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「ベルリン・天使の詩」のヴィム・ベンダース監督の新作である。
ちなみに巨匠ベンダースの作品、観たことあるのは「ベルリン」だけ。
「ベルリン」はいろいろと物の見方を変えてくれた私にとって大切な映画である。いくらニコラス・ケイジ主演でもハリウッドリメイクはして欲しくなかったなぁ・・・。
まぁそれはさておきテーマは「アメリカに残る9・11(ニューヨークテロ)のトラウマ」。
かなり重い。
ベトナム帰還兵であり、今もテロ防止の為にパトロール(自主的に。仕事ではない)をおこなう伯父の下にイスラエルで布教活動をしていた宣教師の娘である姪が尋ねてくる。スラム街で中東系のホームレスが射殺される事件をきっかけに、殺されたホームレスの遺体を遠くはなれた町に住む家族のもとへ届けるべく二人で旅に出る・・・といったストーリー。
伯父と姪の心の交流やそれぞれの苦悩などがストーリーの主軸になっているが、ニューヨークでテロを体験したアメリカ人(伯父)と中東でテロのニュースを聞いたアメリカ人(姪)のテロに対する視点の違いを描くことがテーマに密接に関わる部分であろう。
「イスラエルではテロが起こったときに歓声があがった」という姪の台詞がとても重々しく心にのしかかる。アメリカはどうしてこんなに嫌われ者の国になってしまったのか・・・。
この映画に限らず9・11を題材にした作品を見るとテロで大切な人を亡くしたアメリカ人の友人の悲痛な様子が思い起こされてつらい。
反戦や反テロを掲げた映画ではない。
大切な人が亡くなったら世界中のどんな国の人も同じように悲しいのだと、監督の暖かい目線で描かれたこの作品は訴えかけているのではないだろうか?
「ホテル・ルワンダ」同様娯楽作品ではないので面白さや楽しさは求めてはいけないが、悲しさの中に暖かさが見えるので救われる。
ちなみに楽曲も素晴らしい。サントラだけでも聴く価値アリ。
観るなら元気があるときに。72点。
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