Accel

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February 4, 2014
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 レガンは、心で、密かに思った・・・

 なにだ・・・


 歩み進めると、警護と思われる者が、彼らの体の前に長い葉を差し出してきた。
 それはどうやら、行く手を遮る雰囲気である。
 謁見は、ここで行うようである。


 ポーーーーーーーーーーー・・・・・・

 低い、なにかの音・・・
 なにかが、静かに鳴らされている音。


 5人の少年は、ここまで来ておきながらも、なお、固唾を飲み、果たしてどうしたらよいのやらと言った感じで立ち尽くした。
 そんな彼らに痺れを切らしたセルヴィシュテは、とうとう第一声を発した。
「初めてお目にかかります。
 俺達は、ナイーザッツからやって参りました。
 まさかこのように王の前で話を聞いて頂けるとは思ってもおりませんでした。
 ええと、俺は、後ろの5人の方々に助けられ、身の安全をこうして確保できました。
 ところが、彼らは、どうやら常に、なにか悩みを抱えているようです。
 さあ、それを言うために、来たのですよね?皆?
 大丈夫です、率直に、意見を聞いて頂いてください」

 セルヴィシュテが口を閉じると、流れている音の調子がやや変わった。
 警備の者の雰囲気も、少し変わった感じがした・・・・


 警備の者が、葉で先の場所を示す。
 茶色の瞳で、その場所をいぶかしげに見ながら、セルヴィシュテは2、3歩歩み、そちらへと行った。
 レガン達も、その場へと、おっかなびっくり移る。
「・・・」
 チルセの顔が、だんだん青くなり・・・、とうとう彼は額に手をあて、頭を降った・・・



 なんだ・・・
 この感覚は・・・



 その様子を見たセルヴィシュテは、低い声で叫んだ!
「みんな!下がるんだ!
 ここは俺だけで!
 早く!」
 セルヴィシュテが力ずくで彼らを後ろに押しやり、苦しむ少年達をその場所から出す。
 「し、しかし」
 レガンが、天幕の布とセルヴィシュテを何度も見比べた。
 ここまで来たのだ。
 来たからには・・・

「いや、大丈夫、レガンさん。
 でも、そこから手を伸ばして、俺と手を握ってください。
 そして、喋ってください」
「・・・?」
 セルヴィシュテは、足元を改め、王への忠誠を現す動作をした。
 だが、国が違うので、その動作が意味を成すかどうかは定かではないが。

「ラマダノン王。
 俺は、セルヴィシュテ・・・
 俺は実は、エルダーヤ大陸から来ました。
 ですので、この大陸のできごとは、俺にはよくわからないのです。
 俺を助けてくれた方々は、どうやら、あなたの力がとても強く感じるようです。
 ああやって後ろに居ることを、どうか許してください」
 一度言葉を区切って、少しだけ後方に目線を送った。
「さあ、レガン。
 王はご理解下さるだろう。
 君が言いたい事を、言うんだ・・・言いたい事をね」
 軽く後ろに向かって、ニヤリとセルヴィシュテは笑った。


 例の音が・・・少し、低くなった。

 レガンは、まだ躊躇していた。
 先ほどは、来たからにはと決心したのに、いざとなると、なにから話せば・・・。

 すると、セルヴィシュテの握る手が、少し強くなった。
 レガンは、目を開け・・・
 ゆっくり呼吸をして・・・
 話し始めた。

「ラマダノン王・・・
 急に来た、俺の話、どこまであなたが信じるか。
 しかし、俺は、話す話術、才能もなにもない。
 俺は、自分の持ち駒を、全部出すしかないようだな・・・」
 レガンは、銅の胸当ての内側にしまった、銀貨を5枚・・・
 取り出すと、床に置いた。
「これは、俺の友がよこした・・・その残り、です。
 友は、ナイーザッツの城に勤めている・・・
 そいつが言った・・・
 このラマダノンの様子をみてこいと・・・
 あいつは、俺らの身なりがみっともないから、見苦しくなくして行けと言った。
 俺は、この金を一緒に来る奴にやる、だからついて来いと言った・・・
 そして銀かは5枚残っています。
 王よ、あなたは、友は金を何枚俺によこしたか、ご想像できますか・・・」

 ビクっとセルヴィシュテの手が震えた。
 レガンは、言いたい事は半分は言った。
 しかしなんだ?
 王を試すような事を言うとは?
 なぜいきなりそのような無作法な言動を・・・?


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Last updated  February 4, 2014 07:01:50 PM
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月夜見猫 @ 愛するケーナさまあはあと! おはようございます☆ >いつも本当にあり…
月夜見猫 @ オスン6757さん おはようございます。 >いつもありがと…
月夜見猫 @ もぷしーさん★ おはようございます。 >今まだうろうろと…
風とケーナ @ Re:「フィギアスケート選手を応援しよう!」(02/18) 月夜見猫さま、こんばんは♪ いつも本当に…
オスン6757 @ Re:「フィギアスケート選手を応援しよう!」(02/18) おはようございます。 いつもありがとう…

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