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2006年03月13日
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昨夜はNHKで故古今亭志ん生師匠のインタビューを見ました。
未だにその人気を誇る落語界の巨匠ってな感じですが、この人の生き方には本当に頭が下がります。
もう生活自体が全て落語ですよね。

そういえば最近見たテレビドラマに「タイガー&ドラゴン」という、落語をテーマにしたホームドラマがありましたが、毎回落語の話を取り入れて展開する面白い番組でした。
まあ、一口に落語と言っても色々な語り口やタイプがありまして、中には艶っぽい話とか、人情話とか、怪談話まであって、昔の娯楽とすれば今のテレビ以上に庶民の間では大きな楽しみの一つだったのでしょう。

しかし、この落語のネタというのがとにかく面白いですね。
何処にでもある日常の風景の中に「笑い」を見つけてみなで人生を楽しむという、非常に道楽者的人生の体現は、その生活が貧しければ貧しいほど笑いのセンスが深くて共感を呼ぶという、一種自虐的な行為ではありますが、とにかくこの理屈のいらないナンセンスさは最高です。
特に関東ではこの「洒落」というところに「粋」を見出す傾向があるようで、「江戸っ子は宵越しのゼニはもたねぇ」などど豪語するハッタリは、貧乏人のやせ我慢みたいなところがあって、これがまた笑いを誘います。



ただ、落語の面白さはこのエンディングにきちんとオチがあり、このオチのセンスこそが「洒落」になるわけです。
ちょっと凝ったオチになると、筒井康隆風ブラックジョークというか、メビウスの輪のようないくら考えてもよくわからないような哲学的なものもあり、そこら辺が笑いの最高の魅力だと思います。
最後にペーソスで泣かせて、「良いお話だったね」なんてことにはまずならないところが、笑いの「粋」でもあるわけです。
客席で「う~ん」なんて頷いていると、「お客さん、こんな話で頷いちゃいけませんよ、落語なんだから。あんた、噺家の言うことに頷いているようじゃ、人生お終いだよ」なんて、お客を諭して更に笑いにしちゃったりしますから凄いですよね。

NHKの古いインタビューでは、志ん生師匠が浅草時代に歯医者に行って歯を抜いた話が出てくるんですが、抜いたまでは良いが貧乏してるから抜いた歯を矯正できない。
「いくら噺家だからって歯がなきゃ困るだろ。これじゃほんとにハナシカだって」そう言って洒落にして笑っちゃう。
そんな駄洒落が絵になる道楽者ってのは、その人の人生の裏づけがあるからで、どれほど貧乏を掘り下げたかという一種独特の美学があります。
当然奥さんや家族はそれ以上に苦労されたのでしょうが、この貧しさの上に立つ笑いというものこそが人生哲学そのものなわけでして、やはり道楽者としては究極の道楽を極められたこの偉大な道楽者の先人に改めて敬意を表したいと思います。

ということで、今日は現役道楽者のひとりから皆様へのメッセージを送ります。
みなさん、ニッポンの文化、ビンボーカルチャーのルーツ、寄席へ行って落語を見ましょう。落語には人生のエキスが凝縮されています。
生きることに疲れたら寄席へ行って道楽者の悟りを開きましょう!





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最終更新日  2006年03月13日 08時17分39秒 コメントを書く


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