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推理小説やサスペンスにはやや飽きてきたところに、
重松清の1冊である。
重松さんの作品は いじめや大切な人の死など、
切なくて辛いことがしばしば描かれているが、
家族の絆や人間の優しさなどが深く語られており、なぜか安心するのだ。
この ‘卒業’には4つの短編が収められてとり、
いずれも 家族や人との関わりについて考えさせられるものである。
病気の母の死を目前に向かえ、子供の頃を回想する40歳の息子・幸司。
彼の妹・まゆみは子供の頃、人とはかなり違った行動を取るため、
学校生活になじめず先生からも友人からも理解されずに、引きこもりになった。
しかし、どんなときも母は妹を叱らず、ずっとずっと見守り愛し続けた。
そんな母に苛立ちを覚え、反感を持っていた幸司であったが、
大人になったまゆみと、今意識不明の母の前で語り合ううちに、
いろいろな思いがこみ上げてくる。
幸司の一人息子もまた、今現在不登校になっていた。
まゆみから聞かされた母の果てしない優しさを知るうちに、
幸司は引きこもりのわが息子への対応や感情を振り返り、ある思いに到る・・・
これは、最初の短編 「まゆみのマーチ」である。
親としてのあり方や、子供への真の愛情について考えさせられる作品だ。
他に、 「あおげば尊し」「卒業」「追伸」が納められている。
‘海’ 小川洋子 June 17, 2007
‘殺人の門’ 東野圭吾 April 22, 2007 コメント(2)