艶美なる隠れ里

艶美なる隠れ里

2005/02/01
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鏡

カテゴリ: カテゴリ未分類
鏡


覗き込めば真実の自分が映る鏡があるという。
見たいと思った。けれど、半分は見たくなかった。
何か安全な場所、が無くなるような気がして。
...逃げている。

本当の姿はどう見えるだろう。
いつも想像するだけで終わってた。
実際に見ようとはしない。
半分は怖いから。


時折顔を出す見知らぬ自分は、冷たく恐ろしい。
「もう見たくない...」いつも思ってた。

「どこか遠くへ連れて行って欲しい」「ここから逃げたい」
心が後ろを向いている時、決まってアイツは現れる。
そして、思い出すあの鏡。
一瞬、胸が軽くなる気がした。
その後で、とても寒くなった。
孤独が囲んでいる。睨んでいる。

「白黒の記憶」

いつの間にか過去は鏡に映らなくなっていた。
もうあの鏡の話も忘れていた。


帰りの駅のホームで何気なく目にした鏡。
いつの間にか置かれていた鏡。
鏡の中には知らない誰かが立っている、ジッとこっちを見て。
目を見て。
...アイツが。


鏡の中の自分は外の自分を手招きした。
一瞬、胸が痛くなった。
そしてとても怖くなった。
これは白黒の自分だ。

現実と虚構を作り上げる。
それは鏡だというのに。
いや、違う。
こっちが本物に決まっている。
アイツは偽者だ!
消えてしまえ!!

自分の肩越しに鏡の中の世界が見えた。
音の、色彩の、匂いの、感情の無い世界。
時間の無い世界。
強い寒気がする。
急いで振り返った。鏡から離れたかった。

肩を掴まれた。
「お前だけ...」
振り払って逃げた。


...気がつくと鏡の前に立っていた。
普通の鏡だ。
自分が映っている。
遠くから下り電車の汽笛が聞こえる。
ホームにいる人はいつもより少ない。





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最終更新日  2005/02/01 05:43:46 PM


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