ギタートリオファンって日本全体にどのくらいいるんだろう? ものすごく少ない気がするのです。CD売っててピアノトリオの十分の一、いや二十分の一かもしれないなぁ・・・それくらい人気薄で反応鈍いのです。 ピアノトリオの活況ぶりに比べ、正直歩が悪いのはしょうがないとして一頃のギターブームは何だったのという感じです。 実際、アメリカのローカルシーンに目を向けてみるとピアノトリオに肉薄するくらいギターものがトリオ作品含めて録音されているし、そんなローカルのミュージシャンにも凄腕のテクニシャンが結構いるのです。 今日紹介するのはLONRE LOFSKYっていうカナダのギタリストで、この作品と一緒にリーダーのトリオ作品も入手したのだけれど、こちらのほうが出来が良いのでこの2004年作にしました。 ロフスキーはとても繊細な表現を得意とするギタリストだと思います。 演奏全体のサウンドに気を配りながら自己主張はしっかりとするタイプといったらよいだろうか。 むやみやたらと高速フレーズを弾きまくるのではなしに、構成を考えながら臨機応変に対処していくフレキシビリティーにとても優れたギタリストだということが分かる。 ギター好きのかたは、是非チェックされてよいギタリストの一人だと思います。 1. autumn leaves 2. what is this thing called love? 3. golden earrings 4. all blues 5. one for ed 6. solar 7. turn out the stars 8. all the things you are メンバーはBarry Romberg(DS)Lorne Lofsky(G)Kieran Over(B) 録音は2004年5月
フィラデルフィア生まれのピアニスト、ANDRE BARNESは現在、NYメトロポリタン地区で活躍しているようです。 ウィリアム・パターソン大学とラトガーズ大学で学び、師匠はJohn Hicks、 Kenny Barron、 Mulgrew Millerの3人。 はっきり言って3人の師匠に比べれば、まだまだこれからのグリーンボーイと言ったところかもしれません。 でも、このピアノ悪くないです。歌心が欠けているピアニストが多い中、テクニシャンの羅列ではない、一音一音が語りかけてくるようなとても歌ったフレーズを奏でるピアニストなのです。 粘り気のある語り口もよいですね、黒人らしくて。 ちょっと、マイケル・コクレインを思い出してしまいましたよ。 ベースのJIM HANKINSはKirk Lightsey, Sonny Stitt, Betty Carter, Donald Byrd Lou Rawlsらのもとで、ドラムスのCLYDE ALFORDはEric Alexander, Bennie Golson Dave Valentin.と共演した経歴があるようです。 ベーシストはロン・カーターの影響が強く、アンプ臭が若干鼻につくかもしれませんが、その点をどければ、アルバムを通して良好なピアノトリオが聴かれます。 先物買いのかたは、チェックしてよいピアノトリオだと思います。 1,2,4,5,6と個人的に好みの曲が多いのでよく聴く一枚になりそうです。 1. Recordame 2. Dolphin Dance/Wade in the Water 3. The Enchanted One 4. Gentle Rain 5. Soul Eyes 6. Bolivia 7. I love you 8. Relaxin at Camarillo 9. Total Praise メンバーはDRE BARNES(P)JIM HANKINS(B)CLYDE ALFORD(DS) 録音は2005年11月5日、19日 NJ
FRANCESCO CROSARAは、1960年イタリア生まれ、母親はリリアン・テリーだ。 ディジー・ガレスピーやトミー・フラナガンと素敵なボーカルアルバムを録音したイタリアのボーカリストとして、ご存知のかたは多いはず。 つまり、広島のジャズシーンで言ったら、佐藤いよりさんの息子、佐藤丈青みたいな存在ですね。 (話がローカルすぎるか・・・いや、東京でどんどん名を挙げているのでご存知の方も多いはず。) このアルバムには、テナーの今やゴッドファーザーと言ってもよいかもしれない、シカゴの重鎮、VON FREEMANが5曲に参加していることが特筆できます。 セッションは、シカゴとハワイの2箇所でおこなわれているのだけど、なんといってもボン・フリーマンの参加しているシカゴセッションが印象に残ります。 FRANCESCO CROSARAのピアノは、ヨーロピアンライクなすっきりした透明感のあるプレイなので、 コクのあるボステナー系のフリーマンとの組み合わせは、ミスマッチとも思えるのですが意外とうまくいっていて違和感はありません。 「I LOVE YOU PORGY」の最初のメロディーをフリーマンはソロで吹くのだけど、その存在感、かっこ良さといったらありません。 クロサラとのデュオで演奏されるこの曲が最も聴きものかもしれない。 わが国ではいまひとつ評価が定まらない、ボン・フリーマンだけど、このアルバムの6曲目「PLUTONIUM」を聴けば、いまだに前進しようと言う意欲をもつアグレッシブなテナー奏者なのが分かると思います。 メンバーはFRANCESCO CROSARA(P,SYNTH)VON FREEMAN(TS)DAVE MARR(B)RUSTY JONES(DS)CLAUDIA PEREZ(VO 10のみ) 録音は1998年6月8日、7月12日 CICAGO 他に数曲ホノルルでの録音あり。
マサチューセッツのパーカショニストの2004年作。 なんと、このアルバム、ハービー・ハンコックが参加しているのです。 と言っても3曲だけだけど、それでも無名のそれも自主制作のアルバムにハービーのような超有名人気プレイヤーが参加していること自体が凄いことだと思います。 そんな興味もあってというか、それが理由で仕入れてみました。 展開されているサウンドは、エスニックな風味を加味したコンテンポラリー・ジャズフュージョンといった感じなのですが、なかなかタイトな仕上がりで、悪くないです。 それでいて、大手レーベルにない、自主制作らしい、のびのびとした雰囲気に溢れていている。(サウンドがラフだということではありません。) バイオを読んでみて、ハンコックが何故参加しているのかが分かりました。 2003年のハービー・ハンコック・カルテットのメンバーだったようです。 他にジョージ・ガゾーン、ジェーン・バーネット、スティーブ・デイビスなんかとツアーしているようなので、結構名がしれているミュージシャンなのかも知れませんね。 BARSHAYのこのレコーディングの狙い、ジャズと自身がこれまで学んできた世界中のリズムとの融合は、ほぼ成功していると思うのですが、楽曲面での工夫がもう少しあればもっと良くなったであろうと思われる。 サックス奏者はウェザーリポート時代のウェイン・ショーターを少し思い出させることも書いておこう。 ハンコックのピアノソロはあまり長くはないけど、3曲でフューチャーされていて、ファンの方はおさえておく必要があるでしょう。 ただ、ハンコックはあくまでもアルバムのゲスト的参加であることも事実だと思う。 メンバーはRichie Barshay, drum set, tabla, congas, cajon, kanjira, shekere, shakers... Daniel Blake, tenor and soprano saxophones Jorge Roeder, acoustic and electric basses with special guests: Herbie Hancock, piano (1,2,7), keyboard (2) Reinaldo de Jesus, congas, djembe, bell (3,6,11) Aoife O'Donovan, voice (10) Michael Winograd, clarinet (10) Carmen Staaf, accordion (10) Josh Feinberg, sitar (4) 録音は2004年8月4,5,13,14日 MA
ボストンで活躍しているWEDEE GLICKの2005年作品。 6曲でエディー・ヒギンズがピアノを弾いています。 これは、私好みのボーカリストです。 ボーカルの場合、完全に自分の趣味で聴いていて、また仕入れしていますのでご理解ください。 だから、基本的に黒人女性ボーカルと男性ボーカルは「VENTO AZUL RECORDS」では売っていません。 逆に今からボサノバのCDの品揃えを充実させようかと計画中であります。 3曲目「EVERY TIME WE SAY GOODBYE」の冒頭などアイリーン・クラールのような語り口ではありませんか。 こういう丁寧で落ち着いた雰囲気をかもし出した歌唱は、聴いていてこちらの気分も和むし、女性ボーカルを聴くうえで一番重きを置いているのは実はこの点なのですね、私の場合。 深夜、一人で一杯やりながら、照明を落とした自室でスピーカーと対峙するとき、自然と選ぶ一枚は女性ボーカルかピアノトリオ、ボサノバのCDになってしまうのだなぁ。 このGLICKの作品は、そんな一人の時間を過ごす時にぴったりな一枚だと思います。 選曲もバラエティーに富んでいて飽きさせない。 「WHAT ARE YOU DOING THE REST OF YOUR LIFE」や「DEEP PURPLE」も好み通りの歌唱で合格! こういう伴奏させたら、さすがにうまいですねぇ、エディー・ヒギンズ。 最近のVENUSでの異常とも言える露出具合だけど、このピアニストの本分はこういうところなんじゃないかと思います。 決して主役を長い間はるキャラクターじゃないと思うのだけどなぁ。 だから、名脇役が久々に主演ドラマに挑戦した一枚目が最も素晴らしかったでしょ。 録音重ねるにつれどんどん新鮮味もなくなって、金太郎飴みたいに演奏聞く前から展開が読めるようなものになっていったでしょ? 何が言いたいかって? つまり、録音しすぎなことを言いたいわけ。 売れるからどんどん録音する・・・日本の(日本だけではないかもしれないが)レコード会社の悪いところです。 少しは間を空けて、アーティストの自発性、自主性といったものを重視したほうが絶対、素晴らしい作品ができると思うんですけどね、私は。 年に2枚の発売、なんかJ-POPみたいと思うのは私だけではないだろう。
BARNEY MCALL(オーストラリア、メルボルンで1966年生まれ)のデビューアルバムで、1995年にリリースされた。 メンバーが凄いので先に紹介。 Barney Mcall-Piano Tim Ries- Tenor Sax Andy Mckee- Bass Jim Seely -Trumpet Scott Newman -Drums Lloyd Swanton- Bass Andrew Gander- Drums Dale Barlow- Tenor Sax Tim Hopkins -Tenor Sax Vincent Herring- Alto Sax David Rex- Alto Sax Jimmy Cobb- Drums Scott Tinkler-Trumpet David Rex - Alto Sax Jimmy Cobb- Drums Phillip Rex- Bass John Barrett- Bass clarinet, Flute, Tenor Sax Russell Smith - Trombone Scott Tinkler- Trumpet Jonathan Zwartz- Bass James Greening- Trombone John Barrett- Bass Clarinet アルバムのインナーのクレジットを見てわかったんだけど、上記のメンバーが一同に介しているわけではなくて、すべてスモールコンボによるナンバーで、1993年と1994年におこなわれた3つのセッションから成り立っています。 ピアノとベースのデュオ、ピアノトリオから一番大きいものでオクテットまで。 クインテット、セクステットが一番多いか。 3曲目「EXIT」はDALE BARLOW,TIM HOPKINSのツーテナーバトルだし、「LA MESHA」「FREAK OF THE WEEK」「NITE FLIGHT」では、VINCENT HERRING,DAVID REXの迫力あるアルトが聴けて聴き応えがあります。おまけにこのセッションを含む1994年1月の録音ではドラムスをジミー・コブが叩いていることが特筆できます。 6曲目ビリー・ハーパーの名曲「DESTINY IS YOURS」この曲でDALE BARLOWが素晴らしいテナーを聴かせてくれている。 BARNEY MCALLのピアノも悪いものではないのだが、1995年のこの時点で言えば、ピアニストとしてよりコンポーザー、リーダー、音楽監督的な能力のほうが高く評価できるかもしれない。 名のあるミュージシャン、その個性を生かしつつ、様々な編成にもかかわらず、統一性が保たれたアルバムとなっているところを評価したい。 ふつう、デビュー盤でこんな風にメンバーが多岐にわたるセッションアルバムだと、何を表現したいのか焦点がぼけてしまったアルバムにお目にかかることが少なくないので・・・ MCALLはそういう危惧をクリアして、自身のジャズを見事に表現して見せているのです。 デビュー作としては上々の出来だと思う。
SCOTT SADLONはアリゾナ州フェニックスで活躍するドラマーで、「HIGH STANDARDS」というアルバム(これも自主制作)が結構売れているピアニストMIKE KOCOURを迎えてつくった2006年ピアノトリオアルバム。 このトリオ、物凄くエンターテイメント精神に溢れた演奏をしてくれています。 選曲がさすがドラマーがリーダーだけに、リズム面でバラエティーに富んだ曲が選ばれていて飽きさせません。 もちろん、安っぽい意味合いのエンターテイメントではなくて、長年ジャズを聴きこんできた通の耳を楽しまれるのに十分な意味でのエンターテイメントであります。 この曲をこんな風に演ってくれたらというこちら側の勝手な想像通りの演奏をしてくれるかと思えば、予想を覆す新鮮な解釈で舌を巻かせてくれたり、アルバム一枚を退屈することなしに聴き通すことが出来る出来栄えなのです。 MIKE KOCOURの歌心溢れるピアノは、このアルバムに最も貢献していると言えるでしょう。 もちろん、天才ではないですよ。 天才ではないけど、才人です、この人は。 本当のピアノトリオファンだったら、ほとんどの人がそうだと思うのだけど、ブラッド・メルドーの作品とこのアルバムがあれば、多分日常的にCDトレイにいれる回数が多いのは後者の方だと私は思うのでうがねぇ。 SADLONのドラミングも小技が効いた切れ味のよいもので、悪くないです。 天才ではない3人が作った素晴らしいピアノトリオアルバムですね、これは。 1. Summertime 2. Windows 3. Green Chimneys 4. Mahjong 5. Equinox 6. My Foolish Heart 7. Cheesecake 8. Full House 9. All Or Nothing At All メンバーはSCOTT SADLON(DS)DWIGHT KILLAN(B)MICHAEL KOCOUR(P) 2006年作品
そう、そう、これなんだよ、ケビン君、私の聴きかったのは! 2005年1月録音 KEVIN HAYSの最新トリオアルバム。 メンバーは前作と同じDOUG WEISS(B)BILL STEWART(DS) 同じメンバーなんだけれども、出来は断然こちらのほうが良いです。 2001年12月録音の前作はほとんどオリジナル作品で固めた力の入ったものだったのだけど、曲によっては、観念の袋小路に入り込んでしまい、演奏が空回りして何がやりたいのかフォーカス出来ていなかったところが無きにしも非ずだった。 それに比べ、本作は有名スタンダードとジャズメンオリジナルを前に演奏に全面的に没頭しているケビンの姿が目に浮かび、ちょうど90年代初めにレコーディングデビューした頃のように、フレッシュでハイテクニックなピアノを聴かせてくれているのです。 適度に力が抜けているところもとても良い。 そして、もちろんクールです。 ショーターの「LADY DAY」なんかを取り上げてくれているのも嬉しいではないか! そして、ドラムのBILL STEWART、ビルが参加しているのでこのアルバムはヒット間違いなし。 人気、実力とも白人ドラマーNO1といって良いだろう。 その名に恥じない見事なドラミングをここでも見せてくれています。 ビルが入っていることによってトリオの演奏のグレードは間違いなく上がっていると言えるでしょう。 そして、このトリオ、もはやレギュラートリオといってよいのであろう、今年の秋にはアーティストシェアからもう一枚アルバムをリリース予定らしい。 こんな演奏を聴けるのであれば、どんどん出して欲しいところです。 メンバーはKEVIN HAYS(P)DOUG WEISS(B)BILL STEWART(DS) 1. Sonny Moon For Two 2. For Heaven's Sake 3. Lady Day 4. Beatrice 5. Beautiful Love 6. It Could Happen to You 7. If Ever I Would Leave You 8. Caravan 録音は2005年1月 BROOKLYN NY
お疲れの方には是非お薦めの1作、これ聴いてお体ご自愛くださいませ! メンバーはHAROLDO MAURO JR(P)SERGIO BARROZO(B)DUDUKA DA FONSECA(DS) 1. Caminhos Cruzados 2. Rua Juquia 3. Sabor Carioca 4. Leda 5. Voce Vai Ver 6. Big Sur 7. Quietude 8. Terra De Angara 9. Lele Do Coracao 10. Coisa Mais Linda 11. Desafinado 12. Depois Do Natal
SAM NEWSOMEはここ10年ばかりソプラノサックスに楽器を特化し自己の音楽を追求しているけど、たまにはテナーも聴いてみたいと思うのは私だけではないだろう。 デイブ・リーブマンもテナーを復活したことだし、このアルバムでもグレゴリー・ターディーがいるのでツーテナーよる演奏なんかも聴いてみたかったですね。 グレゴリーはここでは、結構ばりばり吹いています、ちょっとトニー・マラビーのような吹きすさぶテナーを聴かせてくれていて迫力のあるところを見せてくれています。
DANIEL HUMAIR(ds),JEAN PAUL CELEA(b),LOUIS SCALVIS(cla)このメンバーの顔ぶれをクレジットに見つけたと同時に仕入れようと思った作品。 JEAN PHILIPPE MUVIENはフランスジャズ界で、ネットワークをもつギタリストらしいですが、初めてこの作品で名前を知りました。 ALLGORYTHMという新しいレーベルを立ち上げてその弟1作目にあたる作品なのです。 ちなみに、DANIEL HUMAIRと契約を交わしているという話なのでそのうちユメールの新作もこのレーベルからリリースされるのかもしれない。 ジャケットデザインや作りがSKETCHと共通点が多いのだけど、関係があるのだろうか? 1曲目から、ユメール、セレアの疾走感のある鋭いリズムを聴いているだけでこれは、期待できそうだと予感。その上を我らがスクラヴィスが強烈なインパクトのあるバスクラを聴かせてくれるのだから、個人的にはこれだけで満足してしまいそう。 それでは、レビューにもなんにもならないわけで、もうちょっと聴き進んでいこう。 DANIEL MUVIENのギターに関しては、デュクレやD・シュバリエ、B・シェピック、ジョンスコなどのテイストがサウンドのあちこちに聴き取れるのだけど、演奏自体も良好なんだけど、この一枚だけでギタリストとしての才能を見極めるには少し時期尚早のような気がいたします。 それよりは、コンポーザー、リーダー、プロデューサーとしての資質に非凡なものを感じます。 全体のサウンドは現代フランスジャズシーンの一角が窺い知れるハイブロウなものなのですが、 とてもスリリングで、こういう作品は日本やアメリカのジャズシーンからは生まれてこないフランスジャズ界の独自性を感じます。 メロディーや雰囲気で聴くかたには毛嫌いされるかもしれないけど、リズムは切れ味鋭い4ビート中心なので、そんな方にこそ一度耳にしてもらいたい音楽ですね。 新鮮に感じること間違いないし、これが機でやみつきになるかもしれませんよ・・・ メンバーはJEAN-PHILIPPE MUVIEN(G)DANIEL HUMAIR(DS)JEAN-PAUL CELEA(B)LOUIS SCLAVIS(CL) VINCENT LE QUANG(SAX)VINCENT PEIRANI(ACCORDEON)MAJA PAVLOVSKA(CHANT) 録音は2005年12月
昨年入荷以来、コンスタントに売れているのだけど、そういえばこの作品、ブログで紹介いていなかったなぁと、本日ここに紹介。 HEY RIM JEON,ソウル出身のピアニストで、この作品は2002年バークリー音楽院のスタジオで、音楽仲間とともにレコーディングされたもの。 トリオ、カルテット、クインテットによる演奏が収録されています。 彼女はバークリーとニューイングランド音楽院の両校を卒業し、Ran Blake, JoAnne Brackeen, Michael Cain, Laszlo Gardony ,Ray Santisiに学んだ俊英で、もともとはクラッシックのピアニストだっただけに、粒立ちの整ったタッチの良いピアノは中々のものだと思う。 アルバムの半分以上はピアノトリオによる演奏で、4曲目「TASTE OF YOUR TEARS」での哀愁味溢れたプレイなど、メロディストに喜ばれると思う。 中々の美メロナンバーです。 歌謡性ばかりのプレイでは決してなく、その次に演奏されるマッコイ・タイナー「PASSION DANCE」を聴いてみて欲しい。 彼女が有能なジャズピアニストだということが分かるはず。 このアルバムを通して、むやみに難しいこと、新しいことをしようとしていないことも逆に好印象かもしれない。 彼女の中で消化できている音で勝負しているので、音楽自体に浮ついたところがなく、表現したいことがフォーカスされているので、嘘がないのだ。 ドラムが少し弱いかなとも思うけど、作曲面で貢献しているので、ここは大目にみておこう。 2002年時点でのHEY RIM JEONの考えるジャズが素直に表現されたアルバムです。 メンバーはHEY RIM JEON(P)JIM ALLARD(SS,TS)ADRIAN ROSS(TP)SHELDON STEEL(B)CURTIS WARNER Jr(DS) 1. Old Folks (W. Robison/D. Lee Hill) 2. A Night In Tunisia (D. Gillespie) 3. Tossed (C. Warner) 4. One For Brother Benny (C. Warner) 5. Taste Of Your Tears (H. Jeon/C. Warner 6. The Passion Dance Experiment (M. Tyner) 7. Scent Of Calla Lily (H. Jeon) 8. Softly, As In A Morning Sunrise (S. Romberg) 9. Dolphin Dance (H. Hancock) 10. Peace (H. Silver) 11. Too Soon (C. Warner) 12. Yahlon (C. Warner) 録音は5月17-19日
NYのピアニストSAMEER RAMCHANDRANのデビューアルバム。 サイドメンが強者で、ベースのDominic Duval はセシル・テイラー、ドラムスのNewman Taylor Baker はビリー・ハーパーのグループ出身。 というと、轟音系のフリートリオを思い浮かべますが、ヨーロピアンライクなところも感じられる抒情感溢れた深みのある演奏が展開されています。 録音がNYのミュージシャンに最も良い音で収録されると評判のSYSTEM TWO STUDIOで行われていることも好ポイントなのであります。 淀みなくピアノを弾ききる技量はとてもしっかりしているSAMEER RAMCHANDRANですが、この人のピアノは媚びません。 使い古された言葉だけで、こういう演奏をハードボイルドと形容したらよいのではないかと思う。 そこには、「タフでなければ生きていけない、優しくなければ生きていく資格がない。」というフィリップ・マーロウの有名な警句を地でいくようなビターテイストな演奏が聴けるのです。 マーロウもそうだけど、ラムチャンドランの演奏も一聴、ドライでつっけんどんに聴こえるかもしれないけど、2回3回聴くにつれ、ハードボイルドならではの優しさを感じとるのであります。 DOMINIC DUVALのベースは時に鋭いラインを割り込ませて刺激的、NEWMAN TAYLOR BAKERのドラムもハーパーグループでの演奏と違って自由気ままにドラムを鳴らしている演奏で、トリオ自体が実に有機的に機能しているところも特筆できよう。 このトリオ既に3枚分の録音を済ませているらしく、今後の作品も期待できると思う。 メンバーはSAMEER RAMCHANDRAN(P)DOMINIC DUVAL(B)NEWMAN TAYLOR BAKER(DS) 2006年2月17日 SYSTEM TWO, NY
MARK EISENMANが、2003年1月、IAJEの総会にトロントを訪れていたJIMMY COBBに声をかけてレコーディングしたピアノトリオ作品。 EISENMANにとって、コブは昔からのアイドルだったようで、してやったりのレコーディングだったに違いない。 アイコンタクトを取りながら譜面を前に次から次へとセッションをこなし、楽しんでいる様が見て取れるような演奏です。 EISENMANがたぶん日頃と変わらず、平常心でこのレコーディングに望んだこともこのセッション成功の要因ではないかなと思う。 たとえ緊張していたとしてもそんなことをプレイに微塵も見せないのがプロとしてベテランとしての芸の深さとも言えるかな? とにかくリラックスして3人がレコーディングしていることが、聴いているこちらにも自然と伝わってきてこちらも楽しい気分になるのであります。 EISENMANのピアノスタイルはガーランド、ケリー、ジャマルあたりの影響を最も強く感じるのだけど、そんな各論的な分析などせずに、トリオ3人からアウトプットされる音を楽しめばそれでいいのではないかな、これは。 メンバーはMARK EISENMAN(P)PAT COLLINS(B)JIMMY COBB(DS) 録音は2003年1月9日 TRONTO 1. Temperance 2. Willow Weep For Me 3. Invitation 4. Reflection in “D” 5. Sosumi 6. Bird’s Assurance 5 7. Sweet & Lovely 8. You Don’t Know What Love Is 9. Gilt Be All Thy Stars 10. Someday My Prince Will Come