
11時間半の窮屈な飛行は
さしてこともなくわたしを1万キロ遠方に運んでくれる
日本人の多い飛行機はどだい違和感はない
東京ほど混みあっていないアムス中央駅も何の違和感もない
行き交う人々
オシャレという概念が存在しないかのように
そっけない衣服に身を包んで・・・
凹凸の大きな大きくからだが行き交う
でもはじめから違和はない
あたり前のように・・・
駅間のターミナルからなつかしい32番のバスに乗る
前の座席にこちらを向いてその男は坐った
その男
もう何年も前・・
仕事関係で近くの地域図書館通いをしていた
10年ちかく前
どういうわけかいつもいつも視界の中にいた
気になる男
それからも忘れたころに
どういうわけかまた変なところで突然見かけた
何度も
その顔がいきなり
わたしがアムスです
とでもいいたいかのようにまた前にあった
まちがいなく職なしで
周りとは隔絶した想いの気配を放ち
セントペテルスブルグの郊外に隠遁した不思議な数学者まで連想させ
浮浪者のようで・・
アムスには縁のないような・・・
その若者
もちろん声をかけたことも
挨拶したこともない
5週間ぶりで日本から帰り
ちりほどの違和感もないまま空港に着き
税関を出
電車に乗り
駅前を歩いて
バスに乗り
くすぶった世界に現れた彼
何かを暗示しているのかな・・?
と、
一夜明けた今日もまだ気になっている
まったく何かわからないのだが・・・
