百花繚乱

百花繚乱

第二回


キーワード
「洗濯機」「魔女」「たいまつ」


>>生徒その一が作った文章


どうも、読者の皆さん。
急に妙な挨拶をして申し訳ない。
名乗り遅れたが、自分の名は黒崎ってものだ。覚えてもらえりゃ、感謝の極みだ。
・・・え?お前、詐欺師じゃないのかって?
・・・御名答。俺は日本を股にかける男!・・・を目指して2年前に挫折した男、黒崎だ。
・・・え?お前、情けないって?・・・許せ。
いろいろと事情があんだよ、マジで。
・・・とまぁ、自己紹介はここまで。・・・え?勝手に進めるな?・・・そいつは無理な相談だ。
何故かって?何故なら!俺は自己中心だからだ!
読者よ!あえて言おう!俺は自己中だ!・・・え?もういいって?ちっ、分ったよ。
・・・・・それじゃ、物語の本質へ戻ろう。

俺はいつも通り、近所の公園に凭れ、煙草を吸っていた。
今、俺はある人を待っている。・・・人?誰かって?
・・・フッ、そんなもん決まっているだろ。俺の恋人さっ!
ズド!近くで誰かがこける音がした。こけたのは、女性だった。
「・・・操」俺は呟いた。その美しい女性こそ俺の恋人、室部操だ。
女性は立ち上がり、こっちへ歩いてくる。そして目の前まで来た。
そして俺のほうへ手を伸ばす。そして・・・俺の胸倉を掴み、空へぶん投げた。
・・・って、えええ!?
クシャ、俺は頭から公園の遊具へ突っ込んだ。
あえて言おう!マジで痛ぇ!
操は再び俺に近付いてきた。顔を真っ赤にして。
「あ、あんたねぇ!人前でなんてこと言うのよ!」
「な、なんてことって?」俺には分らなかった。
「じ、自分で待っているのは恋人だとか!しかも私の名前まで!」
「え?声に出てた?」
「出てたわよ!」
・・・どうしよう。俺は苦し紛れに言った。「どんだけ~」「天誅!」回し蹴りされ、再び俺の体は宙を舞う。
・・・・それが10分続いた。
なんとか操を落ち着かせ、二人でベンチに座ることに成功した。
俺は体中ボロボロで、頭からあ血が滴れ落ち、時折、頭から噴水のように血が飛び散る。
「なぁ、許してくれよ」俺の許しの懇願。今日で29回目。
無視していた操がようやく何か言い始めた。
「・・・・に勝ったらね」「え?」ちょ、決闘とかなら、俺の敗北決定じゃんかよ。
「私のクイズに勝ったらね」・・・よっしゃぁ!俺の得意分野(多分)!
「よっし、やってやる!」俺は叫ぶが如く言ってやった。操はすぐに問題を出してきた。
「あたしは昔、裏世界で仕事をしていた時の異名は?」へっ・・・簡単だ。俺が過去にお前と戦った時、お前が名乗っていたのをまだ覚えている。
「魔女だ」「正解、二問目ね」「よし来い!」
「あんたが私に裏世界から抜けろって雨の日にあんた、言ったよね。あん時雨の中であんたが持っていたものは?」
あー。・・・あん時か―――たしか・・・「たいまつ」「正解。私、あん時本気でひいたわよ。雨の中でたいまつって何でよ?」「傘代わり」「どんだけよ!」「まぁまぁ、落ち着いて。次のを」
「・・・たく、三問目、ラストよ」「来い!」「私があんたと付き合い始めてから私があんたの家で最初にやってあげたことは?」
あぁ、そういや・・・。そんなこともあったな・・・たしか・・・「洗濯機で俺の服を洗ってくれた」「それで・・・いいの?」
・・・あえて言おう!自身皆無!
「もちのロン」「古!まぁ、いいわ」「で・・・結果は?」「・・・正解」「よぉぉぉし!」
柄じゃなく、叫んだ。
「・・・そういうことは覚えてんのね」「もちろん、お前との大切な思い出だ」「・・・たく、調子のいいやつ」「Best conditionさ!」「はぁ、そう。・・・それで?何で今日は呼んだの?」「出かけよう」「何処に?」「何処だっていいだろ?」「・・・そうね、あんたと一緒なら」
俺は立ち上がり、操の手を引き、走り出した。「ちょ・・・」操はふらつくが体勢を整える。
俺たちは走った。
青春ドラマのワンシーンのように。
そして思った。
どうか・・・
どうか・・・幸せな、この日が続くように・・・・

続く?


END



>>生徒その一が作った文章


私は魔女。魔法が使える女。悪魔と闇の契約をした、汚れた心の持ち主。
子供の頃、事故で死んだ親の葬儀の日、突如、私の前に姿を現した悪魔。
親の死で私は肉体的にも精神的にも限界だった私の前に現れた悪魔は私に囁いた。

―――親を生き返らすことが俺にはできる。どうしたい?

私は頷いた。何でもよかったのだ。お父さんとお母さんが生き返るなら、もう一度会えるなら、他はどうでもいい、私はそう思った。子供の純粋な親への愛だった。
悪魔はそんな私を見て、わたしと"ケイヤク"してくれた。

親は生き返った。葬儀の途中で突如、息を吹き返したお父さんとお母さんは、あたりの人から冷たい視線を送られた。悪魔の遣いとか、鬼の一族とか様々な非難を受けお父さんとお母さんは毎日泣いていた。

ある日、お父さんとお母さんは死んでいた。首を吊って自殺したのだった。
けれどもその時の私は何も感じなかった。
だって私は悪魔にすべてを捧げて魔女になったのですもの。
悪魔と"ケイヤク"したとき、私の心はなくなってしまっていたのだ。
何も感じない。孤独。怒り、悲しみ、苦しみ、幸せな気持ち、うれしい、寂しい、そんなものはすべて体の中に虚空ができたようにすぅーと消え失せてしまった。
だから私は何も感じない。人ですらない。今の私に存在する理由などあるのだろうか?
―――否、あるはずがないのだ。
けれども魔女となった私に死という概念はなかった。
私は存在する価値がないのに、その存在は永遠にあり続ける。様々な人が病や寿命や事故や戦争や飢えで死んでいるのを私は何度も見てきた。それは人が言うのならば『苦痛』と呼ぶべきだろう。けれども私にはその『苦痛』すら感じることが出来ない。
そんな私は暗い、暗い闇の中で一本のたいまつの光を頼りに彷徨い続けた。
歩いても歩いても歩いても、時折走ってみても、見えるのは闇ばかりだった。

私はその日、夢をみた。失ったはずの記憶の欠片。
私は洗濯機の前にあるエプロン姿のお母さんに抱きついていた。
夢の中のお母さんのは温もりがあった。
勿論、その夢の中の人がお母さんかはわからない。顔も思い出せないんだもの。
けれども私は知っていた。この温もりを。温かさを。
目を覚ました時、私の眼には水分があった。頬を伝ってそれが流れた。
その時私は"シアワセ"という感情の一つを手に入れたんだと思う。
だって私でも泣ける。泣くことができる。
そう思うと、また涙が溢れてきた。


END



>>生徒その三が作った文章


俺は寝惚け眼を擦りながら時計を見た。
時間は午後六時。俺は寂れた村で電気屋をやっている。
今日の仕事は森の外れに住んでいる魔女の家の洗濯機を直すことだ。
お気に入りの帽子を被り、歩とが暗かったのでランプを持っていこうとしたが、生憎壊れていたため、たいまつを手に持つ。
家を出て隣の家のアランさんに
「いい天気ですねー」と挨拶をしていつも通りの道を歩くと
「おい、ベトノイ。今日も起きんの遅い」
などと金物屋のジェスに怒鳴られ、
「ベトノイ、いつも早く起きるようにしなさい」と花屋のユアリーさんに穴君められる。
「これがおれの個性なんです」と答える。

森に入ったのでたいまつに火を灯す。森を十キロ歩いたくらいだろうか、魔女の棲む小屋が見えてきた。森の外れだというのに電線が通っている。税金の無駄だと思っているといつの間にか扉が目の前にあった。ドアノブを掴み扉を開けると
「今、何時だと思っているのよこの寝ぼ助!」
と怒鳴られ、ラリアットをくらった。

物理的ダメージから回復すると問題の洗濯機の修理を始める。
だがしばらくするとおかしな点に気づいた。
「なぁ、お前なんで洗濯機の中がティッシュだらけなんだ?」と質問すると
「枕と間違えてティッシュの箱を入れちゃったのよ」といった答えが返ってきた。
「電子レンジも卵まみれなのは俺の気のせいか?」と問い二。
「ゆで卵を作ろうとして電子レンジを使ったのよ」と答え二。


END


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