弟のこと



そんな弟が、突然変わったのは、小学5年の時、仲良しの友達と算数の教科書をどちらが先に最後までやり抜くかと競走始めた。それから突如、勉強の虫になっちゃって、勉強だけ出来ても体力が伴わないと勉強しながら眠ってしまうとか言って、毎日、朝晩、ジョギング始めて、6年生になった時、親に言い出した事は、
「私立の中学へ行かせてくれ、兄ちゃんも姉ちゃん達も公立の中学・高校だったから、それ以上にかかった分の費用は必ず将来働いて返すから」
父は、そんな事気にするなって言ってたけど、
母は「一筆書いてもらおう、金のことを安易に口に出し、それをウヤムヤにするようでは、先々ろくなことはない」
と言って、12歳のわが子に中学・高校にかかる費用、公立との差額分、必ず、出世払いいたします、と書かせたのだから、あの人もゴッドマザーか?

それでも、弟は中学から全寮制の私立へと行き、それまでは、自分のパンツ一つ洗うこと無かったズボラが、洗濯石鹸なども白物用、色物用などと分けて使ってるし、第一驚いたのは、寮の部屋の入り口には暖簾、そして、暖簾とカーテンは季節ごとに替える。

あんた、こんなところに神経使う性格だったの?

いやぁ、ここ男子校だろ、色気ないでしょ、だから、先輩達もみんなやってるよ

その時ばかりは男子校恐るべし、と、思ったが、どうやら、あの学校だけは伝統的にそういう風潮があったらしい。

そんな弟は、大学卒業前の就職活動で、親と衝突した兄や姉を見習ってか、早々に、父に、自分の夢をぶちまけてた。
「俺はビル作る」

弟は、大学卒業後、大手ゼネコンへと就職し、こいつがまた兄貴以上に転勤して歩いて、いまだお嫁さんも貰わず、正月にも帰ってこない年もあれば、突然休み取れたからって帰ってくる。いったい、今、どこにいるんだろうって思ってたらつい先日、電話があって、
年明けからまた東京勤務になったから・・・

で、あんた、今どこにいるの? 

あれ言ってなかった、いま、フランスのパリ。この前から暴動大変だったのに、陽菜子姉ちゃんだけ見舞いの電話くれなかった・・・

え?あんた、オーストラリアのシドニーじゃなかったっけ?

それは前の赴任地、いつの話だよ


何分にも手紙ではなく、全てメールで済ませるので住所知らなくても済むんだな、ひでぇ姉だわさ。

母に借用書書いた、弟ですが、見事、大学卒業後5年で完済してました。弟が言うには、この次、金を借りるのは、家を建てるときだけだとか、もう、借金はきついよって。

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