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2019.03.26
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カテゴリ: オーディオ技術
オーディオアンプには適正な帰還量があると思っています。
ご存じの通りNFBを掛ければ掛けるだけ歪を初めノイズレベルや周波数特性の改善が期待できるので、
高性能な測定器などを造るのであれば非常に有効な手段と言えると思います。
では、大量のNFBを掛け 歪率が0.00001%となったとしましょう。
果たして音質もよくなったのでしょうか。
実は、必ずしもよくなる訳ではありません。
その理由は、確かに大量のNFBを掛けることにより静特性である歪率は改善します。
しかし同時に、アンプの過渡応答特性が悪くなる場合があります。
つまり、音楽信号のようなダイナミックに変化する信号に対してアンプの応答が追従出来ないという現象が起こります。これは通常の歪率計では測れない波形の歪として現れてきます。
この様子は、高速のデジタルオシロで入力の波形と出力の波形を比較すれば観測可能です。
NFBは、時間遅れがなければ、NFBによる悪影響はないことは理論的にわかっていますが、
どの周波数でどのくらいの位相遅れ(時間遅れ)であるかが問題となります。
それによるNFBの弊害とは、位相遅れによって、フィードバック信号と入力信号とが正しく演算されず、
連続信号では検出できないが、いわゆる過渡特性が悪化するという事象で、1970年代ではマッティ・オタラ氏によって予測され、
TIM(トランジェント・インターモジュレーション)
IIM(インターフェイス・インターモジュレーション)、
と呼ばれた事柄がこれにあたります。
このマッティ・オタラ氏の提唱した理論はハーマン・カードンのサイテーションXXというアンプに採用され、
当時16歳の僕には難しくて理解が出来ませんでしたが、そうなんだとおぼろげに記憶しておりました。
自分でアンプを設計するようになってから、特性を追求して行くほど音が窮屈で暗い感じのなり或る時に通常搭載されている+20dB程のラインアンプを省いて(お金が無かった)その分のゲインをパワーアンプに持たせることにしました。
完成したアンプの一瞬で判る開放的で明るい音。躍動感に満ちた音質を目の前に感動した事を覚えています。
NFB量は確実に減っているんで歪率は0.1%そこそこ。正直回路設計技術者として特性を取るべきか、音質を優先すべきか悩みました。特性が良くないと設計技術の裁量を疑われる時代でしたので。
しかし、少なくとも自分用のアンプは音質を優先させたのは言うまでもありません。
この選択は間違っていないと今でも思っています。NFBに頼らなくても回路技術は進歩しNFB量を抑えたハイゲインのパワーアンプでも0.007%くらいにはなるからです。
さて、本題の適正なNFB量とはですが
NFB量何dBという事が出来れば良いのですが、静特性を犠牲にすることは本末転倒です。
単純な正弦波の特性が(特に歪)悪いのにダイナミックに変化する音楽信号の過渡応答が良い訳ありません。
そこで、人間の可聴限界を考えることにしました。単信号での歪率は一番耳の感度が良い3kHz~5kHzで
0.1%以下では差が認識し難い事が解っています。これは0.1%を超えると歪が認識されてしまう事を意味
します。
そこで、こう考えます。3~5kHzでの歪率が0.1%を下回る程度のゲインに設定し音質が最もよいと感じる
ゲインとする。
一見、根拠がなさそうな設定に見えますが、サーボ解析をやられた方でしたら遅れ要素のあるサーボ系で最も過渡的に良いのがNFBの無い時です、裸のアンプの歪にもよりますが1%程度でしたらNFB量は20~26dB程度になると思います。この時のアンプの仕上がりゲインが+36~40dB程であれば、特性的にも音質的にもバランスの取れたアンプになると考えます。
これが、適正NFB量の”考え方”=中山流です。
■ボード線図(ボーデ線図)■





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Last updated  2019.03.26 21:51:23
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