殆ど誰も知らないフランスの作曲家。 フランク らと交流があり、煌くばかりのフランス音楽の手法と、 ワーグナー 的なドイツ風の響きをも併せ持つ、奇跡のようなメロディーで構成されている。誰にも似ていない、神々しいばかりの美しさが本当に素晴らしい!他にも管弦楽曲や合唱曲など多数の作品がCD化されている。
深い悲しみと苦悩から勝利へ、という交響曲の黄金率を頑固に追求した作品。フルトヴェングラーは指揮者として神のごとく崇められた存在で、 ナチス 政権のドイツが崩壊するまで国内に残り、命をかけてナチスと闘った。ナチスは滅んだが、同時に祖国ドイツも焼け野原になってしまった。その体験がこの曲の悲劇性をより強いもにしている。最後の ロマン派 にふさわしい、演奏時間70分余の大交響曲!
最近ようやくその名が知られるようになってきた、この一曲だけで19世紀末ロシア音楽界にその名を残す カリンニコフ 。僅か35歳で早世してしまったが、この曲の第一主題は、一度聴いたら絶対に忘れられない。全編を貫く、溢れる詩情とリリシズムが感動的な作品!
トスカニーニ が好んで演奏した近代イタリアの大作曲家、マルトゥッチ。「追憶の歌」が有名だが、この壮大でロマンティックな交響曲もお勧め。イタリア人らしい、どこまでも明るく朗々としたメロディーが響き渡る。これぞロマン派の典型だ!他にもピアノ協奏曲がお勧め。
むしろヴァイオリニストとして名声を放つ エネスク (メニューインの師でもあった)のこの作品は、ワーグナーとブラームスからの影響を受け、さらにフランクらフランス音楽の響きを持った、生命力溢れる名曲である。この曲もまず冒頭第一主題が高らかに響き渡り、聴くものを一瞬にしてその世界に引きずり込む。何をも怖れない純粋なる推進力、雄大な自然の描写がとにかく素晴らしい!
ソ連邦にむりやり併合され、抑圧されていた小国 エストニア の偉大な才能、 トゥビン 。大半の曲は抑圧されていた状況への反抗であるが、この第四番の第一楽章は、精巧なステンドグラスのような輝きを放っており、胸を打つ崇高な美しさに満ちている。まるである寒い朝に、美しい湖畔に佇んで遠方の山々を仰ぎ見ているようだ。
このコーナーの曲は何故か交響曲がマイナーな存在の国々の物が多い。この曲もスウエーデン音楽の父による、溢れる祖国愛が魂を揺さぶるような一品である。響き的には多少物足りなさが残るものの、全編を貫く清冽で若々しさに満ちたメロディーは必聴!
ロパルツと並ぶフランス音楽の忘れられた巨星、 マニャール 。かなりフランクに近い響きだが、切れ目なく変化していく曲想は、まるで極彩色のタペストリーを見ているようだ。一般には第四番を代表作と見ているようだが、私は不思議で魅力的な第一楽章を持つこの第一番を絶対に推したい!
ステンハンマルより100年早くスウエーデンに生まれた作曲家。交響曲を4曲残しているが、冒頭フレーズを聞くだけでも価値があるのがこの第3番。「サンギュリエール」とは「不思議な」「風変わりな」という意味らしいが、まさに第一楽章冒頭のフレーズは不思議な響きだ。是非一度聴いてみて欲しい。
このコーナー唯一の現役作曲家、 フィンランド のラウタヴァーラ。難解な曲も多いが、この「光の天使」はまるでオーロラをみるような、幻想的なフレーズが次々に押し寄せてくる。この響きは他の作曲家には絶対に生み出せない彼独自のもので、本当に素晴らしい。