齢者となるのです。その結果、65歳以上の人口は3277万2000人と、2002年に比べて38.7%も増え、高齢化率は18.5%から26.0%へ7.5ポイントも上昇すると推計されます。

 高齢者が増えればそれだけ介護のマンパワーも多数要求されるようになると短絡的に考えがちですが、高齢者の全てが要介護状態になるとは限りません。2003年5月時点のデータでは、介護保険のサービスを受けている65歳以上の高齢者は279万人で、これは65歳以上の人口の11.6%にあたります。

 この比率を下げ、高齢者の介護や医療にかかる費用を抑え、「元気な高齢者」を維持しなければ、介護保険制度や医療保険制度の存続が危うくなります。今後は介護予防やリハビリに重点を置く政策が取られるでしょう。職種でいえば、保健師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士といった専門職種へのニーズが高まると考えられます。

 量の次に、質の問題があります。団塊世代は、それまでとは違うライフスタイルや価値観を持っているため、介護サービスに対するニーズも異なってくるのではないか――厚生労働省の高齢者介護研究会では「 2015年の高齢者介護 」という報告書の中で、そんなふうに問題提起しています。

 団塊世代が65歳以上になったとき、彼らは次のような点でその前の世代の高齢者とは大きな違いがあると指摘されています。①その80%程度が元・雇用者(とくに男性は地域とのつながりが希薄)、②高齢単独世帯が増加、③介護は子ども夫婦に頼るのではなく、ヘルパーのほうがいいという人が多数派、④居住環境について多様な考えを持っている(持ち家率が高く、リフォームへの関心があり、その一方で高齢になってからの住み替えについても抵抗がない)、⑤つねに消費と流行を牽引してきた世代であり、権利意識が強く、介護にしてもサービスを選ぶ立場として質にこだわり、いい加減なものには満足しない等々。

 現在の介護福祉士の仕事のあり方が、従来とは違う価値観を持った団塊世代にそのまま通用するでしょうか。顔を思い浮かべてみましょう。団塊世代の有名人には、こんな人たちがいます。

 俳優やタレントではビートたけし、柄本明、風間杜夫、梶芽衣子、大信田礼子といった個性派がゾロゾロ。歌手ではグループサウンズの時代をつくった沢田研二、フォークやニュー・ミュージックの旗手と言われた谷村新司、小田和正、森山良子。作家では赤川次郎、北方謙三、ねじめ正一、政治家では橋本大二郎・高知県知事……。

 全ての団塊世代がこういうクセ者とは限りませんが、お世話する立場からすると、なんだか神経つかいそうで、手がかかりそう……。

 介護福祉士は「21世紀の有望職種」となり得るか、また、最近、介護福祉士の質の向上を求める声が高まっていますが、それでは、時代のニーズに応えるためには、どのようにして質をレベルアップさせていけばいいのでしょうか。そのあたりを焦点にして、レポートをまとめてみたいと思います。また、介護福祉士とヘルパーの仕事の違いが分かりにくいので、このへんも明らかにしたいと思います。

●介護福祉士が女子高校生のなりたい職業の第5位に

 介護福祉士は有望職種であるという見方は、若い人たちにも浸透しているようです。リクルートと全国高等学校PTA連合会が今年7月に共同で実施したアンケート調査によると、女子高校生のなりたい職業の人気ランキングで、社会福祉士・介護福祉士が第5位になりました。ちなみに、上位5位のすべてを紹介すると……。

男子
1教 師 10.4%
2公務員 8.5%
3大学教授・研究者・学者 6.6%
3プログラマー 6.6%
5システムエンジニア 4.7%
5建築士 4.7%
女子
1保育士・幼稚園教諭 12.8%
2看護師 10.1%
3教 師 6.1%
3医療事務・医療秘書 6.1%
5美容師 4.5%
5社会福祉士・介護福祉士 4.5%
(調査数496人)


 2000年の調査では、男子の3位だった「ゲームクリエーター」や9位の「パイロット」、女子の1位だった「フライトアテンダント」(旅客機の客室乗務員)や2位の「心理カウンセラー」、7位の「アナウンサー・リポーター」はいずれもベストテンから姿を消しました。

 とくに男子には堅実志向がくっきりと現れています。それにしても1位が教員、2位が公務員とは! 高校生にも将来への不安が広がり、安定した職業を望む傾向が強まっているのでしょうか。

 社会福祉士・介護福祉士を選んだ理由は、「少しは就職が楽そうだから」(鹿児島・専門科、男子)、「ボランティアへ行ったときにお年寄りの方の役に立つことができた」(岐阜・普通科、女子)など。

「楽そう」という表現がいかにもシンプルですが、彼らの気持ちをそのまま表していますね。

●登録者数は34万8965人

 いま、何人ぐらいの介護福祉士が活躍しているのでしょうか。余っていることはないと思いますが、今後も求人ニーズがあるのでしょうか。

 介護福祉士という国家資格が誕生して、2003年でちょうど15年になります。毎年急カーブを描いて有資格者の数が増え、現在の登録者数は34万8965人にのぼります。さらに毎年新たに5万人以上の有資格者が誕生しています。

 そもそも介護福祉士とは、超高齢化社会に向け、高度な専門知識と技術をもった介護サービスの担い手を養成するためにつくられた国家資格であり、当初は特別養護老人ホームで働く「寮母(寮父)」と呼ばれる人たちの中でリーダーとなれる人々を想定としていました。

 施設に入りたくても入れない待機者が大勢いるにもかかわらず、国の補助金を使って新たに建設するのはお金がかかり過ぎるため、国の政策は施設介護から在宅介護支援へとシフトしていったのはご存知のとおりです。各地域に設けられている在宅介護支援センターには必ず介護福祉士が配置され、家族や高齢者に対する情報提供や相談業務を行ってきました。

 2000年に介護保険制度が始まってからは、介護福祉士の働き方が大きく様変わりしました。コムスン、ニチイ学館といったヘルパー派遣会社から多数雇用されるようになったのです。多くのヘルパーをまとめる管理者、リーダー、教育担当者として、いまでも高い求人ニーズがあります。

 一方、特別養護老人ホームなどでは、すべての介護職員を介護福祉士の有資格者にしようとする気運が高まっています。介護保険制度になってからは、介護サービスは利用者や家族が選ぶ立場になりました。クレームが増え、介護中の事故をめぐる訴訟トラブルも増えています。サービスの質に対する要求度が高まっているのです。「そちらの寮母さんは、資格を持っていらっしゃるの?」などと利用者や家族から聞かれることも多いといいます。

 介護サービスの質がきびしく問われる時代になったことで、より高度な専門知識と技術をもつスペシャリストが求められるようになり、介護福祉士へのニーズも高まっているのです。

 けれども、現状の介護福祉士のレベルはまだまだ低い。もっとレベルの向上を図らねばならないとの意見もあり、試験制度、養成制度の見直しが始まりました。厚生労働省では有識者を集めて「介護福祉士試験の在り方等介護福祉士の質の向上に関する検討会」を2003年6月から開催し、年度末には結論を出す予定です。

●国家試験受験と養成施設卒業のいずれかを選ぶ

 では、現在どのように介護福祉士の養成が行われているかについて、見てみましょう。介護福祉士の資格を取得するには、大きく分けると2つのコースがあります。

①国家試験に合格する

 受験資格は、特別養護老人ホームなどの指定施設で3年以上の実務経験を積むか、高校で厚生労働大臣の指定した科目を修了していること。受験者の比率はおよそ9:1です。

 2003年に行われた第15回目の国家試験の合格者数は3万2319人で、合格率48.0%でした。男女比は1.7対8.3で女性のほうが多くなっています。 

②介護福祉士養成施設で学ぶ

 養成施設は1年制か、2年制以上に分かれます。高卒者および短大卒・大卒で社会福祉を専攻していない人は2年制以上の養成施設で学びます。2年制の専門学校(昼間部)、3年制の専門学校(夜間部)、4年制大学があります。学費は2年制の養成施設で110~170万円程度となっています。

 4年制大学の数は現在29にのぼります。識者の中には、「介護福祉士は社会福祉士と同様に4年制大学を修了を標準とすべきである」と唱える人もいます。

 なお、保育士養成施設、社会福祉士養成施設、社会福祉系の大学で所定の科目を修了した人は1年制養成施設で学びます。

 実技を修得する養成なので、通信教育は認められていませんが、NHK学園が行っている通信教育講座(2年制)を修了することによって、国家試験の受験資格を取得できます。これは意外に知られていないコースですね。私も今回、調べるまでは知りませんでした。学費は2年間で14万円です。

 養成施設では所定の科目を修めれば卒業と同時に介護福祉士の資格を取得できます。国家試験を受験する必要はありません。ただし、養成教育目標達成度評価のために、1997年度から全養成施設で、「卒業時共通試験」が実施されています。

 養成施設の数は384校、入学定員は2万6122人となっています(2003年4月1日現在)。

 つまり、国家試験合格者と養成施設修了者の数を合わせると、例年6万人近い人が新たに資格を取得する計算になります。

とりあえず、ここまで。この後は、介護福祉士3151人から集めたアンケート調査の結果を抜粋して、介護福祉士の仕事の内容、やりがい、不満、勤務条件、待遇などについてご紹介し、問題点やこの仕事ならではの魅力を浮き彫りにしたいと思います。





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最終更新日  2003年12月13日 13時45分54秒


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