BL駄文・華は夜ひらく

BL駄文・華は夜ひらく

2010年01月30日
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カテゴリ: 道に落ちていた男
BL諸説です、興味ない方、嫌悪感を抱かれる方はご遠慮下さい。

幸福感を抱いたまま、目を覚ます。
隣には愛おしい男のやすらかな寝顔、それを名残惜しげに見つめながら会社への身支度を進めた。
ネクタイを締め、鞄を持ちそっと部屋を出る。
椎名は起きない、その方が良いと鴻山は思う。
カツカツと言う靴の音と人の波の中を歩く、今日だけは平穏に過ごすことが出来ると思うと心が何時もよりも軽い。
明日の事は考えないで置く、そうしなければこの幸福感が消えてしまう、そう、野瀬の留守である今日一日だけはこの思いを無にしたくないと願った。
オフィスへと入る、まだ、人もまばらで活気のあると言った空気は微塵も感じられなかった。
朝のひと時、就業前の和んだ空気を感じながら昨日、作り終えることの出来なかった資料を取りだし目を通す。


「おはようございます」
「おはようございます」

気分が良かった。
普段は野瀬の視線を感じながら交わす挨拶は遠慮がちだった。
しかし、普段と違う事に気付いた彼女が笑顔で尋ねて来た。
それは興味本位のものではなく何時もの鴻山の周りの空気が違っていたからだった。

「鴻山さん何か良い事でも有ったんですか?」
「え、なぜ?」
「気付いて無いの?楽しそうですよ、顔も明るいし」
「そう?」
「ええ」


鴻山自信、意識をしていない事を言われ驚きもし、椎名との生活がこれほどまでの影響が有るのかと実感した。

午前中は昨日から引き続きの仕事をこなし、終わらせる事が出来た。
何とか残業をする事無く帰れる目処が付いた。
何もかも順調だと思え、食事に出ようとした時、携帯電話のバイブ音に気付き携帯を取り出すと画面には見たく無かった名前、一瞬にして朝からの幸福感が泡と消えた気がする。

「はい」

「これから食事をと思ったところです」
「そうか、丁度良かった、明日の確認をして置こうと思ってね」
「その件でしたら。。。」

重い空気が鴻山を包んだ、なにかを指示されるのではないかという危惧、心臓が普段よりも早く脈打つのを感じた。
電話の向こうの息遣いまでもがリアルに聞こえて来そうだった。

「返事は分かっているね」
「はい。。。」
「これから好い事をしよう」

心に釘でも打ち付けられた気分に成った。
なにをするというのだろうかという思いと離れた場所から彼が出来る、ありとあらゆる事が頭の中に浮かび、気分が沈んで行った。

「聞いているか?」
「あ、はい」
「期待をしているのだろ」
「いえ、期待など。。。」
「そうか、まぁいい」
ぞっとする、この指示が何処でされているかは想像が出来なかったが野瀬のことだ誰かにこの会話を聞かれるような間抜けな事はしないだろうと思えた。
独りで居られる場所、そして出先でこんな電話がを掛けて来られる場所は限られて居るだろうと想像するのだった。

「あ。。。あの。。。」
「なんだ、期待しているのだろ、自ら先を請求するとは。。。ククク。。。まぁいい」

厭らしい声が耳の奥を侵す、居た堪れない気持ちで周りを見渡した。
午前の忙しさから解放され、晴々した顔で食事へと向かう同僚達賑やかな声が別世界に見える。

「聞いているのか」
「あ、はい」
「そのまま外に出なさい、そしたら分かるね、向かう先が何処なのかは」

以前にも同じ事をされた。
行き場所は一箇所、携帯を切らないで表に出た。
声を掛けそうになった同僚がその姿を見て遠慮したのが分かった。


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最終更新日  2010年01月30日 13時59分21秒
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