音円盤アーカイブス(2006年4月,5月)

KIRAN OVERS
ギタートリオファンって日本全体にどのくらいいるんだろう?
ものすごく少ない気がするのです。CD売っててピアノトリオの十分の一、いや二十分の一かもしれないなぁ・・・それくらい人気薄で反応鈍いのです。
ピアノトリオの活況ぶりに比べ、正直歩が悪いのはしょうがないとして一頃のギターブームは何だったのという感じです。
実際、アメリカのローカルシーンに目を向けてみるとピアノトリオに肉薄するくらいギターものがトリオ作品含めて録音されているし、そんなローカルのミュージシャンにも凄腕のテクニシャンが結構いるのです。
今日紹介するのはLONRE LOFSKYっていうカナダのギタリストで、この作品と一緒にリーダーのトリオ作品も入手したのだけれど、こちらのほうが出来が良いのでこの2004年作にしました。
ロフスキーはとても繊細な表現を得意とするギタリストだと思います。
演奏全体のサウンドに気を配りながら自己主張はしっかりとするタイプといったらよいだろうか。
むやみやたらと高速フレーズを弾きまくるのではなしに、構成を考えながら臨機応変に対処していくフレキシビリティーにとても優れたギタリストだということが分かる。
ギター好きのかたは、是非チェックされてよいギタリストの一人だと思います。
1. autumn leaves
2. what is this thing called love?
3. golden earrings
4. all blues
5. one for ed
6. solar
7. turn out the stars
8. all the things you are
メンバーはBarry Romberg(DS)Lorne Lofsky(G)Kieran Over(B)
録音は2004年5月


DAVID COOK
オハイオ出身で、現在ニューヨークで精力的な活動を展開している若手ピアニストDAVID COOKの2002年作品。
ピアノトリオ中心のアルバムですが、曲によってサックスとボーカルが加わります。
サックスがもう直ぐFSNTから初リーダー作がリリースされる、テナーサックスのホープ、BOB REYNOLDSで、これはチェックしないわけにはいきません。
デビッド・クックの音楽性そのものはいたって正統派のストレートなものだけど、NYのピアニストらしくきびきびとした瞬発性と骨太なたくましさ、ダイナミクスを感じさせるスタイルで快適にスイングするピアニストです。
なかなかの腕前なので、これからどんどん、頭角を現わしてくるんじゃなかろうか?
ハモンドB-3も披露していて、これはこれでイケテマスねぇ。
ベースとドラム2名の名前は馴染みが勉強不足のため、ないのだけど達者です。
やはり、NYには名前も知らない有能な若手ミュージシャンがゾロゾロいるという感じですね。
ボーカルフューチャー曲は悪くはないのだけど、作品の統一性からすればいらなかったかもしれない。
ボビー・レイノルズはマイケル・ブレッカーやジョシア・レッドマンのお墨付きの新鋭サックス奏者といういことからも分かるように、非常に完成度の高い表現力を兼ね備えたプレイヤーだと思います。
残念ながら数曲の参加にとどまっていて、ソプラノ中心の吹奏なので、全貌はFSNTからのリーダー盤のお楽しみといったところでしょう。
NYの若手ストレートジャズの最も活きの良いところだと思うので、早めに賞味してみることをお薦めいたします。
メンバーはDAVID COOK(P,ORG)ADAM ROBERTS(B)QUINCY DAVIS(DS)SUNNY JAIN(DS)BOB REYNOLDS(SAX)GAVIN CREEL(VO)
録音は2002年8月12,13日 NYC


DRE BARNES
フィラデルフィア生まれのピアニスト、ANDRE BARNESは現在、NYメトロポリタン地区で活躍しているようです。
ウィリアム・パターソン大学とラトガーズ大学で学び、師匠はJohn Hicks、 Kenny Barron、 Mulgrew Millerの3人。
はっきり言って3人の師匠に比べれば、まだまだこれからのグリーンボーイと言ったところかもしれません。
でも、このピアノ悪くないです。歌心が欠けているピアニストが多い中、テクニシャンの羅列ではない、一音一音が語りかけてくるようなとても歌ったフレーズを奏でるピアニストなのです。
粘り気のある語り口もよいですね、黒人らしくて。
ちょっと、マイケル・コクレインを思い出してしまいましたよ。
ベースのJIM HANKINSはKirk Lightsey, Sonny Stitt, Betty Carter, Donald Byrd Lou Rawlsらのもとで、ドラムスのCLYDE ALFORDはEric Alexander, Bennie Golson Dave Valentin.と共演した経歴があるようです。
ベーシストはロン・カーターの影響が強く、アンプ臭が若干鼻につくかもしれませんが、その点をどければ、アルバムを通して良好なピアノトリオが聴かれます。
先物買いのかたは、チェックしてよいピアノトリオだと思います。
1,2,4,5,6と個人的に好みの曲が多いのでよく聴く一枚になりそうです。
1. Recordame
2. Dolphin Dance/Wade in the Water
3. The Enchanted One
4. Gentle Rain
5. Soul Eyes
6. Bolivia
7. I love you
8. Relaxin at Camarillo
9. Total Praise
メンバーはDRE BARNES(P)JIM HANKINS(B)CLYDE ALFORD(DS)
録音は2005年11月5日、19日 NJ


FRANCESCO CROSARA
FRANCESCO CROSARAは、1960年イタリア生まれ、母親はリリアン・テリーだ。
ディジー・ガレスピーやトミー・フラナガンと素敵なボーカルアルバムを録音したイタリアのボーカリストとして、ご存知のかたは多いはず。
つまり、広島のジャズシーンで言ったら、佐藤いよりさんの息子、佐藤丈青みたいな存在ですね。
(話がローカルすぎるか・・・いや、東京でどんどん名を挙げているのでご存知の方も多いはず。)
このアルバムには、テナーの今やゴッドファーザーと言ってもよいかもしれない、シカゴの重鎮、VON FREEMANが5曲に参加していることが特筆できます。
セッションは、シカゴとハワイの2箇所でおこなわれているのだけど、なんといってもボン・フリーマンの参加しているシカゴセッションが印象に残ります。
FRANCESCO CROSARAのピアノは、ヨーロピアンライクなすっきりした透明感のあるプレイなので、
コクのあるボステナー系のフリーマンとの組み合わせは、ミスマッチとも思えるのですが意外とうまくいっていて違和感はありません。
「I LOVE YOU PORGY」の最初のメロディーをフリーマンはソロで吹くのだけど、その存在感、かっこ良さといったらありません。
クロサラとのデュオで演奏されるこの曲が最も聴きものかもしれない。
わが国ではいまひとつ評価が定まらない、ボン・フリーマンだけど、このアルバムの6曲目「PLUTONIUM」を聴けば、いまだに前進しようと言う意欲をもつアグレッシブなテナー奏者なのが分かると思います。
メンバーはFRANCESCO CROSARA(P,SYNTH)VON FREEMAN(TS)DAVE MARR(B)RUSTY JONES(DS)CLAUDIA PEREZ(VO 10のみ)
録音は1998年6月8日、7月12日  CICAGO 他に数曲ホノルルでの録音あり。


RICHIE BARSHAY
マサチューセッツのパーカショニストの2004年作。
なんと、このアルバム、ハービー・ハンコックが参加しているのです。
と言っても3曲だけだけど、それでも無名のそれも自主制作のアルバムにハービーのような超有名人気プレイヤーが参加していること自体が凄いことだと思います。
そんな興味もあってというか、それが理由で仕入れてみました。
展開されているサウンドは、エスニックな風味を加味したコンテンポラリー・ジャズフュージョンといった感じなのですが、なかなかタイトな仕上がりで、悪くないです。
それでいて、大手レーベルにない、自主制作らしい、のびのびとした雰囲気に溢れていている。(サウンドがラフだということではありません。)
バイオを読んでみて、ハンコックが何故参加しているのかが分かりました。
2003年のハービー・ハンコック・カルテットのメンバーだったようです。
他にジョージ・ガゾーン、ジェーン・バーネット、スティーブ・デイビスなんかとツアーしているようなので、結構名がしれているミュージシャンなのかも知れませんね。
BARSHAYのこのレコーディングの狙い、ジャズと自身がこれまで学んできた世界中のリズムとの融合は、ほぼ成功していると思うのですが、楽曲面での工夫がもう少しあればもっと良くなったであろうと思われる。
サックス奏者はウェザーリポート時代のウェイン・ショーターを少し思い出させることも書いておこう。
ハンコックのピアノソロはあまり長くはないけど、3曲でフューチャーされていて、ファンの方はおさえておく必要があるでしょう。
ただ、ハンコックはあくまでもアルバムのゲスト的参加であることも事実だと思う。
メンバーはRichie Barshay, drum set, tabla, congas, cajon, kanjira, shekere, shakers...
Daniel Blake, tenor and soprano saxophones
Jorge Roeder, acoustic and electric basses
with special guests:
Herbie Hancock, piano (1,2,7), keyboard (2)
Reinaldo de Jesus, congas, djembe, bell (3,6,11)
Aoife O'Donovan, voice (10)
Michael Winograd, clarinet (10)
Carmen Staaf, accordion (10)
Josh Feinberg, sitar (4)
録音は2004年8月4,5,13,14日  MA


WENDEE GLICK
ボストンで活躍しているWEDEE GLICKの2005年作品。
6曲でエディー・ヒギンズがピアノを弾いています。
これは、私好みのボーカリストです。
ボーカルの場合、完全に自分の趣味で聴いていて、また仕入れしていますのでご理解ください。
だから、基本的に黒人女性ボーカルと男性ボーカルは「VENTO AZUL RECORDS」では売っていません。
逆に今からボサノバのCDの品揃えを充実させようかと計画中であります。
3曲目「EVERY TIME WE SAY GOODBYE」の冒頭などアイリーン・クラールのような語り口ではありませんか。
こういう丁寧で落ち着いた雰囲気をかもし出した歌唱は、聴いていてこちらの気分も和むし、女性ボーカルを聴くうえで一番重きを置いているのは実はこの点なのですね、私の場合。
深夜、一人で一杯やりながら、照明を落とした自室でスピーカーと対峙するとき、自然と選ぶ一枚は女性ボーカルかピアノトリオ、ボサノバのCDになってしまうのだなぁ。
このGLICKの作品は、そんな一人の時間を過ごす時にぴったりな一枚だと思います。
選曲もバラエティーに富んでいて飽きさせない。
「WHAT ARE YOU DOING THE REST OF YOUR LIFE」や「DEEP PURPLE」も好み通りの歌唱で合格!
こういう伴奏させたら、さすがにうまいですねぇ、エディー・ヒギンズ。
最近のVENUSでの異常とも言える露出具合だけど、このピアニストの本分はこういうところなんじゃないかと思います。
決して主役を長い間はるキャラクターじゃないと思うのだけどなぁ。
だから、名脇役が久々に主演ドラマに挑戦した一枚目が最も素晴らしかったでしょ。
録音重ねるにつれどんどん新鮮味もなくなって、金太郎飴みたいに演奏聞く前から展開が読めるようなものになっていったでしょ?
何が言いたいかって?
つまり、録音しすぎなことを言いたいわけ。
売れるからどんどん録音する・・・日本の(日本だけではないかもしれないが)レコード会社の悪いところです。
少しは間を空けて、アーティストの自発性、自主性といったものを重視したほうが絶対、素晴らしい作品ができると思うんですけどね、私は。
年に2枚の発売、なんかJ-POPみたいと思うのは私だけではないだろう。

また、脱線してしまいました。
この作品、あなたのボーカルコーナーの棚に加える価値は十分あると思います。

メンバーはWENDEE GLICK(VO)KEN PEPLOWSKI(TS,CL)STEVE HECK(P)MARSHALL WOOD(B)LES HARRIS,JR(DS)BOB ULLMAN(G)DOTTI ANITA TAYLOR(FL)
録音は2005年6月、7月


JFQ
JONAS KULLHAMMAR、MOSEROBIEレーベル5枚目のリーダー作。
残りのメンバー紹介のところまで書き込んでなんかの拍子に手があたり、データが飛んでしまった。
小一時間リキ入れて書き込んだのにぃ・・・(怒)
腹立つので、短縮版でご勘弁を。
この5枚目のクルハマーのアルバム、相当力はいってます。
1曲目なんかストレートなモード曲なんだけど、我思う道を突き進んでいくといった思い切りのよさと迷いの無さは、ここにきてもう一皮剥けたのではないかと感じるのは私だけではないだろう。
轟音爆音系のアドレナリンばんばんのテナーサックスは、最近のグロスマンに物足りなさを感じている方に是非耳のしてもらいたいです。
80年代後半のクリストフ・ロウアーに通じるようなどす黒い情念を感じさせるテナーのトーンも説得力を増してきた。
我が道を邁進するという決意表明のようなものは、演奏から十分感じることが出来たので、これからもクルハマーの動向を見守っていきたい。
メンバーはJONASS KULLHAMMAR(TS)TROBJORN GULZ(P)TROBJORN ZETTERBERG(B)JONAS SHOLGERSON(DS)
録音は2005年5月6日 STOCKHOLM


SEBASTIEN JARROUSSE - OLIVIER ROBIN QUINTET/TRIBULATION
先月中に、入荷したのですが、初回分が予約だけで完売、先週追加分がようやく入荷しました。
フランスのサックス二管編成の現代ハードバップグループと言うことで発注時から期待していたこのグループ、今日ようやく聴く事が出来ます。
さすがに、フランスジャズ界で今、注目されているグループだけあって全員が凄いテクニシャンで、滅茶苦茶上手いです。
曲も全部オリジナルなんだけど、複雑なテーマがサックスのユニゾンでいともたやすく演奏され、スムースにアドリブにつながるところなんか、プロの演奏としては当然のことなんだろうけど、何回聴いてもこういう演奏だったら素直に感動してしまいます。
ミュージシャンだったら演奏してみたくなるような、起伏に富んだ曲調のものが多くて、メロディストにははっきり言ってお勧めできない曲なのですが、ジャズに刺激とスリルを追い求める方にはこのアルバム、きっと気にいってもらえるだろうと思う。
サックスの二人は、熱気をはらんだ中にもフランスらしい優雅さが伺えるクールな表情を見せ、演奏を引っ張っていくのだけど、私はピアニストのEMIL SPANYIのプレイに一番興味を持ちました。
マーシャル・ソラールやマニュエル・ロシュマンのようなフランステクニシャン系のピアニストのよいところを継承しつつ、ハンコック的なライン弾きや左手のリズム処理、ニュアンスの付け方のバランス感覚に非凡な才能を感じます。
これは是非トリオ演奏を聴いてみたいピアニストです。
そうですね、もしトリオアルバムを作るとすれば、
OLIVIER ROBINは切れ味抜群のドラマーなので、ここはROBINがドラムで、ベースはBRUNO CHEVILLONに弾いてもらいたいところですね。
きっと素晴らしいアルバムが出来ると思うのですが・・・
メンバーはOLIVIER BOGE(AS)JEAN-DANIEL BOTTA(B)SEBASTIEN JARROUSSE(TS,SS)OLIVIER ROBIN(B)EMIL SPANYI(P)
2005年作品


SCOTT FEINER
ブラジルのパンデイロ奏者SCOTT FEINERがニューヨークで録音したジャズアルバム。
裏ジャケの賛辞はブラッド・メルドーとマルコス・スザーノが、書いています。
メンバーと曲に惹かれ、どんなジャズが演奏されているのだろうと興味をもって仕入れてみました。
メンバーは、Freddie Bryant、Joel Frahm、Joe Martinと現代ジャズを追いかけFSNTあたりを聴いているかたには、これでまず興味をもってもらえるのではないかと思います。
選曲がBig Brother(S・WONDER)Giant Steps、Estate、United、Peace、Song for my Father、Speak Lowとくれば、聴いてみないわけにはいきません。
全編に渡って風通しのよい、カラッとした演奏が展開されています。
基本的な図式はSCOTT FEINERのパンデイロの繰り出すリズムにフレディー・ブライアントのアコースティクが、柔軟にからみ、そこにジョエル・フラムのサックスが縦横無尽に泳ぎ回るといった感じなのですが、トリオ編成とは思えないほどカラフルでバリエーション豊かなサウンドが形成されていることを評価したい。
フレディー・ブライアントのギターがいい味だしていて、いままでこの人のギターに強い印象をもったことがなかったのだけど、実にいいギタリストです。
アコースティクギターで、とても色彩感に富んだ様々なニュアンスがだせるギタリストで、これはひとつ新しい発見でした。
ジョエル・フラムは日本での知名度はまだあまり高くないと思われるがニューヨークではとても高い評価をミュージャン仲間で得ているテナー奏者で、このアルバムでも実力を発揮しています。
今まであまり意識しなかったのだけど、結構マイケル・ブレッカーに似ています。
とにかく、あまり難しく考えないで、SCOTT FEINERの故国ブラジルの連中が日常茶飯時のようにはじめる戸外のセッションのテイストをそのまま、NYのスタイリッシュなジャズにトランスレートした土着性、民族性と洗練、都会性が見事にミックスされたエンターテイメント精神豊かなジャズに仕上がっている作品だと思います。
メンバーはSCOTT FEINER(PANDEIRO)FREDDIE BRYANT(G)JOEL FRAHM(TS,SS)guest JOE MARTIN(B)BETO CAZES(PER)
録音は2005年5月16,17日  BROOKLYN, NY


DEL DAKO
カナダ、トロントで活躍する中堅アルト、バリトンサックス奏者DEL DAKOの1998年録音盤。
ピアノがあの、BERNIE SENENSKYだし、試聴して悪くなかったので仕入れてみた。
選曲もスティーブ・スワローEIDERDOWN,ロリンズAIREGIN,OLD DEVIL MOON,SOMETIME AGO,ストレイホーンBLOOD COUNT,POINCIANA,ゴルソンALONG CAME BETTY,STAR EYES,ハンコックDOLPHIN DANCEと実に心憎いもの。
こういう作品など、店頭で見かけてもまず誰も買わないだろう。
裏も表もメンバーのクレジットが無いのでまずワンホーンカルテットという情報もメンバーも分からないし、ジャケットもインド料理店でカレーを食べているという???なもの。
で、演奏されている内容は実にいいのですね、これが。
インターネットで、詳細な情報や事前に試聴できるといった賜物以外の何ものでもないですね。
DEL DAKOはアルトとバリトンサックスを演奏しているが、それぞれフィル・ウッズ、ニック・プリグノラを彷彿させる実に好ましい中身のある内容の演奏を繰り広げています。
こういう無名であるが、有能なサックス奏者がカナダのトロントにいたとは、正直言って驚いた。
世の中にはまだまだ、無名ながら有能なプレイヤーが一杯いる事とを、改めて実感します。
バーニー・セネンスキーはさすがにソロに伴奏に熟練した旨みのあるサポートぶりを発揮している。
このアルバムの一番の功労者といっても良いかもしれません。
ジョルジュ・ロベールなんかを好んで聴いているかたには、きっと気にいってもらえると思います。
メンバーはDEL DAKO(AS,BS)BERNIE SENENSKY(P)DUNCAN HOPKINS(B)GREG PILO(DS)
録音は1998年2月21-26日  TORONTO


PATRICK POLADIAN
パリ生まれのPATRICK POLADIANは、エッフェル塔の最上階レストランで行なわれる様々な音楽イベントの音楽監督、ピアニストをつとめ、ラジオフランスで放送の仕事もこなしていた。
80年代にニューヨークに活動の拠点を移し、「バードランド」やハーレムのクラブ「レノックスアベニュー」や「メトロ・カフェ」「ロンデ-ル」などで演奏しています。
ジャケットは、それこそ60年代のフランス映画のワンカットみたいで、なかなかかっこ良く撮れていますねぇ。
俳優のように決まっています。
演奏のほうは、どうかと言いますとこれが、結構ビターテイストなもので、派手さはなく、心の奥底にじんわり染み渡っていくような重厚さを感じさせるもの。
3曲目の「HOMELESS」を聴いてみてもらえば、そんな感じが分かってもらえるのではないかと思う。
近頃では珍しい、ハービー・ニコルスやエルモ・ホープが醸しだしていた「暗さ」の音楽成分を持った珍しいタイプのピアニストといえるかもしれない。
そして、この感じ、悪くないです。
この人の場合、アップテンポの曲でもこの「ほの暗い」感じが維持されていて、物悲しい雰囲気はアルバムを通して保たれているのです。
もう一度言うけど、この感じ好きだなぁ。
メンバーはPATRICK POLADIAN (P)SEAN SMITH(B)AKIRA TANA(DS)
録音は1999年1月  NYC


BARNEY MCALL
BARNEY MCALL(オーストラリア、メルボルンで1966年生まれ)のデビューアルバムで、1995年にリリースされた。
メンバーが凄いので先に紹介。
Barney Mcall-Piano
Tim Ries- Tenor Sax
Andy Mckee- Bass
Jim Seely -Trumpet
Scott Newman -Drums
Lloyd Swanton- Bass
Andrew Gander- Drums
Dale Barlow- Tenor Sax
Tim Hopkins -Tenor Sax
Vincent Herring- Alto Sax
David Rex- Alto Sax
Jimmy Cobb- Drums
Scott Tinkler-Trumpet
David Rex - Alto Sax
Jimmy Cobb- Drums
Phillip Rex- Bass
John Barrett- Bass clarinet, Flute, Tenor Sax
Russell Smith - Trombone
Scott Tinkler- Trumpet
Jonathan Zwartz- Bass
James Greening- Trombone
John Barrett- Bass Clarinet
アルバムのインナーのクレジットを見てわかったんだけど、上記のメンバーが一同に介しているわけではなくて、すべてスモールコンボによるナンバーで、1993年と1994年におこなわれた3つのセッションから成り立っています。
ピアノとベースのデュオ、ピアノトリオから一番大きいものでオクテットまで。
クインテット、セクステットが一番多いか。
3曲目「EXIT」はDALE BARLOW,TIM HOPKINSのツーテナーバトルだし、「LA MESHA」「FREAK OF THE WEEK」「NITE FLIGHT」では、VINCENT HERRING,DAVID REXの迫力あるアルトが聴けて聴き応えがあります。おまけにこのセッションを含む1994年1月の録音ではドラムスをジミー・コブが叩いていることが特筆できます。
6曲目ビリー・ハーパーの名曲「DESTINY IS YOURS」この曲でDALE BARLOWが素晴らしいテナーを聴かせてくれている。
BARNEY MCALLのピアノも悪いものではないのだが、1995年のこの時点で言えば、ピアニストとしてよりコンポーザー、リーダー、音楽監督的な能力のほうが高く評価できるかもしれない。
名のあるミュージシャン、その個性を生かしつつ、様々な編成にもかかわらず、統一性が保たれたアルバムとなっているところを評価したい。
ふつう、デビュー盤でこんな風にメンバーが多岐にわたるセッションアルバムだと、何を表現したいのか焦点がぼけてしまったアルバムにお目にかかることが少なくないので・・・
MCALLはそういう危惧をクリアして、自身のジャズを見事に表現して見せているのです。
デビュー作としては上々の出来だと思う。


SCOTT SADLON
SCOTT SADLONはアリゾナ州フェニックスで活躍するドラマーで、「HIGH STANDARDS」というアルバム(これも自主制作)が結構売れているピアニストMIKE KOCOURを迎えてつくった2006年ピアノトリオアルバム。
このトリオ、物凄くエンターテイメント精神に溢れた演奏をしてくれています。
選曲がさすがドラマーがリーダーだけに、リズム面でバラエティーに富んだ曲が選ばれていて飽きさせません。
もちろん、安っぽい意味合いのエンターテイメントではなくて、長年ジャズを聴きこんできた通の耳を楽しまれるのに十分な意味でのエンターテイメントであります。
この曲をこんな風に演ってくれたらというこちら側の勝手な想像通りの演奏をしてくれるかと思えば、予想を覆す新鮮な解釈で舌を巻かせてくれたり、アルバム一枚を退屈することなしに聴き通すことが出来る出来栄えなのです。
MIKE KOCOURの歌心溢れるピアノは、このアルバムに最も貢献していると言えるでしょう。
もちろん、天才ではないですよ。
天才ではないけど、才人です、この人は。
本当のピアノトリオファンだったら、ほとんどの人がそうだと思うのだけど、ブラッド・メルドーの作品とこのアルバムがあれば、多分日常的にCDトレイにいれる回数が多いのは後者の方だと私は思うのでうがねぇ。
SADLONのドラミングも小技が効いた切れ味のよいもので、悪くないです。
天才ではない3人が作った素晴らしいピアノトリオアルバムですね、これは。
1. Summertime
2. Windows
3. Green Chimneys
4. Mahjong
5. Equinox
6. My Foolish Heart
7. Cheesecake
8. Full House
9. All Or Nothing At All
メンバーはSCOTT SADLON(DS)DWIGHT KILLAN(B)MICHAEL KOCOUR(P)
2006年作品


KEVIN HAYS
そう、そう、これなんだよ、ケビン君、私の聴きかったのは!
2005年1月録音 KEVIN HAYSの最新トリオアルバム。
メンバーは前作と同じDOUG WEISS(B)BILL STEWART(DS)
同じメンバーなんだけれども、出来は断然こちらのほうが良いです。
2001年12月録音の前作はほとんどオリジナル作品で固めた力の入ったものだったのだけど、曲によっては、観念の袋小路に入り込んでしまい、演奏が空回りして何がやりたいのかフォーカス出来ていなかったところが無きにしも非ずだった。
それに比べ、本作は有名スタンダードとジャズメンオリジナルを前に演奏に全面的に没頭しているケビンの姿が目に浮かび、ちょうど90年代初めにレコーディングデビューした頃のように、フレッシュでハイテクニックなピアノを聴かせてくれているのです。
適度に力が抜けているところもとても良い。
そして、もちろんクールです。
ショーターの「LADY DAY」なんかを取り上げてくれているのも嬉しいではないか!
そして、ドラムのBILL STEWART、ビルが参加しているのでこのアルバムはヒット間違いなし。
人気、実力とも白人ドラマーNO1といって良いだろう。
その名に恥じない見事なドラミングをここでも見せてくれています。
ビルが入っていることによってトリオの演奏のグレードは間違いなく上がっていると言えるでしょう。
そして、このトリオ、もはやレギュラートリオといってよいのであろう、今年の秋にはアーティストシェアからもう一枚アルバムをリリース予定らしい。
こんな演奏を聴けるのであれば、どんどん出して欲しいところです。
メンバーはKEVIN HAYS(P)DOUG WEISS(B)BILL STEWART(DS)
1. Sonny Moon For Two
2. For Heaven's Sake
3. Lady Day
4. Beatrice
5. Beautiful Love
6. It Could Happen to You
7. If Ever I Would Leave You
8. Caravan
録音は2005年1月 BROOKLYN NY


HAROLDO MAURO JR
本日入荷したHAROLDO MAURO JRのボッサジャズトリオはそんな、ちょっと鬱はいっているあなたの気分を晴らしてくれること間違いなしの一枚です。

こんなの聴いたら気分はリゾートに逆戻り・・・
夕日に照らされたリオの海岸べりを散歩しているような、どこからともなく気持ちの良い風が入ってくるような、フレッシュな気分になるから不思議です。
リラックスするというより、このトリオの演奏を聴くと、シャキッとした気分になると思いますよ。
ゆったりとメロディアスなのですが、そこはブラジル本場のリズム、軽快で心が思わず弾んできて何か行動を起こしたくなると思いますよ。
日本の夏は湿気が多いので、もちろん一年中いいのだけれども、この時期が個人的にはボサノバやブラジリアン・ジャズを聴くのに最もしっくりした時期だと個人的に思ってます。
そう、私は何を隠そうGW中自室で仕事しながら、ボッサとピアノトリオと最近発売されたマイルス10枚組ばかり、かけていましたよ。

お疲れの方には是非お薦めの1作、これ聴いてお体ご自愛くださいませ!
メンバーはHAROLDO MAURO JR(P)SERGIO BARROZO(B)DUDUKA DA FONSECA(DS)
1. Caminhos Cruzados
2. Rua Juquia
3. Sabor Carioca
4. Leda
5. Voce Vai Ver
6. Big Sur
7. Quietude
8. Terra De Angara
9. Lele Do Coracao
10. Coisa Mais Linda
11. Desafinado
12. Depois Do Natal

録音は2004年7月10日、2005年1月29日、2月15日  RIO DE JANEIRO


SHOKO NAGAI
NYで活躍している日本人ミュージシャンの一人、SHOKO NAGAI(永井晶子)の2002年クインテット作品。
メンバーにSAM NEWSOME,GREG TARDY,武石聡が参加しているので、思わず聴いてみたくなって仕入れてみた。
永井、武石のコンビは別に二人のデュオで作品をつくっているが、2006年秋に公開される予定の「スターフィッシュホテル」(ジョンウィリアムス監督:佐藤浩市、柄本明主演)という映画音楽も担当しているらしい。
全曲永井によるオリジナル作品で、最初に言っておくとスイングする4ビートは、全くないです。
そういうタイプのジャズしか聴かない方には少しきついかもしれないけど、骨太で硬派な音楽が展開されています。
音楽性はやや違うとうはおもうけど、そういう点ではジェリ・アレンに通じるものを感じます。
リズム面でのダイナミクスをとても感じさせる作品が多く、ソプラノとテナーによるユニゾンや絡みは和のテイストを意識してのものなのだろうか、オリジナル性があって、ユニークです。
そういう意味でピアニストとしてよりも、この作品を聴く限りコンポーザーとしての才能を非常に感じさせる音楽家だと思う。
難解さを感じさせない点も評価できる、かといって決してメロディックなジャズが演奏されているというわけでもないのですが・・・

SAM NEWSOMEはここ10年ばかりソプラノサックスに楽器を特化し自己の音楽を追求しているけど、たまにはテナーも聴いてみたいと思うのは私だけではないだろう。
デイブ・リーブマンもテナーを復活したことだし、このアルバムでもグレゴリー・ターディーがいるのでツーテナーよる演奏なんかも聴いてみたかったですね。
グレゴリーはここでは、結構ばりばり吹いています、ちょっとトニー・マラビーのような吹きすさぶテナーを聴かせてくれていて迫力のあるところを見せてくれています。

現在、女性アーティストの場合、日本の大手レーベルからまるでJ-POPのような売り出し方をされて、内容の薄っぺらい作品が毎月のようにリリースされていますが、永井昌子のようなNYで地道ではあるが、オリジナリティーのある音楽活動を行なっている女性ミュージシャンも大勢いるということを私たちはもっと認識すべきだと思うのだが、いかがだろう。
メンバーはSHOKO NAGAI(P,ACCORDION(5))SAM NEWSAM(SS)GREG TARDY(TS,CL)DAVE HERTZBERG(B)SATOSHI TAKEISHI(PER,ELECTRONICS)


JEFF HAMILTON
発売されて2ヶ月ほど、経過してしまったけど、今日はJEFF HAMILTONの最新トリオアルバムを紹介しましょう。
JEFF HAMILTONと言えば、昔からCONCORDの作品で御馴染みであったのだけど、自分のなかではっきりと認識するようになったのは寺島さんが紹介したMONS盤「HANDS ON」を聴いてからなので、10年も経っていないかもしれない。
あれは、味のある良い作品でしたね。
最新作ではピアノがラリー・フラーからタミール・ヘンデルマンに替わっていてその辺がどうかというところなのですが、当然といってといか、トリオ自体のサウンドは基本的にメンバーが替わっても大きく変わると言うことはないです。
スインギーで快適なピアノトリオの演奏が展開されており、それ以上でもそれ以下でもありません。
と、すこしいつもより厳しい口調かもしれないけど、これが無名のマイナーピアニストの作品だったら、手放しで絶賛とまではいかなくとも、もうすこし持ち上げた調子でレビューするかもしれません。
ジェフ・ハミルトン・クラスのベテランで、ジャズシーンで既に認知されているプレイヤーの場合、どうしても過去の作品(HANDS ONかな)と比較してして、その相対的評価にての論調になってしまうのです。
これが、ポッとでの自主制作による新人の作品であれば、その人自体の作品の比較のしようがないということもあるのですが、できるだけ良いところを見つけるような聴き方をします。
演奏に難点がある場合はここのところを改善すればもっとよくなるだろうといった調子のポジティブな言い回しを使うように心がけています。
ネガティブな言葉が原因で、CDが売れなくなるかもしれないから。
ニューカマーの作品やデビューアルバムの場合、一枚でも多く売れると言うことがそのミュージシャンの将来に影響する度合いが、ベテランアーティストよりは確実に大きいと思うので・・・
また、私の場合、好きなアーティストや期待しているミュージシャンのほうに、どちらかというと手厳しい評価をする傾向があります。
どちらにせよ、評価と言うものは絶対と言うものはありえなく、個人差があるのが当然だと思っているし、相対的なものでよいと思っています。
そのあたりの微妙なニュアンスは、読み取ってくださいね。

最終的にリスナーの判断にゆだねられるものだと思うし、音楽はスポーツではないのだから優劣ばかり論じても意味がないと思うのだ。
歴史的観点から俯瞰してその作品を位置づけしようとする人がなかにはいらっしゃるかもしれないが、そんな人に問いたい?
そんな聴き方して楽しいですかと。
絶対評価というものは誰にも出来ない、それは歴史自体が決めることだと昨日の繰り返しになるけれども思うのだなぁ。
ところで、この作品、決して悪くはない出来です。
メンバーはJEFF HAMILTON(DS)TAMIL HENDELMAN(P)CHRISTOPH LUTY(DS)


JEAN PHILIPPE MUVIEN
DANIEL HUMAIR(ds),JEAN PAUL CELEA(b),LOUIS SCALVIS(cla)このメンバーの顔ぶれをクレジットに見つけたと同時に仕入れようと思った作品。
JEAN PHILIPPE MUVIENはフランスジャズ界で、ネットワークをもつギタリストらしいですが、初めてこの作品で名前を知りました。
ALLGORYTHMという新しいレーベルを立ち上げてその弟1作目にあたる作品なのです。
ちなみに、DANIEL HUMAIRと契約を交わしているという話なのでそのうちユメールの新作もこのレーベルからリリースされるのかもしれない。
ジャケットデザインや作りがSKETCHと共通点が多いのだけど、関係があるのだろうか?
1曲目から、ユメール、セレアの疾走感のある鋭いリズムを聴いているだけでこれは、期待できそうだと予感。その上を我らがスクラヴィスが強烈なインパクトのあるバスクラを聴かせてくれるのだから、個人的にはこれだけで満足してしまいそう。
それでは、レビューにもなんにもならないわけで、もうちょっと聴き進んでいこう。
DANIEL MUVIENのギターに関しては、デュクレやD・シュバリエ、B・シェピック、ジョンスコなどのテイストがサウンドのあちこちに聴き取れるのだけど、演奏自体も良好なんだけど、この一枚だけでギタリストとしての才能を見極めるには少し時期尚早のような気がいたします。
それよりは、コンポーザー、リーダー、プロデューサーとしての資質に非凡なものを感じます。
全体のサウンドは現代フランスジャズシーンの一角が窺い知れるハイブロウなものなのですが、
とてもスリリングで、こういう作品は日本やアメリカのジャズシーンからは生まれてこないフランスジャズ界の独自性を感じます。
メロディーや雰囲気で聴くかたには毛嫌いされるかもしれないけど、リズムは切れ味鋭い4ビート中心なので、そんな方にこそ一度耳にしてもらいたい音楽ですね。
新鮮に感じること間違いないし、これが機でやみつきになるかもしれませんよ・・・
メンバーはJEAN-PHILIPPE MUVIEN(G)DANIEL HUMAIR(DS)JEAN-PAUL CELEA(B)LOUIS SCLAVIS(CL)
VINCENT LE QUANG(SAX)VINCENT PEIRANI(ACCORDEON)MAJA PAVLOVSKA(CHANT)
録音は2005年12月


HEY RIM JEON
昨年入荷以来、コンスタントに売れているのだけど、そういえばこの作品、ブログで紹介いていなかったなぁと、本日ここに紹介。
HEY RIM JEON,ソウル出身のピアニストで、この作品は2002年バークリー音楽院のスタジオで、音楽仲間とともにレコーディングされたもの。
トリオ、カルテット、クインテットによる演奏が収録されています。
彼女はバークリーとニューイングランド音楽院の両校を卒業し、Ran Blake, JoAnne Brackeen, Michael Cain, Laszlo Gardony ,Ray Santisiに学んだ俊英で、もともとはクラッシックのピアニストだっただけに、粒立ちの整ったタッチの良いピアノは中々のものだと思う。
アルバムの半分以上はピアノトリオによる演奏で、4曲目「TASTE OF YOUR TEARS」での哀愁味溢れたプレイなど、メロディストに喜ばれると思う。
中々の美メロナンバーです。
歌謡性ばかりのプレイでは決してなく、その次に演奏されるマッコイ・タイナー「PASSION DANCE」を聴いてみて欲しい。
彼女が有能なジャズピアニストだということが分かるはず。
このアルバムを通して、むやみに難しいこと、新しいことをしようとしていないことも逆に好印象かもしれない。
彼女の中で消化できている音で勝負しているので、音楽自体に浮ついたところがなく、表現したいことがフォーカスされているので、嘘がないのだ。
ドラムが少し弱いかなとも思うけど、作曲面で貢献しているので、ここは大目にみておこう。
2002年時点でのHEY RIM JEONの考えるジャズが素直に表現されたアルバムです。
メンバーはHEY RIM JEON(P)JIM ALLARD(SS,TS)ADRIAN ROSS(TP)SHELDON STEEL(B)CURTIS WARNER Jr(DS)
1. Old Folks (W. Robison/D. Lee Hill)
2. A Night In Tunisia (D. Gillespie)
3. Tossed (C. Warner)
4. One For Brother Benny (C. Warner)
5. Taste Of Your Tears (H. Jeon/C. Warner
6. The Passion Dance Experiment (M. Tyner)
7. Scent Of Calla Lily (H. Jeon)
8. Softly, As In A Morning Sunrise (S. Romberg)
9. Dolphin Dance (H. Hancock)
10. Peace (H. Silver)
11. Too Soon (C. Warner)
12. Yahlon (C. Warner)
録音は5月17-19日


SAMEER RAMCHANDRAN
NYのピアニストSAMEER RAMCHANDRANのデビューアルバム。
サイドメンが強者で、ベースのDominic Duval はセシル・テイラー、ドラムスのNewman Taylor Baker はビリー・ハーパーのグループ出身。
というと、轟音系のフリートリオを思い浮かべますが、ヨーロピアンライクなところも感じられる抒情感溢れた深みのある演奏が展開されています。
録音がNYのミュージシャンに最も良い音で収録されると評判のSYSTEM TWO STUDIOで行われていることも好ポイントなのであります。
淀みなくピアノを弾ききる技量はとてもしっかりしているSAMEER RAMCHANDRANですが、この人のピアノは媚びません。
使い古された言葉だけで、こういう演奏をハードボイルドと形容したらよいのではないかと思う。
そこには、「タフでなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない。」というフィリップ・マーロウの有名な警句を地でいくようなビターテイストな演奏が聴けるのです。
マーロウもそうだけど、ラムチャンドランの演奏も一聴、ドライでつっけんどんに聴こえるかもしれないけど、2回3回聴くにつれ、ハードボイルドならではの優しさを感じとるのであります。
DOMINIC DUVALのベースは時に鋭いラインを割り込ませて刺激的、NEWMAN TAYLOR BAKERのドラムもハーパーグループでの演奏と違って自由気ままにドラムを鳴らしている演奏で、トリオ自体が実に有機的に機能しているところも特筆できよう。
このトリオ既に3枚分の録音を済ませているらしく、今後の作品も期待できると思う。
メンバーはSAMEER RAMCHANDRAN(P)DOMINIC DUVAL(B)NEWMAN TAYLOR BAKER(DS)
2006年2月17日  SYSTEM TWO, NY


武田和命
私は普通DVDを観ないので、ジャズのDVD作品はコレクションしていないのでありますが、この作品の発売を知った時、迷わず購入を決めた。
購入するだけでは、物足りずショップで何とか売ることはできないかと、卸元に交渉して仕入れたほど。
そう、あの武田和命の動く姿が見れる唯一の作品なのだから・・・
ある意味、パーカーやコルトレーン、ドルフィーの動く姿を初めて観た時と同じくらい自分のなかでは意味のある映像なのであります。
今から焼酎飲みながら、観てみます。
で、あれからまる一日が経過して、現在5/17日のAM3時に書き込みしているわけなのだけど、3回観ました。
記録用として「ファンクール」のマスターが固定のアングルで家庭用ビデオカメラで収録したものなので映像的には実際、お世辞にも素晴らしいものとは、いえないものなのだけど、ここには、リアルな日本のJAZZの姿が映し出されている。
いつものというか、私の記憶に残っているサングラスの為というのもあるのだが、表情を変えることのない、微動だにしないそして、何を考えているのか分からない、摩訶不思議でちょっとやばそうな雰囲気を兼ね備えている、そして出てくる音と言えばその音を浴びるだけで他は何もいらないやといった気分にさせる、オリジナルな音・・・
武田のリアルな日常のライブ演奏が満喫できるのだ。
昭和の日本の素晴らしく、そしてこの言葉使いに誤解してもらっては困るのだが、ある意味、駄目な、そして、思わず独り占めしたくなるようなジャズが、演奏されている。

音楽、JAZZだけの為に生きたような人生を送った武田和命という素晴らしいテナー吹きがいた事をいつまでも忘れることがないよう、このような貴重な映像の記録が世に出たことを喜びたい。
川端民生の姿を見れることも嬉しいことだ。
メンバーは武田和命(TS)渋谷毅(P)川端民生(B)渡辺文男(DS)
収録は1988年3月18日


MARK KOCH
スイスのピアニスト、MARK KOCHの2003年3月録音、バリバリの新作。
卸もとのインフォに、これといった情報も無く、曲名から、全部オリジナルなのが、推測されこういう場合、初回分のオーダー数を決めるのがとても難しい。
いまは、全曲試聴できるようになっているのですが、試聴もできなかったので勘にたよるしかなかったのであります。
良いほうに、私は賭けた。
先週入荷して、早速、CDトレイにぶち込んで1曲目のスタートボタンを押す。
一瞬、いやな予感が頭によぎった。
これは、一部のヨーロピアントリオで横行している抽象の世界なのかと・・・
幸い、その危惧は早くも2曲目で覆された。
既に10回以上、聴いているけどこれは、予想以上の出来だ。
軽く弾むようなロックビートに乗って春風のように爽やかにKOCHのキーボード捌きが心地良い。

4曲目もまた、「OPEN MIND」は心にしみる美メロナンバー。
夕暮れ時に、少し早い一杯を、バルコニーに出て飲む。
遠くのほうから聴こえる子供の遊び声と、グラスの氷の溶ける音を聴きながら目と閉じる。
過ぎ去った時間の思い出が蘇る・・・
哀愁のバラードナンバーです。

KOCHの表現はそんなに、感情表現がきつくない。どちらかというと淡い筆運び。
だから、何回聴いても逆に飽きない。
淡いといっても、芯のしっかりした表現なのでこちらのハートに響いてくる。
これからもたびたび棚から取り出して繰り返し聴いていくトリオ盤がまた一枚加わった。
メンバーはMARKKOCH(P)SAMUEL JOSS(B)PETER FISCHER(DS)

録音は2006年3月17,18日 LAUSANNE ,SWITZERLAND


MARK EISENMAN
MARK EISENMANが、2003年1月、IAJEの総会にトロントを訪れていたJIMMY COBBに声をかけてレコーディングしたピアノトリオ作品。
EISENMANにとって、コブは昔からのアイドルだったようで、してやったりのレコーディングだったに違いない。
アイコンタクトを取りながら譜面を前に次から次へとセッションをこなし、楽しんでいる様が見て取れるような演奏です。
EISENMANがたぶん日頃と変わらず、平常心でこのレコーディングに望んだこともこのセッション成功の要因ではないかなと思う。
たとえ緊張していたとしてもそんなことをプレイに微塵も見せないのがプロとしてベテランとしての芸の深さとも言えるかな?
とにかくリラックスして3人がレコーディングしていることが、聴いているこちらにも自然と伝わってきてこちらも楽しい気分になるのであります。
EISENMANのピアノスタイルはガーランド、ケリー、ジャマルあたりの影響を最も強く感じるのだけど、そんな各論的な分析などせずに、トリオ3人からアウトプットされる音を楽しめばそれでいいのではないかな、これは。
メンバーはMARK EISENMAN(P)PAT COLLINS(B)JIMMY COBB(DS)
録音は2003年1月9日 TRONTO
1. Temperance
2. Willow Weep For Me
3. Invitation
4. Reflection in “D”
5. Sosumi
6. Bird’s Assurance 5
7. Sweet & Lovely
8. You Don’t Know What Love Is
9. Gilt Be All Thy Stars
10. Someday My Prince Will Come



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