Comings and Goings

Comings and Goings

PR

×

Calendar

Profile

tomotin777

tomotin777

November 22, 2004
XML
カテゴリ: 通訳・翻訳
日本語タイトルは「今を生きる」。ロビン・ウィリアムズ主演の12年くらい前のヒット映画だ。

洋画のタイトルは日本で上演される場合、そのまま英語をカタカナにして使う場合(ターミネーター)と、映画全体の雰囲気から全く違う日本語タイトルに変えてしまう場合と二つあるようだ。上の「今を生きる」は後者の典型。英語をそのまま訳すと「死せる詩人の会」となるが、これでは多分お客さんがこないと踏んだのだろう。

確かに、映画を貫く全体のテーマは、頻出してくるロビン・ウィリアムズの台詞「Seize the day.」に集約されている。seizeは「かなりしっかりグッと掴む」ようなニュアンスの単語で、力ずくでつかむような、非常にパワフルな意味を持つ。

dayに定冠詞theがついているのもポイントだ。日本人が最後まで習得が困難とされる英語の文法上の難関は、前置詞と冠詞だとよく言われる。基本的な冠詞の機能は「特定か不特定か」を明示するものである。a dayではなくthe dayとなっているので、特定の日を指す。そして、話者にとってそれとはっきりわかる物事を指す場合にもtheを伴うので、これらから、the dayとは「今現在生きてきる一日間」ということになる。そこから、「今という瞬間」という風に解釈できる。したがってSeize the day.は「今という一瞬一瞬を決して離さないように、しっかり全力で捕まえなさい。」という、短いけれども非常に強力なメッセージを含んだフレーズになるのだ。余談だが、大体において重要な言葉は短いことが多い。

そこから考えて、日本語では「今を生きる」という風に訳され、それがそのままタイトルになった。とてもよく考えられて作られたタイトルだと思うが、英語原文の台詞はもっと「我武者羅な一生懸命さ」を伴って迫ってくるようなことばだ。ところが、「今を生きる」とすると、さらりと「今をしっかり生きましょう」と、なんだか東洋的な自然の流れに逆らわずに、徒然なるままにやっていきましょう、というようなニュアンスで聞こえなくもない。もちろん、そこから深い、強いメッセージを受取る人もいるだろう。しかし、その逆を感じる、あるいはそのコトバから軽率さを感じる人もいるだろう。

言葉の意味は間違っていない。でもやっぱり正確なニュアンスではないような、歯がゆさが残る。じゃあどんな訳がいいのか、と言われると、本当にニュアンスまで汲んで訳すとどうしても説明的な訳にならざるを得ず、恐ろしく長くてコピーとしては到底使えないような文になるだろう。なので、究極的にいうと、完全なる翻訳は不可能だったということになる。「今を生きる」がベストの選択だったのだと思う。

うまい翻訳でも、原文のココロまで忠実に再現できるかどうかは、相当難しいと言えるだろう。翻訳にははじめから限界があるとも言える。そして、この限界を限りなく埋めていく作業に立ち向かう人々を「翻訳者」という。完全に埋められないことがわかっていても、その限界に挑もうとするココロザシを持った人達。そう考えると、ちょっと英語を活かして翻訳を、などと大それたことは考えられないと思うのだが…。







お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

Last updated  November 22, 2004 02:26:08 PM
コメントを書く
[通訳・翻訳] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

Keyword Search

▼キーワード検索

Favorite Blog

まだ登録されていません

Comments

海のくまさん@ チン型取られちゃったw http://onaona.mogmog55.net/ra8lxqw/ 俺…
らめ仙人@ 初セッ○ス大成功!! 例のミドリさん、初めて会ったのに、僕の…
リナ@ 今日は苺ぱんちゅ http://kuri.backblack.net/l06cuoa/ 今…
まさーしー@ なんぞコレなんぞぉ!! ぬオォォーーー!! w(゜д゜;w(゜д゜)w…
ヒゲメタボ@ クマたんと呼ばれてます(^^; 最近はこれが流行ってるって聞いたので …

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: