モルのこと・1

モルのこと.1





初めてモルを飼おうと思ったきっかけは、映画「ドクタードリトル」に出てきた茶色と白のぶちの子が出てきたときでした。
「なんてこんなにかわいい動物がいるんだろう!!」
と思いました。
当時、モルモットの存在はもちろん知っていたのですが、巻き毛の子だけだと思っていた私は(そんなわけないのですが)、短毛のモルモットのとりこになってしまったのです。




しばちゃん


彼女がモルモット第一号の子です。写真写りが悪いのは、写真しかなくてデジカメでその写真を撮ったからです。

この子は、某ホームセンターで2980で売られていました。
当時は、おにぎりぐらいのサイズしかなくて、
「本当に育つかしら・・・?」
と考えたものでした。
我が家に来てから1週間もしないうちに、片目の周りがただれてきてしまいました。
「皮膚病だ!」
と思い、すぐに獣医さんのところで診察していただきました。
やはりそうでした。
目薬をいただき、帰りました。
獣医さんの話ですと、ペットショップ(ホームセンター)の管理がいきわたっていないことによる、「結膜炎」ということでした。
それを聞いても、私はこの子を手放す気にはなりませんでした。
せっかく何かの縁で出会ったのですから、こんな小さい命を見放すということが出来なかったのです。

この子には、「しば」と名づけました。すでにうめちゃんは我が家に来ていたので、両方合わせると「梅しば漬け」になるから面白いと考えたのです。
すごくなついてくれる子でした。

病弱な子だったので、病院通いが多く、


亡くなる1ヶ月前も足の付け根の部分に穴が開いてしまい(かきすぎで空洞が出来、そこに膿がたまってしまったということ)、通院をしなくてはなりませんでした。
傷口をなめてはいけないということで、特別にモルコルセットを作っていただき、毎日塗り薬と、飲み薬を飲ませました。

しばらくしてから治り、ほっとしたところでした。
1週間ぐらいしたある日、「けほっ」と小さな咳をしているのに気づきました。のどのところに、ちいさな腫れが出来たようにも思いました。水の色もにごったようなきがしました。
普段からくしゃみは時々していて、「人間と同じですよ」と聞いていましたので、あまり異常とは感じられなかったのです。
1週間前にはコルセットをはずしたときには異変は感じられなかったので大丈夫だ、と思ったのです。
と、いいますか、正直看病疲れと金銭面で病院に連れて行こうと思えなかったんだと思います。
「しばちゃん、お給料日が2日後だから健康診断に行こうね」
軽く言葉をかけました。本当に軽い診断で治る風邪だと思ったからです。

私は、母親にしばちゃんのことを頼み、息抜きのつもりで、当時彼氏だっただんなさんのうちに泊まりに行きました。

次の日、帰ってみるとうめちゃんのすのこが下痢で一面汚れていました。
「うめちゃん、どうした!?」
と近寄り、話しかけている横目にしばちゃんがよろよろと歩き、パタンと倒れたのを見たのです。
「!?」
急いでしばちゃんを抱き上げました。

口の周りが血だらけでした。
私の顔をちらりと見ると、「きゅ~・・・」と言ってかくっとなりました。
私はあわててお財布をとり、泣きながら、家のそばの獣医さんのところに行きました。

獣医さんのところには、たくさんの動物の患者さんがいましたが、私が泣きじゃくっているのに気づき、急いで診察室に入れていただけました。
蘇生の処置が施されます。
その場にいる獣医さん、看護婦さん、そして私も、しばちゃんの姿で気づいていました。
それでも、獣医さんは今考えられる出来る限りの治療をしてくださいました。

しばちゃんの亡骸を家に連れて帰り、庭に植えてからしばらく放心状態になりました。
そして部屋のしばちゃんのおりのすのこには血がいたるところにこびりついていたのです。
異変に気づいていたのに、獣医さんのところに連れて行かなかったこと。
最後の日の夜に、一緒にいてあげれなかったことを後悔しました。
自分のせいで、死期を早めてしまったとも思いました。

しばらくして母が、私にこういいました。
「感謝して、逝ったのよ」
今では真相はわかりませんが、確かにしばちゃんは私の腕の中で息を引き取ったんです。
一晩、血を吐きながら、私を待って、会えたときに感謝の言葉を話してくれたのだと思います。「ありがとう・・・」と。
虫のいい話かもしれませんが、私はそう思っています。
最後のときの「きゅ~」は、たしかに私を見て最後の力を出してくれたのですから。




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