2002年の暮れにDUから買ったCD。 TONE OF A PITCHというポルトガルのレーベルからのもの。 ポルトガルのジャズシーンは情報もあまりこちらにはいってこないので馴染みが薄いのであるが、JAZZPORTUGAL.NETというサイトもつくられているほど、それなりのジャズシーンが確立されているようだ。とは言っても首都リスボンの人口がわずか100万人だそうだからそれなりの規模だと推測されるが、このレーベルからも何人か新人の作品がリリースされていて注目にあたいする。 ポルトガルのミュージシャンが77名紹介されているが、名前をざっとみたところ、CARLOS BARRETTOやBERNARDO SASSETTIくらいでほとんど聞いたことのない名前。ペリコ・サンビートやアルバート・サンズなどスペイン出身の名前もはいっていたが・・・
このCDにはTPにAVISHAI COHENの名前がクレジットされている。 もっとも購入した当時は今ほど騒がれてなかったし、実際プレイのほうもFSNTのトリオ盤ほど弾けた演奏は聴けないのであるが、非凡な才能の断片は聴き取れると思う。 テナーサックスのJESUS SANTANDREUのほうがどちらかというと目立ったプレイをしており、一言で言うとマイケル・ブレッカーしているのだ。 1曲目の一糸乱れぬ複雑なラインのアンサンブルなど迫力もあるし、情熱を感じさせる楽曲の出来映えに感心させられる。 リーダーのNELSON CASCAISが2曲を除いて作曲を担当しており、4曲目の「THERE`S A STAIN ON MY SHIRT」など60年代のウェイン・ショーター風だし、アップテンポの6曲目「LOOKING BACK」もミュージシャンうけしそうないい曲だと思う。 ラストの「SEI LA!」ではテナーとトランペットが同時にアドリブを繰りひろげスリルに富んだジャズを展開している。
ガーシュインの「HOW LONG HAS THIS BEEN GOING ON」。 映画「ラウンド・ミッドナイト」で女性歌手が唄う場面があってデクスターの伴奏とともに強烈な印象に残ってこの曲を覚えた。 渋くていい曲だと思う。この曲はSANDSTROMのソロバラード。 残り3曲はラストまで快活な明るい曲調の作品がツーテナーで演奏され楽しく締めくくられる。 北欧のベテランテナーの近作(といっても10年以上前だが)はモダンジャズの名曲を演じた楽しい作品になったと思う。 録音は1993年7月4日
初めてジャッキー・ペルツァーを聴いたのは、ルネ・トーマのレコードだった。結構鋭角的というかヨーロッパのアルティストにしてはエッジのある音使いで吹くなぁという印象を持っていた。 このCDは六本木WAVEの広告で知って1994年の今頃入手した。 メンバーはJACQUES PELZER(SAX,FL)PHILIP CATHERINE(G) PHILIPPE AERTS(B)BRUNO CASTELLUCCI(DS) 中堅、ベテラン勢でかためられたグループサウンドは極めて洗練された響きで気品さえ感じられる。最も楽曲のもつ雰囲気は彼らヨーロッパの土壌に成り立ったジャズに巧みにその50年代ジャズ(黄金時代)が持っていた輝きをトランスレートしているのだ。決して宮廷音楽でもなんでもなく正真正銘、真正面のジャズだ。 取り上げられているジャズオリジナルが最高に良い。 TADD DAMERONで「GNID」「SOUL TRANE」 HORACE SILVERで「LOVE VIBRATION」 GIGI GRYCEで「SALUTE TO THE BAND BOX」「QUICKSTEP」「CONSULTATION」「SOCIAL CALL」「DELTITNU」「MINORITY」 その他は「THEME FOR ERNIE」「I DIDN‘T KNOW WHAT TIME IT WAS」「SPEAK LOW」 タッド・ダメロンは作曲家として素晴らしい才能の持ち主なのは、認知していたけれども、このCDを聴いてジジ・グライスもそれに劣らぬ作曲家であることを知った。 一聴さりげなさを感じる楽曲が何度か聴いているとその楽曲のもつ深さ、豊かさが次第に理解できてくるスルメ曲をたくさん発表しているミュージシャンだと思う。 ラストは「MINORITY」。
2曲目や4曲目なんかは、古くはリーブマン~グロスマン、ブレッカー~ミンツァー、井上淑彦~藤原幹典などのプレイの応酬を連想する。 録音は1994年10月1日 NY SOUND ON SOUND
去年の年末、中南米音楽のコメントを見てこれはなんとなく良さそうだなぁと勘で購入。 「ESQUINAS」というアルバム名も中村善郎のセカンドアルバムと同じだし、期待は見事当たって正月休みののんびりした雰囲気にピッタリだった。 アリ・バローゾ1曲、カエターノ・ヴェローゾ2曲、ジョビン1曲のカバー以外は自作曲。作曲家としての才能をとても感じる作品群で、ボサノバ、ブラジル音楽があわせもつサウダージ感覚溢れた曲が抑揚のきいた声でほのぼのとナチュラルに唄われていく。 全部いい曲だが、個人的には2曲目「TUA CHAMA」ジョイスがカバーしそうな4曲目「NO MAR DA CANCAO」が特に気に入っている。
録音は1998年7月10日 LAVINIO メンバーはROSARIO GIULLIANI(AS,SS)PIETRO LUSSU(P) JOSEPH LEPORE(B)LORENZO TUCCI(DS)
今出張先から帰ってきたところで昼間山口の商店街にある中古屋で買ったこのCDを聴きながら同時にアップさせています。 ELLYN RUCKERはカプリからリーダーアルバムをたくさんリリースしているがこのCDはLEISURE JAZZという知らない会社からのもの。1曲目と2曲目にフェイバレットソングが入っていたのが買った理由。「BEAUTIFUL LOVE」「ISRAEL」。 後はブルー・ミッチェルの「FUNGIMAMA」やボーカルで「SPRING CAN REALLY HANG YOU UP THE MOST」「UP JUMPED SPRING」(F・ハバード)後はエリントンを2曲。 1曲目は情緒深い繊細さを兼ね備えた仕上がり、2曲目は少しハードなタッチで少し演奏が走りすぎかなぁ? 3曲目「TAKE THE COLTRANE」こういう演奏させると本場のクラブでも常日頃揉まれているあちらの連中はこのエリンを含めて本当にうまいねぇ!4曲目「WONDER WHY」3曲目と同じくネイティブの強み、本場ショービズの力は強い。 5曲目もエリントンナンバー「昔はよかったね」 6曲目は弾き語り、7曲目はトリオで唄われる。 ピアノの腕前は歯切れがよく明瞭なタッチで結構力強く弾ききる演奏でスキャットも披露しながら見事なプロフェッショナル振りを見せ付ける。 ラストは楽しい曲「FUNGI MAMMA」で幕を閉じる。 本場の上質なエンターテイメントが収録された一作だと思う。
こういう場にいたら、さぞ美味しい酒が飲めるだろう・・・ 録音は1991年12月7日 NEW ORLEANS MAHOGANY HALL
10年ほど前になるだろうか六本木WAVEの広告で知って通販で入手したアナログ盤。メンバーが凄い。 JOHNNY GRIFFIN(TS)DADO MORONI(P)LUGI TRUSSARDI(B)ALVIN QUEEN(DS)ISLA EcKINNGER(TR),もうひとつのグループにはMADS VINDING(B)MAKAYA NTSHOKO(DS)ANDY SCHERRER(TS)が参加している。こんなスペシャルなメンバーをバックにスイス人のボーカリストBRIGITTE BADERが唄っているのだ。 選曲も抜群に良い。「GOODBYE PORK PIE HAT」「SOPHISTICATED LADY」「HOW LONG HAS THIS BEEN GOING ON」「BUT BEAUTIFUL」「BEAUTIFUL MOONS AGO」「OUT OF NOWHERE」「YOU`VE CHANGED」「DAY BY DAY」「PRELUDE TO A KISS」に3曲のオリジナル作品の全12曲が収録。 値段が自費出版のためか\3500以上したのを覚えているが、聴いてみたい欲求のほうが強くて買い上げた。 丁寧な歌唱でへたに歌を捏ねくりまわさずストレートに唄うスタイルで好感がもてる。 声質はウィスパー系とか清廉でか細いタイプではなく、かといってパンチが効いた声量のあるタイプでもない中庸の線、口を結構大きく開けて唄っているイメージがするチアフルな唄い方といえばいいだろうか? 決して無理して自分の出来ないことにトライアルするような事はしておらず、等身大の自分をナチュラルに表現しているので、わざとらしさや嫌味がないので、聴き疲れがしない。 アルバムとしてのクオリティーの半分はグリフィンはじめジャズ界の名だたるミュージシャンに任せ、自分の考えるジャズボーカルを素直に歌ったのがこのアルバムの成功のもとだと思う。
ジェリー・マリガン・カルテットの「木の葉の子守り歌」などで50年代のチェット・ベイカーの演奏をジャズを聴きはじめた頃FM放送なんかで聴いたのだが、その頃はやはりマイルスやフレディー、クリフォードと黒人の50年代ハードバップが一番であまり耳にすっーと入ってこなかったが実際のところだった。 「気まぐれ飛行船」である日チェット・ベイカーの歌がかかった時「その中性的なボーカルに反って男らしい強い意志を感じるとかなんとか」ボーカリストの安田南がコメントしていた時のことを覚えている。その放送でチェットのボーカルに興味をもった。 私はというと、チェットの歌はクリス・コナーなんかをもっと低音にした女性ボーカルのようだなと思った。 しかしその頃はまだインストのジャズを追いかけるのが精一杯でチェットのレコードをはじめて買ったのは、数年後CTIの「SHE WAS GOOD TO ME」が廉価版ででた時だったと思う。 それから研究会でウエストコーストジャズを受け持つことになり、数枚チェットのはいったレコードを買ったはず。 本格的にチェットが好きになったのは、社会に入り酒を飲むようになってから・・・ STEEPLECHACE盤やそのヨーロッパのマイナーレーベルから一頃毎月のようにライブ盤がリリースされていた。 自伝映画も封切られ、それのサウンドトラックもでた。 BRUTUSでチェットの特集号もでたくらい。 80年代になってチェットの人気は日本とヨーロッパでピークに達していた。 そしてあっけない幕切れ。 ホテルの部屋からの転落死。 チェット・ベイカーほどフイルムノワールの雰囲気を漂わせたジャズミュージシャンはいないと思う。 もうこのようなミュージシャンは二度と出てこないように思う。 映画や小説の中のようなことを実際人生の中で経験してきた波乱万丈な一生を送った人。 このレコードは大阪の「MUSIC MAN」で10年以上前格安で手に入れた。レイチェル・グールドのはいった兄弟盤も違う店で同時に入手した。 チェットのレコードの中でも特に愛聴している一枚。
1992年に岡山のLPコーナーで買ったCD。すこし前にDRAGON盤「POEM」を何ヶ月か待って入手したばかりの時だった。 メンバーの豪華さで即、買うことにした。 JOHN SCOFIELD(G)JACK DE JOHNETTE(DS)DAVE LIEBMAN(SS)BILL EVANS(TS)NIELS LAN DOKY(P)ULF WAKENIUS(G)そしてリーダーのLARS DANIELSSONが曲によって様々な編成で演奏したオールスターレコーディング。 去年ラルス・ダニエルソンの新作がACTから久々にリリースされたが、このCDの顔写真とだいぶ人相が変わっていて12年の月日の経過を感じた。この頃はすごく若々しいラルスがジャケに写っている。 1曲目、2曲目はジョンスコのギターがフューチャーされた曲でウネウネした独自のラインはここでも非常に個性的。 3曲目はLARSの特色がよく出た曲調の「FAR NORTH」。 DAVE LIEBMANが北欧の鉛のようなどんよりと厚く垂れ込めた雲の狭間から一筋の太陽の光が差し込むようなきらびやかで物憂げなソロを展開。 4曲目は「枯葉」LIEBMAN,DANIELSSON,DE JOHNETTEのトリオはさすがに変幻自在でありながらプレイに余裕があるというか、スリリングでありながら巧みにコントロールされた印象を受ける。 5,6曲目はULF WAKENIUSのギタープレイが聴ける。 今はスパイス・オブ・ライフから日本盤でCDも出て結構認知されてきたワケニウスだが、この頃はまだ知る人ぞ知る存在だったはず。 7曲目はリーブマンが参加したカルテットによる作品。 ダニエルソンのアルバムでは一番聴きつけているフォーマットだけにやはり一番耳にしっくり来るサウンド。ラストは自身のベースがメロディーを取るピアノトリオの演奏。 録音は1991年1月 NY SOUND ON SOUND STUDIO