浅川ダム建設中止「勝利宣言」



 田中康夫長野県知事が2002年9月25日、浅川ダム建設工事を発注した前田建設など建設共同企業体各社に契約解除の手続きを行いました。この結果1971年の予備調査以来実に30年間にわたる浅川ダム計画は完全に中止となり、全国の運動を励ます歴史的な快挙です。
 国と県、そして議会のダム推進勢力を相手に闘ってきた十数年にわたる浅川ダム建設の中止を求める世論と運動が勝利しました。
 この間、「やめさせようムダで危険な浅川ダム建設」のスローガンを掲げ、10年におよぶ住民運動がすすめられ、また住民監査請求が却下されましたが、9月1日、243名の原告団による住民訴訟を提訴するなど、県民世論の高まりで過去4回にわたり浅川ダム建設を延期させたことがダム中止の大きな力となりました。
 吉村県政時代は情報公開や説明責任も果たさず、住民の意見の反映もありませんでした。
 私たちは、2000年6月ダム計画にかかわる公金支出差し止めを求め1,570人が住民監査請求を行ないましたが、そのさなかに本体工事入札を強行しました。落札した前田建設、フジタ、北野建設の建設共同企業体が談合の疑いが持たれており全容解明が求められています。

 2000年10月に田中康夫知事が誕生しすべての情報を公開され、条例に基づく「県治水・利水ダム等検討委員会」が一年余りかけて、公募による住民代表も参加し活発な検討が行われるようになり「ダムによらない浅川の治水対策」を行うことが決定されました。さらに県知事選挙で「脱ダムの理念が県民の圧倒的な支持を受け、契約解除に至りました。
 ダム建設の中止を求めてきた私たちの運動を、長年にわたって支援して頂いた多くの皆さんに心からの感謝を申し上げると共に、「脱ダム」宣言を発信し果敢に抵抗勢力と闘い、今回の英断を下された田中康夫長野県知事に心からのと感謝を申し上げます。さらに浅川ダム建設中止のためご協力いただいた専門家をはじめ多くの皆さんに感謝申し上げます。

 多角的総合的な治水対策の検討がはじめられますが、下流域の深刻な内水災害への対応、また都市型水害への対応など一日も早く安全な浅川の総合治水対策を具体化するためにみんなで力をあわせることを呼びかけます。
 長野県はすでに多くの河川にダムが建設されています。裾花ダムを始め、その多くはダムの宿命である堆砂問題を抱えており、今後早急な対策が迫られています。
 皆さん、長野県は厳しい財政運営となっていますが、県民の英知を結集し、「脱ダム宣言」の理念をより豊かに、具体的に発展させることができるよう、長野県の公共事業、河川行政のあり方、安全な郷土づくりなどともに考えてゆきましょう。

2002年12月14日

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