ヨーロッパ、ドイツワインについてのいろんなこと

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JUMI

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2010.11.13
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正確には醸造所には訪れていなくて試飲はカールエルベスKarl Erbesが経営するゲストハウス(というか民家兼ゲストハウス)で行われました。

前回書いた 畑の散歩の後ゲストハウスに到着しました。ステファンさん(当主)に7時から試飲をするのでリビングに来て、と言われました。その時にはどういう状況になるのかまったくわかっていませんでした。

そしていわれた通りに一階に降りてきたら、僕の他にゲストがいてその人たちと試飲をするということを言われました。

フランス人のドイツワインマニアの人とスイス人のドイツワインマニア2名の計三名でした。フランス人の人はエルベスの顧客というよりはマニアの要素のほうが強い人で翌日からの連日の試飲会と競売会三ヶ所でも顔をあわせました(笑)。スイス人の方たちはどうやら自宅に大量のドイツワインを所有している人でカールエルベスの大ファンだそうです。


何回も訪れているそういう方たちに混じっての試飲会となりました。
日本人以外でのこういう状況ははじめてだったし最初は緊張していたのですがワインを飲み始めたら緊張なんて忘れてワインに集中していました。
会話はドイツ語です。なので会話にほとんど参加できませんでした。ワインの会話は単語がけっこうわかるので理解できる時もあるのですが日常会話はほぼさっぱりでした。ドイツ語で発言するのはとても勇気がいりますし、というか自分の考えをドイツ語で話すほど習得していないのです。たまに僕が発言する時は英語でしました。
聞いているかぎりでは、ワインの値段、VDPの方針について多くの時間をさいて討論、意見をしていたような気がします。
醸造所の人の意見を聞けることはユーザーにとって貴重な体験だし、醸造所の人にとってもワインの感想を深くきけたり他の醸造所の情報を知ることができるのでこういう時間は有意義であるということがわかりました。

ステファンさんと先代のお父さん、途中からお母さんと醸造所スタッフの輸出担当の方も加わっての僕も含めて計八人の集まりとなりました。試飲というよりはエルベスのワインを囲んでの楽しむ会というかんじでしたが。
お母さんがパンにいろいろ塗ったものを持ってきてくれて、それを食べながら順番にワインを飲んでいきました。

CIMG1641.JPG

試飲というよりは家族の食卓という雰囲気でした。


さてワインですが、全て甘口のワインとなりました。
日本にもシュペートレーゼトロッケンやファインヘルプも輸入されているのですが、まさか全部甘口でくるとは思いませんでした。それだけ甘口に対する自信とこださわりがあるからなのかと思いました。実際ここの醸造所はほとんどのワインは甘口でシュペートレーゼ以上だけでも相当な種類がリリースされています。


試飲したワイン (BA以外は全てユルツィガービュルツガルテンÜrziger Würzgartenの畑のワインです)

カビネット
シュペートレーゼ
シュペートレーゼ クランクレイKranklay
アウスレーゼ
アウスレーゼ クランクレイ
アウスレーゼ スリースター
ベーレンアウスレーゼ Erdener Treppchen
アイスワイン

ここまでが2009年産です。

アイスワイン 04
アウスレーゼ ツースター 01
アウスレーゼ スリースター 96

以上11種類でした。

最後の二本はその時の気分でだしたもので、ステファンさんはトレジャーボックスから持ってきたと言っていました。


クランクレイは下流のほうのごつごつした岩場のある地帯のかなり急な斜面の下の部分からの葡萄で造っているワインだそうで2008年からこの名前でリリースを開始したそうです。

どう違うか説明するのはなかなか難しいのですが、クランクレイのほうが洗練された、まとまっている、という印象を受けました。こっちほうが土壌を感じることができるような気がしました。もうひとつはぼやけているように感じました。比べて飲んだからだとは思いますが、それがマイナスな要素だけというわけではありません。

今のおいしさでいうとシュペートレーゼはクランクレイのほうが何段か質が上な気がしました。
でもアウスレーゼはノーマルのほうがおいしく感じました。クランクレイのほうがいろいろな要素を感じて深みもあったのですがどちらがおいしいかといえばノーマルのほうでした。

ただどれも数年寝かせたほうがよいのは間違いないです。
ノーマルのアウスレーゼでも5年、クランクレイはそれ以上寝かしたほうが良いかなと思いました。スリースターは重厚だったので10年くらいは必要かなと思いました。とても個性的なにおいで獣臭も感じたのですが(ここの火山層由来のスパイシーな風味の系統です)、これも年が経ったら心地よいにおいに変化していくのでしょう。


今回の試飲で一番感動したのが、BAとアイスワインでした。若いのにこれだけうまいのかとびっくりしました。
BAは酸味もけっこう感じますがやわらかい口当たりでやわらかく甘みが口の中いっぱいに制圧します。エルデナートレプヒェンErdener Treppchenということで割と平坦でヴュルガルテンのような複雑さはないのだけれどとても良いできのワインだと思いました。

アイスワインは本当にすばらしかったです。好みということとひっかかる部分が全くなかったのです。とてもパワフルで酸味も強すぎず甘みとそれらによるバランスが絶妙でした。
今のこのバランスがピークなのかここからもっとおいしくなるのかが楽しみです。

同時に飲んだ2004年のアイスワインですが、09よりもっとおいしいのではと思っていたのですが、09の圧倒的な勝利でした。かなり酸味が強く良い甘みを感じられませんでした。おそらく健全な葡萄ではないためか、熟成しても進化はしなかったのではと考えます。


そしてびっくりなのはこの09アイスワインがハーフサイズで23ユーロ(2700円くらい)ということです。BAも23.5ユーロです。
醸造所によってアウスレーゼとBAはそんなに差がなかったり格段に離れていたりBAとアイスワインでもだいぶ値段に開きがあったりと価格設定はばらばらなのですが、ほとんどのところは40ユーロはします。アウスレーゼはエルベスと同じくらいの値段のところもです。たとえば同じユルチッヒのヘルマンのBAは50ユーロします。

値段の設定は収穫量や畑の価値によって違うので一概に比べるのはナンセンスかもしれませんが、同じ格以上の醸造所でアイスワインもBAも両方ともこんなに安いところはないです。

翌日車の中で話をしたら、高くすると売れないんだ、という苦肉の策の一面も語ってはいました。
その時に、アウスレーゼは星が増えるごとに貴腐のついてる葡萄の割合が増えていくというこ事も聞きました。
09年のは一つ星で30パーセント、三つ星で70パーセント、ベーレンアウスレーゼで100パーセントと言っていました。すぐに100パーセントってTBAでしょっ、と突っ込みました。でもTBAの価格にすると売れないんだと言っていました。だからこんなにすばらしくてもアウスレーゼとさほどかわらない値段になっています。
ちなみにTBAは65ユーロです。他の醸造所だったらここのBAがTBA、TBAはTBAゴールドカプセルという別格の扱いになると思います。

値段については次回ももう少し書きます。


01年と96年のものは09のふたつほどは感動がなかったです。96のほうは典型的なモーゼルのアウスレーゼで良い物だということはたしかなのですが。
01のはベルギービールのランビック(天然酵母によるすっぱいビール)の風味がしてびっくりしました。そうとしか例えようがなくてすみません。とにかく甘みはあまり感じず不思議な熟成をしていました。
このワインはまだ日本でも手に入るので興味がある方はお試しください。うまいかどうかの保証はいたしませんが興味深い一本であるのは間違いないです。

このショップの解説は若干誇大に書いている気もしますが読んでみると面白いと思います。全部を鵜呑みにして期待してワインを買わないほうがよいとは思いますが。


カールエルベスの熟成したものを日本と今回飲んだ中での考察として、ここはそんなに長寿ではなくアウスレーゼでも10年以内に飲んだほうが楽しめるのではと思いました。
著名な醸造所のもの(たとえばプリュムやエゴンミュラー)は10年くらい経ってから本当のすばらしさを味わえるといわれていますが、ここの場合はそれ以降はそれ以前にくらべて魅力がかなりなくなってきてしまうような気がしました。もちろん長寿のアウスレーゼもあるとは思うのですが、毎年三種類以上のアウスレーゼをリリースしていて毎年その選別の基準も葡萄の条件も違うのでそんななかから長寿のワインをラベルだけをみて選択することは不可能に近いのです。
なのでここのワインは早めに楽しもうと僕は思っています。
といってもリリース後すぐではなくシュペートレーゼで2年以上、アウスレーゼは5年くらい経ってからのほうがよいです。なので今日本で販売されているシュペートレーゼ以上のヴィンテージのは飲み頃のが多いはずです。
モリトールなどでもÜrziger Würzgartenの甘口は飲みましたが開くのは他のところより遅めだというのは感じました。ここの土壌の違い(火山の噴火による溶岩を含んだ土壌ということ)、個性というのも他との差ができる理由だと思います。

というかんじで同じ畑の甘口ワインを垂直に飲んで比較、そして堪能できた会だったのでした。
こういう会に参加できるタイミングだったこと、そして参加させてくれたことにおおいに感謝しています。

総括的なことも書きたいのでカールエルベスについてはあと一回続きます。


ちなみにこの試飲会はワインを購入してもらうというのが前提です。無償で試飲させてくれているわけではなく効果を見込んでという意図があります。おそらく一緒にいたスイス人は6本や12本単位で何種類か買っていたと思います。
ここに来る前は二本くらいの高めのワインを買っておけばよいかな(輸送に関する重量的な問題)、と思っていたのですがこれだけの会に参加させてもらったので二本はさすがに悪いと思って五本買いました。といっても後悔はしていなくてお金に余裕があってなおかつここからワインを送るのが簡単だったのならもと買いたいくらいでした。こんなに安く質の良い甘口ワインが手に入るところは少ないですから(特にBAとアイスワイン)。
宿泊代もとても安いから申し訳ない、というのもありました。

つづく






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最終更新日  2010.11.14 06:06:10
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