とーまは一日にして成らず

とーまは一日にして成らず

保育器ごしの面会



部屋に戻って休んだ後、ふらふらしつつも早速NICUに面会に行った。
保育器ごしの我が子はなんだかこの中にいるのが不思議なくらいぷくぷくしていた。
看護師さんが「手や足に触れてあげてね」と言ってくれたので、そっと触ってみた。
ぷにぷにのふにゃふにゃ。手をぎゅっと握り締めて、小さいながらもちゃんと生きてる。
ずっと見てるうちにどっと思いが溢れてきた。
「ママが上手に生んであげられなくてごめんね。ママがもうちょっと頑張ったらすぐに抱っこしてあげられたのに。ごめんね・・・。」
うちの子はどこか病気や異常があったわけではない。「念のため」の入院。順調ならすぐに出てこられる。
周りを見るといろんな事情でここにお世話になってる赤ちゃんと面会に来たママがたくさんいた。
私なんかよりずっとつらい思いしてるんだろうなって思った。
でもママになりたての弱虫な私は涙をおさえることができなかった。
「抱っこできるのはいつだろう。お乳をあげられるのはいつだろう」

面会できるのは限られた時間だけ。
部屋に戻ると赤ちゃんの泣き声が聞こえた。
4人部屋だったので、他のママさんが授乳中だったようだ。
私はひとり、することもないので看護師さんからもらった赤ちゃんの写真だけをずっとながめていた。
早朝の出産だったため、夜までの時間はすごく長かった。
赤ちゃんのことを考えると自然に涙が出てきた。
夜も当然眠れなかった。
友達にはメールで「3242グラムの元気な男の子を出産しました!」と明るく報告した。

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