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V フォー・ヴェンデッタ
それにしてもラストは圧巻だった。イギリス人はこの作品を許せるのだろうか?
イギリスの象徴、国会議事堂とビッグベンの大破壊。欧州における11月5日の意味も今まで
知らなかった。国会議事堂に集まる一般群衆の力は、やはり抑えられない。
アメリカでもフランスでも政府に対する一般群集の大規模デモのパワーははかりしれない。
日本でも過去湾岸戦争で出した巨額の税金、
今アメリカ軍再編における3兆円とも言われる移転費用、
少子化、格差社会、拉致問題の未解決などはまさに一般群集の力で向かっていく必要が
まさにあるのではなかろうか。
スターウオーズでまさに大女優となったナタリー・ポートマンは、スキン・ヘッドになっただけでなく、演技は一流品。ヒューゴ・ウィービングは仮面をつけたVの悲哀を見事に演じた。終始仮面を付けた演技では「キングダム・オブ・ヘブン」のエドワード・ノートンを思い出す。
V仮面はまったく表情が変えられないだけに、身ぶりだけの渾身の演技だった。
Vと言う仮面をつけた男の執念は、世の中を変える事ができた!
ガイ・フォークス・デーとは?
ガイ・フォークス・デーの起源は1605年の国会爆破未遂事件。カトリック教徒のガイ・フォークスらが、プロテスタント政権(ジェームズ1世)に不満をもち、国王の暗殺をねらって国会議事堂を爆破しようとしたが、11月5日に事前に発覚し未遂に終わった(ガイらは翌年処刑)。
この日を記念して、花火をあげ、大きなかがり火をたいてガイ・フォークスの人形を焼くという行事が行われるのがガイ・フォークス・デーだ。11月5日が近付くと、子供たちはぼろ布などでガイ・フォークス人形を作り、"Penny for the Guy?"(ガイのために小銭を)と通行人にねだる。
「Vフォー・ヴェンデッタ」における近未来のイギリスは、ヨーロッパ大陸における局地的な核戦争の結果、独裁的な政権が力を得て国の支配権を掌握した、ナチス・ドイツのごとき全体主義国家になっている。マスメディアは政府にコントロールされ、秘密警察が横行し、自由経済は抑制され、マイノリティや同性愛者はすべて強制収容所へ送られてしまった。また政府はテクノロジーを駆使して国民の統治を行っており、特に監視カメラが大きな役割を果たしている(現在と違い、この作品が発表された頃のイギリスでは、監視カメラがさほど一般的ではなかった)。
ストーリーの冒頭では、国民たちは既に独裁政府に従順になっており、マイノリティたちが全員処刑されたことによって強制収容所も閉鎖されている。しかしテロリストおよびアナーキストである謎の人物"V"がガイ・フォークスの仮面をかぶって出現する。彼はその非凡な技能を駆使して、演劇的かつ暴力的に政府を崩壊させようとするのだった。
主人公の"V"は徹底的に謎めいた存在として描かれており、彼の正体や過去は殆ど明らかにされない。彼が超人的な肉体と精神の持ち主で、かつて強制収容所に入れられていたこと、そこで人体実験を受けたらしいことなどが話中で示唆されるものの、いずれも彼の正体を明確にするようなものではない。またストーリーの大半は"V"によってではなく、彼の保護を受ける少女エヴィーや、彼を追う刑事、腐敗した政権内の官僚たちの視点を通じて語られていく。
また"V"の破壊的な活動は、必ずしも「正義」と見なされるものではない。この作品の中心的なテーマは、「崇高な目的(国の管轄であれ、個人の自由であれ)のためなら、非道な行為も正当化されるのか?」というものだ。"V"自身も単純なスーパーヒーローなどではなく、「正統なアナーキズムの推進者」および「無秩序としてのアナーキズムの推進者」そして「ステロタイプのテロリスト」といった要素が混在したキャラクターになっている。
ちなみに、ストーリーではアルファベットの「V」および数字の「5」(ローマ数字では「V」)が象徴的に使用されている。例えばトマス・ピンチョンの小説「V.」が登場したり、強制収容所で"V"が入れられていたのが5号室であったり。また各章のタイトルは全て「V」から始まる言葉になっている。
第1部: EUROPE AFTER THE REIGN
1997年11月5日(ガイ・フォークス・ナイト)のロンドン。生活苦のため売春をしようとした若き少女エヴィー・ハモンド(Evey Hammond)は、秘密警察のメンバーに声をかけたことから彼らに暴行されようとしていた。しかしそこに仮面をつけた謎の男"V"が現れ、彼女を救出する。そして"V"は国会議事堂を盛大に爆破したあと、エヴィーを彼の隠れ家「シャドウ・ギャラリー」へと迎え入れる。そこで彼女は自分の過去を語り、核戦争のあとに父親が警察に連行され、いかに暮らしが苦しいものになったかを述べるのだった。
一方政府内では、議事堂の爆破事件の調査がエドワード・フィンチという刑事と、彼の相棒ドミニクに任される。フィンチは腐敗した政権において、権力欲のためではなく秩序を愛する気持ちから政府に使えている希有な人間だった。そして彼を通じて政権内のさまざまな人間が紹介されていく。また政府のリーダーであるアダム・スーザンが、全てを統括するコンピューター・システム「フェイト(Fate)」に異常なほど没頭する人物であることが明らかにされる。
次に裁判所を爆破した"V"は、政府のプロパガンダ放送のナレーターを務めるルイス・プロセローを誘拐し、強制収容所のセットを用いて彼を狂気に追い込む。それから"V"は政府お抱えの聖職者であるリリマン主教を毒殺し、デリア・サリッジという女医にも毒を注射して殺害する。サリッジの手記を調査したフィンチは、3人の犠牲者が過去に同じ強制収容所で働いていたこと、そして彼らのほかにも、その収容所で働いていた者たちはすべて"V"の復讐によって死んでいるらしいことを知る。またサリッジの手記からは、"V"が強制収容所の唯一の生存者であること、彼の経歴は全くの謎であること、彼が人体実験を施され、その結果として今の人格と才能を備えるようになったらしいことが判明するのだった。
第2部: THIS VICIOUS CABARET
エヴィーは"V"に強く惹かれる一方で、彼の破壊的な手段などに疑念を抱くようになっていた。そしてある日、彼女は突然「シャドウ・ギャラリー」の外に連れ出され、"V"に見捨てられてしまう。
その後、"V"は政府の放送センターに侵入する。彼はイギリス国民に向かって放送を行い、政府に束縛されず自らの意思で生きるように訴えかけるのだった。放送室を警察に囲まれながらも彼は脱出に成功し、フィンチは彼の調査から外される結果となる。
数ヶ月後。エヴィーはゴードンという男性と出会い、共に暮らしていた。そしてゴードンと足を運んだナイトクラブで、彼女はローズという女性を知る。秘密警察のトップだったローズの夫は、サリッジの家で"V"に殺されたのだ。彼の死後ローズは生活苦から、クラブのダンサーとして暮らすことになり、政府に対して強い怒りを感じるようになっていた。またローズの夫の後任となったクリーディは闇社会にも支配力を持つ人物で、"V"の起こす争乱を利用してクーデーターを起こし、自らが政府のリーダーになろうと画策していた。
トラブルに巻き込まれ、クリーディの部下によって殺害されるゴードン。エヴィーは銃をとって復讐を遂げようとするものの、その前に警察に捕まってしまう。彼女は独房に入れられ、頭を丸刈りにされて厳しい拷問を受けるが、独房に隠されていた手記によって勇気づけられる。手記はヴァレリーという名の女優によるもので、彼女は同性愛者だったために同じ独房に入れられ、処刑されたのだった。エヴィーは処刑されたくなければ政府に協力するように告げられるが、彼女はこれを拒否する。その瞬間、彼女は自分が解放されたことを発見する。実は拷問は"V"の手によるもので、自分が受けたものと同じような経験を彼女にさせることで、エヴィーの精神を鍛え上げようとしたのだった。またヴァレリーが実在の人物で、強制収容所で彼の隣の独房に監禁されていた女性であり、エヴィーが読んだ手記も本物であることを"V"は告げる。彼の仕打ちに最初は怒りを感じていたエヴィーも、自分の精神が社会の束縛から自由になったことを感じとり、やがて"V"に感謝するのだった。
第3部:THE LAND OF DO-AS-YOU-PLEASE
1998年11月5日。"V"は政府の諜報施設を次々に爆破する。これをきっかけにロンドンでは暴動が頻発するが、これは彼の最終的な目的ではなく、ただの混沌状態であり、この後に自主的な秩序としてのアナーキズムが確立されると"V"はエヴィーに伝える。また"V"は最初から「フェイト」をコントロールしていたことが明らかになり、これがアダム・スーザンの精神をさらに不安定なものにしてしまう。
一方フィンチは"V"がいた強制収容所の跡地へ向かい、彼の心理を理解するためにLSDを服用する。幻覚によって深い洞察力を得た彼は、「シャドウ・ギャラリー」が廃駅となった地下鉄のヴィクトリア駅にあることを突き止め、"V"と対面して彼を射撃する。「この服の下には理念しかない。理念を銃弾で殺すのは不可能だ」と"V"は語ってその場を離れるものの、彼はエヴィーの腕に抱かれて絶命する。エヴィーは"V"の仮面をとって彼の正体を知りたいと思うが、彼が本質的にどのような存在であるかを理解し、彼のスペアの衣装と仮面をまとって、新たな"V"となることを決意する。
一方ロンドンは混沌に包まれ、ローズはアダム・スーザンを撃ち殺して政府への復讐を遂げる。そして自分の部下に殺されるクリーディ。フィンチの報告により政府は"V"が死亡したことを国民に告げるものの、群衆の前に"V"となったエヴィーが出現し、これに刺激されて大規模な暴動が発生する。
"V"の最後の望み通り、エヴィーは彼の遺体を爆薬が満載された地下鉄車両に乗せ、首相官邸の下で爆発させる。そして彼女は暴徒から救い出したドミニクを「シャドウ・ギャラリー」に迎え入れ、かつて自分がされたように、"V"の理念の後継者としてドミニクの教育を開始するのだった。
全体主義の体制が崩壊したイギリスだが、自主的な秩序がこの先訪れるのかは不明なままである。炎に包まれるロンドンを後にして、フィンチは1人で地方へと去っていくのだった。
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