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彼の根元に近付くこと。
それが全てだと思った。
「誉める」とか「叱る」とかいった表面的なものではなく、
彼の心の中に入り込むために、必死に訴えかける。
そんなことを繰り返す毎日。
ビュンッ! ペシッ! イタタタタタッ!
またかぁ~。 まだ、届かないかぁ~。
僕が精神的に凹みそうになることも、よくあった。
お父さんの話、お母さんの話、
学校の先生の話、同級生の話。
いろんな人の気持ちを話した。
そんな日々が続いた。
ある日の休憩時間、僕の気持ち、彼の将来の話をした。
「 なぁ、先生、会う度に、お前に説教みたいな話しとるよな。
お前も聞くの大変だと思うけど、
お前のことが嫌いだからだと思うか?
もし、そうなら、こんなに何回も話せないよ。
お前の将来を考えると、どうしても放っておけない。
このままだと、だんだん、
人に相手にされなくなっていくかもしれない。
そんなお前を放っておけない。
だから、何回でも話すよ。 お前に届くまで何回も。」
僕は椅子に座り、彼は僕の前に立って話を聞いている。
あれ? 「はい!」
「 どうした?」
僕は彼の顔を見上げた。
な、な、泣いている!
涙を流している!
「 ごめん、先生、言い過ぎたか?」
「いえ、情けなくって・・・。 自分が。」
と、と、届いた!
根元が少し動いた!
やった、ヤッターー!
僕も涙が零れ落ちる寸前でした。
「 おぉ~、情けないかぁ、そっか、そっかぁ。
それがあれば大丈夫だぞ。
それに気づけば、もう大丈夫だぞぉ。
その気持ちを大事に頑張れば、
情けない自分じゃなくなるぞ!
よし! 休憩、おしまい! 頑張るぞ!」
「 はい!」
これが僕の耳にした、彼の最初の、
本当の「はい!」でした。
休憩後の授業は数学。
難しい文章問題3問。
解いちゃいました、彼。
完璧に、解いちゃいました。
鳥肌が立ちました。
塾講師になって、最高に感動した瞬間でした。
彼の根元は動き始めました。
もう、彼の定規の方向は、暗い未来の方向ではない。
もう、ビュンッと戻る定規でなくなるのも、
時間の問題だと、そのとき感じた。
今でもまだ、僕と彼の物語は続いている。
明るい未来の物語は続いている。
また、そのときが来たら、書いてみよう。
それまで、僕と彼も、もっと頑張らなくちゃ!
みなさん、それでは、またの機会に・・・^^。
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