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ドホナーニ:交響曲第1番

<知られざる名交響曲・2>




「知られざる交響曲シリーズ」の二曲目は エルンスト・フォン・ドホナーニ (1877-1960)の交響曲第1番。



Dohnanyi
エルンスト・ドホナーニ



クラシックに詳しい方ならあれっと思ったかもしれないが、このエルンストは今をときめく大指揮者、 クリストフ・フォン・ドホナーニ の祖父。ハンガリー出身でリストの弟子ダルベール(彼のピアノ協奏曲もなかなかいい!)にピアノを習い、若い頃から ブラームス に目をかけてもらったらしい。

 作風はロマン派の王道を行くロマンティックな旋律で溢れており、ピアノ協奏曲第1番とこの交響曲が特に素晴らしい作品だ。交響曲2曲にピアノ協奏曲2曲、ヴァイオリン協奏曲や多数の室内楽曲まで数多くの作品を残したが、 バルトーク の同期生にしてはあまり強烈な個性や民族性の発露をしていないためか、その多くは現在忘れられたままとなっている。

 この交響曲第1番は1900年の作品で、ブラームス風の暗く劇的な主題、 マーラー 風の複雑なオーケストレーション、さらに独自のロマンチシズムたっぷりの旋律で構成されている。両端楽章の劇的な表現は間違いなくブラームスの強い影響を受けており、ドイツ風の重量感のある構成はなかなかのもの。全五楽章はちょっと冗長だが交響曲好きにはたまらない作品となっている。

 この時代の作品にしては保守的な作風なのだが、これはこれでロマン派の貴重な作曲家の一人だと言えるだろう。ピアノ協奏曲第1番と共に、聴いてみても損はない作品だと思う。


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