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2007年07月10日
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最近、やたらと外出が多いもので、ゆっくりタイプする時間がなくて往生してます。(汗;

ということで、今日はちょっと趣を変えて、ある人物を御紹介したいと思います。
今から15~6年ほど前になりますが、ちょっとしたきっかけでめぐり合った素晴らしい女性がいました。当時の私はまだ四十前で、日本の景気もバブル真っ盛りというような、すべてがとても元気の良い時代でした。

彼女と出逢ったった時の第一印象はというと、「大宅政子か?」(笑)ってな感じで、体格も良く、年齢の割にはやたら派手なファッション、前歯のワンポイント(詰め物・注:差し歯じゃないよ)にはダイヤモンドが光輝き、有る意味「オーラ」に包まれての登場でした。

ご同行されていたもう一人のご年配女性は、こちらより少々若くて落ち着いた感じの、さぞや昔は美人だったろう(失礼)、というような方でした。
もう随分と昔の話なので、匿名ではなく実名出しちゃいますね。
どちらかというと彼女たちを讃えるエピソードですから(笑)

オーラに包まれて登場した女性は、当時ドイツのホフブロイ・ビールの輸入元をされていた麻生弥壽子社長、御供の女性は千葉県市川市在住(たぶん現在もおられると思います)の書道家・近沢百合子先生のお二人でした。


ビール好きな方ならご存知かと思いますが、このドイツのホフブロイというのはミュンヘンを代表するビアホール・ホフブロイ・ハウスのオリジナル・ブランドです。
そして、ちょうど私たちが知りあった年に、麻生社長は新宿でこのホフブロイ・ハウスを開業しました。私はあまり縁がありませんでしたが、とにかくドイツ・ファン、ミュンヘン・ファン、ビールファン、そんな各界の著名人が集う、当時でもひと際斬新なお店でした。

まあ、出会いはこんな感じでしたが、当時はなんといってもバブル全盛期ですから、彼女以外にも、それこそ名前は明かせないような大物の方々(笑)とも随分とお知り合いになったりして、こうした出会い自体、さほど珍しい出来事ではなかったんですね。ところが、たまたまサイパンにビール工場が出来たところから、一気に彼女の世界へと引き込まれて行ってしまったのです(笑)
偶然にも日本の業者とオーストラリアの業者が、同時にビールの生産を始め、いわゆる地ビール、生ビールのレストランを開業したのです。今から16年程前になるでしょうか。

現在でもUSテリトリーのビールはバドワイザー帝国に支配されているので、当時も結局は地元だけの生産販売ということでしたが、これが中々美味いビールで、それなりの好評を博したのでした。
まあ、そんな工場を視察したいとのご希望で、私はこのご婦人方お二人をオーストリア風レストランにお連れしたのでした。
そして、このオーストラリアのレストランで流れていたオーストリア(アイリッシュ)民謡を、なんとこの麻生社長がかぶせて歌いだしたのです。しかもかなりの大声で(笑)

驚きましたねー、いきなりですからね。周りの客も注目!でした。
更に、オーナーが現れて一緒になって大合唱を始めたのです。
何でもこの店のオーナーはドイツ系のアイリッシュで、お店のカラーとしてオーストリア民謡をBGMにしていたのだそうです。
そしてこの麻生社長は、日本でもかなり有名なドイツオペラの歌手だったのです。


とまあ、そんなことがきっかけとなって、この女社長の半生を知ることになり、またまた仰天した私でした。

ドイツオペラだけではなく、ヨーロッパ文化に詳しい社長、若い頃はNHK仙台で文化番組の司会なども務められたり、その手の知識人の間ではちょっとした著名人でもあったのでした。でも、私が感動したのはそんな「表」の顔ではなくて、実はこの一人の女性の戦歴(笑)の凄まじさだったのです。

仙台の造り酒屋に嫁いだ彼女は、封建制度ギチギチの中でヨーロッパ文化の紹介、普及という相反する活動を続け、結局は古い制度に収まりきらず子供を連れて家を出ました。
その後、この調停に入った麻生弁護士に強く求められ子連れで再婚。
再び破局して、ドイツビールの輸入元兼レストラン・オーナーとなるまでの、それはそれは文字通り波乱万丈な人生であり、道楽者の私はいつの間にか彼女のファンになってしまったのでした。


ただ、彼女がその壮絶な人生と引き換えにして失ったものが家族であったという事実も、私の心に強く残っています。

そして、約10年ほど前、新宿のご自宅の高層マンションから落下、一命は取り留めましたが、左半身が麻痺して動かなくなり、引退、現在はイタリアのフィレンツェに隠居されています。当時、息子さんと会社の経営をめぐる確執から、自殺とも騒がれましたが、結局、現役は引退されたものの強靭な生命力で、77歳の現在も、養老施設などを巡っては歌を歌うボランティアなどに精を出されています。

そんな彼女から毎年バースデー・カードが届きます。
もちろん今年も来ました。そしてカードには必ず、イタリアの歴史に関するちょっとしたエピソードなどが添付してあり、この人のひたむきな生涯学習欲のパワーと生命力の力強さを注入されるような思いで一杯になります。

私が最後にこの地サイパンで彼女と会った時、彼女が薦めてくれた映画がありました。

「ブレイブ・ハート」

彼女は、この映画の最後で主演のメル・ギブソン演じる中世の騎士が叫ぶセリフこそが、ヨーロッパの精神だと教えてくれました。
今にして思えば、この時彼女はご子息との確執の中で、自らの精神が圧迫されていたのではないかと思えます。この映画に描かれた「精神」、それはまさに彼女の心の叫びそのものであったのではないかと、今でも思っています。

そして、今でも私は、お互いを、縁の薄い親子がめぐり会った擬似母子ではないかと思っているのです。

彼女は私との会話で、失ってしまった息子たちと適わなかった会話を、そして私は素直に心が開けなかった母親との会話を、お互いが演じているのではないかと思っています。
素養や背景はまったく違う二人ですが、親が子を思い、子が親を思う心に変わりはないのです。





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最終更新日  2007年07月10日 13時51分06秒
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