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将棋界にとって、ひとつの歴史的イベントであり、ぜひ生の現場を目撃したいと思ったので、品川プリンスホテルで行われた「渡辺明竜王vsボナンザ」の対局を観戦してきました。断っておきますがボナンザとは現在最強のコンピューター将棋ソフト。外国人ではありません。
対局開始の瞬間を無事見届け、大盤解説会場へ。
ここで中盤の攻防を見守る。ボナンザが角交換を迫った歩突きに解説の森内名人は驚きの声。
これは予想以上にボナンザ劣勢で一方的になるかと思いましたが、渡辺竜王は攻めには行かず自重、やはり普段より慎重にならざるを得ないのか。
そうこうしているうち、ボナンザの放った4四歩~4七飛には感心させられましたね。わたしも一応アマ有段者でありますが、この4七飛は気づかなかった。
その後、ボナンザの穴熊に渡辺竜王が襲い掛かり、激しい攻め合いになるか、というところで指導対局の時間が来たので、そちらの会場へ移動。
しかし、その対局の間に、メインイベントが終わってしまった。予想より早かったな。終局を見逃してしまったのは残念。
ですが、その後の記者の皆さんとの質疑応答には間に合いました。若い渡辺竜王は、普段から自分の言いたいことを遠慮せず言う、面白い青年ですが、「普段と違い、相手の顔は見ることができなかったが、その代わりにボナンザ操作の保木さん、駒を動かす奨励会員の顔を見ていた。時々オヤッという表情を浮かべたときには、おそらくボナンザは常識的でない筋を読んでいるのだろう、と思い警戒していた」という発言には感心しました。
なるほど、入手できる情報は、些細なものでも利用する、というわけだ。やるもんだ。
あ、それからボナンザ開発者の保木さんにも触れておきましょう。この人は自分の趣味としてこのソフトを開発したそうで、こんな大きな舞台に自分が立つとは想像していなかったらしく、かなり緊張を感じていたようです。が、質疑応答では巧まざるユーモアというか、理系の好青年とでもいう人柄を発言に滲ませ、場を和やかにしていました。わたしもファンになった。またソフトをレベルアップさせて、プロに挑んでもらいたい。
コンピューターは、将棋においては、まだ人間の頭脳を超えられない。
しかし、その瞬間は着実に近づいていることだけは確かです。
一将棋ファンとしては、その瞬間を見たいような、見たくないような。複雑な気持ちです。