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2009.08.30
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カテゴリ: 昆虫(ハチ)




 数日前、庭の奥の方にある柿の木の下を歩いていたら、妙にクルクル回る様な飛び方をする変な虫が居た。良く見ると、長い尾が付いているらしい。一体何者?? やがて建物の壁面に留まった。ハチの1種であった。体長は多分7mm位、長い産卵鞘を持っているので、多分ヒメバチの類であろう。

 留まっているのは高さは2m位の所、一寸撮り難い、と言うか、虫が遠すぎて等倍接写は出来ない。仕方なく、やや離れた位置から撮ったのだが、ストロボの光が気に食わないのか、数枚撮ったらもっと上の方に逃げて行ってしまった。



オナガコバチ科の1種1


オナガコバチ科の1種.産卵管鞘が長い

(写真クリックで拡大表示)

(2009/08/25)

 撮った虫をコムピュータで拡大してビックリ、全身がサファイアの様に青色に輝いている。撮影時には逆光になっていたせいか、全く気が付かなかった。こんなに綺麗なハチならば、降りてくるまでもっと待つのであった。急いで先の場所に戻って探してみた・・・が、残念ながら、後悔先に立たず。

 目で見たときは、かなり大きかったのでヒメバチだと思った。しかし、翅脈を見れば明らかにコバチ類(コバチ上科:翅脈が大幅に退化している)。何分にも横からの写真1枚しかないので、背面がどうなっているか分からず、北隆館の圖鑑に載っている検索表は引けないが、産卵管鞘が長いし、後腿節がかなり太いのでオナガコバチ科の1種の可能性が高い。縁紋脈の形もある種のオナガコバチの1種としておかしくない。しかし、コバチ上科には20近くもの科がある。

 此処まで書いたところで、「Borror & Delong's Introduction to the Study of Insects」の検索表が引き易いことを想い出した。早速それを参照してみると・・・、少し怪しげな(この写真からは判別出来ない)所もあるが、一応オナガコバチ科(Torymidae)に行き着いた。


オナガコバチ科の1種2


上の写真の部分拡大.体は青色に輝き、眼は赤く、脚の先は桃色

(写真クリックで拡大表示)

(2009/08/25)

 この本のオナガコバチ科の解説を読むと、体長は2~4mmとあり、先に書いた「体長は多分7mm」は少し大き過ぎる。しかし、これはあくまで印象に過ぎない。何時もと違い、等倍撮影をしていないので正確な大きさは分からないのである。判断に苦しむが、此処では検索結果を尊重して「オナガコバチ科の1種」とし、「?」は付けないことにした。[その後、同科の Ecdamua nambui である可能性が高いことが分かった。詳しくは追記参照のこと]

 オナガコバチ科の分類はまだかなり問題があるらしい。先の「Study of Insects」には6亜科の名前が出ているが、九州大学の日本産昆虫目録では3亜科、全2亜科としている外国のサイトもある。

 九大目録には42種が載っており、、東京都本土部昆虫目録を見ると10種が記録されている。余り種類数の多い科ではないが、恐らくまだ未記載種がかなりあるのだろう。

 オナガコバチ類の生活史は様々である。虫えいを作るもの、虫えいを作る虫に寄生するもの、種子に寄生するもの、カマキリの卵に寄生するものなど、実に変化に富んでいる。上位分類に諸説あるのも、生活史の多様さと無関係では無いだろう。


[追記]このオナガコバチについては、掲載前にハチ類の掲示板「蜂が好き」に御伺いを立てたのだが、その時は残念ながら有用な情報が得られなかった。しかしその約1年後、私が南方方面に出撃している間に、ハチの研究者として知られている長瀬博彦氏から「写真のオナガコバチは写真で見る限り Ecdamua nambui Kamijo(和名はたぶんついていない)だと思います」とのコメントを賜った。何分にも日本を3ヶ月も離れていたので、新しいコメントが入っていることには全く気が付かず、今日漸くそのコメントに接した次第である。

 九州大学の目録を見ると、 Ecdamua nambui (和名なし)はオナガコバチ科(Torymidae)Toryminae亜科(和名なし)に属し日本では1属1種、北海道と本州に産する。Web上で探してみると、A. Zavada氏の「Notes on Ecdamua nambui (Hymenoptera:Torymidae), with a key to world Ecdamua species」と云う論文が見付かった。これに拠れば、 Ecdamua 属は、世界に5種産し、 E. nambui は当初日本からのみ知られていたが、キエフでも採集されたとのこと。

 この論文には、検索表と E. nambui の詳細な記載が載っているが、本記事の写真1枚からでは判断出来ない特徴が多い。しかし、前伸腹節の中央に小窩の列があるのは E. nambui のみで、写真にはその様なものが見えるので E. nambui である可能性は高いと思う。
 長瀬氏は「写真出見る限り、・・・だと思います」と書かれており断定はされていない。コバチ類には未記載種や未記録種がまだ沢山あると思われるが、同属は世界で5種と少なく、その可能性は低いであろう。其処で、此処では「 E. nambui 」とし、「?」は付けないことにした。
 長瀬氏には貴重なコメントを賜り、深謝申し上げる。(2011/02/02)







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最終更新日  2011.02.05 13:11:23
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