いつもの時間に起きることができた。
陽の散歩に行き、シャワーを浴びたところで
髪を乾かしながらスマホをチェックすると
夫からの着信履歴。
何回か電話してきていたので掛け直した。
「おはよー。」
「昨日寝坊したと言っていたから。起きてたか。」
夫だった。
ちょうどシャワーを浴びている時に
入院した翌日は私がねぼすけな事を知っているから
毎朝電話すると言ってくれていたが、
その翌日から電話が掛かってくる事はなかった。
朦朧としていてそれどころじゃなかったのはわかっているが、家族を忘れてしまった事が悲しかった。
今日退院とは言っていたが、
昨日会った感じだとまだそれ以前の夫に戻ったわけじゃなかった。
退院は嬉しい反面、不安もある。
しかし、今電話口の声を聞く限り、夫は夫だった。
一週間ぶりにまともな会話ができている気がする。
「うん、今日は起きた!これから朔を起こすとこだよ!」
「そっか。…今日退院だ。」
「うん!私仕事でいないけど大丈夫?
タクシーでもいいし。」
「荷物はほとんどないから歩いて帰るよ。」
「そか!朔が学校からすぐ帰ってくると思うから。」
「今日は習い事何かあったっけ?」
「あっ、、と、確認しとくね!」
ここまでは良かった。
元の夫が戻ってきてくれて嬉しかった。
が、
「退院したら…早く酒飲みたい」
マジか。
まだ酒と言うか。
続けて
「今回の入院は酒じゃないと思うんだよね。
ほら、膵臓にできた石が原因だから。」と
のたまう。
まさにアルコール依存症だなと実感した。
それを認めたくないんだろう。
「…あのー、その石ができた原因はなんだと思う?」
「・・・。」
言っても無駄なんだよな。
わかってる。
だから、
「また痛くなるよ?
だからせめて今までみたいにビールのように
ウイスキーをがぶ飲みすんのはやめてね!」
「あはは!たしかに!わーった!」
とはいえ飲み出したらどうにもならんだろうけど。
「あとは1日3食、ちゃんとご飯を食べること!」
「(入院中)めっちゃ食ったから!」
いや食ってないだろ。
そもそも食えるようになったの一昨日ぐらいからだろ。
「飲むなら約束して!」
「わーった、わーった。」
そして電話を切った。
・・・はぁぁぁああ。
だみだこりゃ。
まぁね、20代だったらもっと必死で止めるわ。
しかしアラフィフのおっさんだからね。
一通り、やりたい事はやったろうし。
あとは好きにすりゃええ。
それに夫が考えるほど事態は甘くないと見ていた。
飲みたくてももう身体の方が悲鳴をあげているのだから。
近いうちにまた同じ事を繰り返すのは目に見えている。
次入院したらアルコール依存症の専門病院に入院してもらうよ、と脅しておこうかな。
無駄だとわかっていても言いたくなるのは
人の性だ。
あとどれくらい、一緒に過ごせるだろうか。
せめて息子がもう少し大きくなるまでは、
ふたりで子育てを終えてホッとするまでは、
それが私の願いだ。
木曜日。(入院8日目) 2025.05.15
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