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2025.05.11
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テーマ: 中小企業経営(5)
カテゴリ: 中小企業

どんな場面でも「これは絶対こうだ!」と断言しなければ注目を集められない世の中。書籍もウェビナーも、限られたページ数や時間の中で一気にインパクトを残し、「〇〇である!」と明言しないと先に進めないのが現実です。しかし、本音を言えばビジネスにゼロか百かの“絶対解”は存在しません。大切なのは、強い言葉で注目を集めつつ、現場では「時と場合による」という柔軟性を忘れずに活用すること。そこで本稿では、中小企業経営者のみなさまが自社に即適用できる四つの枠組みを、事例とともに詳しく解説します。最後に各章で「今すぐ取り組むべきチェックポイント」も提示しますので、ぜひ取り組んでみてください。

1.サービス設計は「誰に」「何で」勝つのかを定める

これまでは「高品質=選ばれる理由」でした。しかし同じレベルの品質が当たり前になった今、必要なのは“どこで”“誰に”“何をアピールして勝負するか”を明確にすることです。具体的には「国内市場」と「海外市場」で勝ち筋が異なる点に注目します。

国内市場では、商品やサービスのクオリティが一定水準に達すると、それ自体がセールスポイントになりにくくなります。たとえば地元の人気ラーメン店を思い浮かべてみてください。最高のスープと麺を作っていたとしても、味だけで隣の店と差別化するのは容易ではありません。では何が選ばれるのか。そこで決め手になるのが「人柄」と「ストーリー」です。たとえば創業者のユニークな経歴や、開店にまつわるドラマ、店主と常連客の絆──そういった“共感ポイント”が、人を動かします。経営者自らがSNSで日常を発信したり、動画で開店までの苦労を赤裸々に語ったりすることで、お客さまとの“共犯関係”を築くのです。

一方、海外市場で戦う場合、よほどのストーリーや個人ブランディングがある例外を除けば、やはり「品質勝負」がものをいいます。Apple製品が世界中で愛されるのは、スティーブ・ジョブズのカリスマ性が先にあったわけではありません。そもそもハードウェアとしての信頼性と完成度が、世界の厳しい品質基準をクリアしていることが前提になっているからこそ、“人”を語れる土台が生まれているのです。つまり、海外展開を視野に入れる場合、まずは製品やサービスのスペック、第三者認証、技術力の証明など“品質アピール”に全力を注ぐべきなのです。

この二つの市場を混同すると、国内で培った「人売り」の手法を海外でも試そうとして失敗しがちです。逆に、海外品質を重視している企業が国内向けに「堅い」顔で臨むと、人間味のない印象を与えてしまいます。まずは経営会議で国内向けと海外向けの比率を明確にし、それぞれに必要な中長期投資を振り分けること。国内ではブランディングやストーリーテリングに予算を配分し、海外では品質認証や展示会出展、サンプル輸送といった「モノの品質を示す」活動に注力する。実際にこの手順を踏んだある食品メーカーは、国内向けに「蔵元の情熱」を前面に出した動画を作成し、SNSでバズを起こしました。同時に欧州市場向けにはEUオーガニック認証を取得して輸出を開始。結果、国内外ともに前年対比で売上が20%伸びたのです。

2.広告力は「刃」であることを肝に銘じる

人を動かし、モノを売る力──それが「影響力(広告力)」です。しかし、影響力は両刃の刃。正しく使えば大きな成果を生む一方で、誤用すれば信用を一瞬で失います。だからこそ、その使いどころと見せどころを厳密にコントロールしなければなりません。

まず最初に、広告やプロモーションの目的を明確にしましょう。「新規顧客を獲得したいのか」「既存顧客のロイヤルティを深めたいのか」「ブランドの高級感を演出したいのか」──目的がぼやけると、メッセージもクリエイティブも散漫になり、結果として投資対効果が悪化します。また、KPI(クリック率、コンバージョン率、エンゲージメントなど)を具体的な数値で設定し、必ず検証スケジュールに組み込むこと。週次・月次で振り返り、達成度を見ながら次回施策をブラッシュアップします。

次に、自社の「強み」と「弱み」を棚卸します。商品やサービスの機能面に加え、組織体制や顧客対応、価格帯、創業ストーリーなどを洗い出し、「ここは他社に負けない」と胸を張れる強みと、「正直まだ成熟していない」と自覚している弱みを明文化します。たとえば新規事業がコロナ禍で思うように軌道に乗らず、「人が飛行機に乗らない今、売りづらい」という課題があるとします。その場合は、機能性(マイルシェアのようなサービスロジック)を前面に出すよりも、創業者自身の苦労や挑戦をドキュメントにして発信し、共感を呼ぶ方が効果的です。逆に、品質や機能が圧倒的に優れている自信があるなら、動画やオンラインセミナーで実際のパフォーマンス比較やデモを見せる“証拠型”プロモーションを仕掛けるべきです。

最も注意すべきは、「売れてはいけないもの」を売ってしまわないこと。影響力に任せて強引にセールスをかけると、一時的に数字は伸びるかもしれませんが、後に顧客クレームやブランド毀損という形で跳ね返ってきます。「影響力は刃である」という認識を常に持ち、広告投資を施す前には必ず「このメッセージで顧客にどんな期待を抱かせ、どんな行動を促すのか」をシナリオ設計しましょう。

3.脆弱性を武器に変えるストーリーテリング

ビジネスの現場では、強みをアピールし続けることが“正攻法”とされがちです。しかし、人は弱い部分をさらけ出すことで共感し、「自分も応援したい」と思うもの。特に中小企業においては、大企業のように厚いブランドバッジがない分、「人間味」が最大の差別化要因になります。

ここで活用すべきが「脆弱性ストーリーテリング・フレームワーク」。まずは背景説明として、なぜその事業に挑戦したのか、どんな想いでスタートしたのかを丁寧に語ります。続いて「苦境描写」。たとえば新入社員が担当した海外展示会でトラブル続出だったこと、インターン生のプロジェクトが度重なる仕様変更で頓挫しそうになったことなど、具体的な“挫折エピソード”を赤裸々に示します。そこで終わってはただの失敗談に終わるため、第三の要素として「立ち上がりのプロセス」をドキュメントします。社内会議での激論、深夜までの仕様調整、顧客に直接頭を下げに行った交渉シーンなど、ビハインド・ザ・シーンを映像や写真付きで見せると、信頼性が一気に増します。そして最後に「得られた学び」を発信。「失敗を繰り返さない体制を整えた」「顧客視点の仮説検証プロセスを導入した」など、組織やサービスの進化を明確に示すことで、応援者に“未来への期待”を抱かせられます。

実際、ある飲食店経営者は店の運営が軌道に乗らず、赤字続きだった前年の状況を動画で公開しました。オーナー自らが厨房で泣きながら反省する姿、スタッフと徹夜で新メニューを考える様子――一部始終をYouTubeにアップした結果、「このオーナーを応援したい」という熱量の高いファン層が急増。コロナ禍で落ち込んだ集客を、ストーリーで見事に回復させたのです。

4.資金投入こそ戦略的コミュニケーション

「お金を使う」行為は単なるコストではありません。むしろ、最もシンプルかつ効果的な“メッセージ”になり得ます。重要なのは、資金提供の構造を“ウィンウィン”の関係として設計し、相手が喜んで受け取り、かつ自発的に“ギバー”になれる仕組みを作ることです。

まずは投資目的を言語化します。オンラインサロンの会員獲得、新規事業のトライアル拡大、ECショップのリピーター強化など、数値や成果指標を含めて具体的に。次に、相手が“受け取りやすい条件”を整えます。相談料だけを先払いで渡すのではなく、制作費用や広告枠提供など複数の手段を組み合わせ、相手のリスクを最小化し、メリットを最大化する。たとえば「ドキュメント動画費用は全額こちらで負担」「動画公開後に生まれた売上の一部を還元」「制作過程を自社SNSでシェアして新たな顧客リードを提供」──こうした設計を事前に提示し、契約書や覚書で明文化します。

さらに重要なのは「どうフォローアップするか」。定例ミーティングや進捗報告の頻度、KPIレビューのタイミングをあらかじめ決め、両者が顔を合わせる機会を確保することです。これにより、相手はプロジェクトの成長を自分事として捉え、「自分が頑張れば、もっとお互いにメリットが出る」と感じてもらえます。その結果、相手は自然と“ギバー”の立場になり、第三者への紹介や口コミなど、追加的な価値を無償で提供してくれるようになります。

実際、あるベンチャー企業の事例では、新規サービスのプロモーション制作を外部クリエイターに依頼する際、制作費用の三倍に相当する広告枠とSNS拡散サポートをセットにして提案しました。その結果、クリエイターは「ここまで手厚い支援を受けられるなら」と前向きに機材投資を自身で行い、完成度の高いプロモーション映像を納品。公開後の反響も非常に大きく、想定の倍以上のリード獲得を実現しました。

おわりに:断言のパンチと柔軟のアートを融合する

本稿でご紹介した四つのフレームワーク──「市場別サービス設計」「広告力マネジメント」「脆弱性ストーリーテリング」「ウィンウィン資金設計」──は、それぞれが独立したメソッドであると同時に、互いに有機的に連携させることで、さらに高い相乗効果を生み出します。まずは経営会議や幹部ミーティングで一つずつ取り上げ、具体的なアクションプランに落とし込んでください。そして、常にPDCAサイクルを回しながら、断言によるインパクトと臨機応変による実行力の両立を磨き上げましょう。

断言は人の心を一瞬でつかみ、柔軟は長期的な信頼を築きます。この二つをバランスよく使い分けることで、中小企業の経営者であるあなた自身が、唯一無二のブランドとして輝くことができるはずです。ぜひ、今日から実践してみてください。








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最終更新日  2025.05.11 09:22:51
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