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善信

善信

2005.06.25
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カテゴリ: 道場
開始時刻。前回迄と比べると異常に静かでした。

なんて言いながら稽古を始めます。

まずは、柔軟体操に足の振り上げ。
今日はやけに皆”いい子”です。
よしよし、調子いいぞ、と思いながら、馬歩の練習に移ります。
「えー、また変な恰好するの?」という声がするものの、まだざわつく程度。
「そう、よく覚えているね。その変な恰好だよ。」
飽きると騒ぐということが分かったので、1セットのみにしました。


前回、大騒ぎをしたために、予定の内容が消化できなかったこと。そのために技を教えるところまで進めなかったこと。
だから、今日はしっかり学習しよう、と。

五歩拳の独立穿掌以降が残っていたので、これを消化する予定でした。
動作をひとつ追加し、全員で号令をかけながら数回、その後、各自で練習させます。

その間にこんなことがありました。

空手有段者の少年Aが近づいてきます。
トイレへ行きたいのかと思って持ち受けていると、
少年A「みんな、きびきびとした素早い動きが好きなんです。」
善信「そう?でも、ここは太極拳をすることになっているからね。」
少年A「じゃぁ、太極拳の中から速い技だけやってください。」
善信「…。」


善信「うん、それはそうだね。本当は組手をやりたいと思っているんだけど、技を覚えていなし、この状態では危ないからね…。」
少年A「すごろくでもやって、止まったところでポーズをとるのはどうですか。」
善信「すごろく…!」

絶句しました。
どのように、解釈するべきでしょうか。


「名前なんていうの?」
善信「名前?何の名前?」
少年B「自分の。」
善信「そういう話はあとでね。」
少年B「○○(某道場の師範の名)って知ってる?」
善信「えっ?」
少年B「○○」
善信「どこの?」
少年B「××道場」
善信「う^ん、会ったことあるかもしれないけど。」
少年B「○○先生は六段なんだ。」
善信「あ、そう。」

30分を過ぎた頃から、例によって、あいつが突いたとか言って小競り合いが始まり出しました。

最前列にいる金髪少年のグループがなかなかたちの悪い連中です。
そもそも頭髪や服装の奇抜な奴にろくな人間はいません。少なくとも、自分のこれまでの人生の中では出会ったことはありません。
二列目で真面目にやっている子が、そのグループのメンバーを分けて列の後ろへ下げてくれるように頼んできました。頼まれるまでもなく、金髪ボーイに言いました。
「おまえ、うるさい。真面目にやろうとしている人に迷惑だから後ろへ下がれ。」
すると、金髪少年はあごを突き出してガンを飛ばしながら、
「やだ。」

これ以降もこのグループの態度は変わりませんでしたので、巡回指導に際しては”通過”、その分の時間を先刻の勇気ある少年のところで使うようにしました。

そうこうしているうちに、少林寺拳法を習っている少年(最高学年)がその辺の者に関節技や投げ技をかけて得意になっています。
その彼に近づいて、声をかけます。
善信「ほぅ、関節技が得意なんだ。どれ、かけてみな。」
すんなりと、その誘いに乗り右腕を差し出す少年D。
右手でその手首を握ります。
すかさず、小手投げの技をかけてきます。力の入れ具合から本気のようです。
が、まったく効きません。
うんうん唸りながら力を入れても我方のバランスを崩すことさえ出来ず、ついに諦めました。
善信「じゃあ、こっちならどうかな。」
左手で相手の左手首を掴みます。
先ほどと同じように、やはり効きません。
善信「今度はかけてみおうかなぁ。」
と、言うと右手で我方の左手首を掴んできましたので、送り小手風の技で右方に崩し、彼が左手を着いたところを左膝を使って右脇を攻めます。どの辺までやるか、一瞬、ためらった隙をついて彼は我が技から逃れようとしましたので、小手投げからの固め技に移行、床にねじ伏せます。
周りを取り囲んでことの成り行きを見ていた高学年の子たちはこれでおとなしくなり、口々に驚きの言葉を発します。

今だから明かす黒い過去ですが、自分も十代の頃に学んでいたことがありまして、黒い色の帯まで頂いたことがあります。それゆえに、彼の”宗派”の教義については多少の心得がありますので、それにのっとり、理解を促してみたのです。

後半の時間も終わりに近づいてくると、半数以上が床に寝そべったり、座ったりしていましたが、今日は注意をしませんでした。やる気のない奴に無駄な時間は使いたくないからです。

終了時刻になりました。
整列させて、終わりの言葉を述べていると、数人が勝手に列からはなれ、壁際へ行って帰り支度を始めました。
さすがに、主催者の方がそれを見かねてが、彼らを列に戻しました。
で、最後に言いました。この講座の人気が高く、定員よりも若干多めに人数をとっていること、そして、それでも希望が通らず受講できなかった者がいること、さらに、ここに来ている全員が自らの意思で希望して来たはずであること。
次回から、ちゃんと取り組むように言って解散しました。

今日、帰りに挨拶をして帰ったのは先の勇気ある少年だけでした。でも、今までで一番大きな声で、元気のいい「さようならー!」でした。その一言でどんよりとしていた気持ちが晴れました。

その後、ロビーに出ると何人かがすぐに帰らずに残っていました。
主催者の方がそのうちの一人を指して、覚えがよくまじめにやっているとのことを教えてくれました。
いつも列の後ろのほうにいて他人の陰になっていたのでしょうか、さっぱり印象にない中学年くらいの子でした。
帰っていこうとするその子の背後から、声をかけます。
「名前は?」
「□□××。」
「そうか。がんばれよ。」
その友達が出入口で大きな声で呼んでいて、彼は何も言わずに駆けていってしまいましたが、次回へのなんらかの動機付けになれば幸いです。





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Last updated  2005.06.26 17:25:27
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