ひとひねりで行こう!
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「約束」には七つの物語が収められている。 「青いエグジット」はその二番目。 引きこもりの末、車椅子になった息子。 父親は会社で本社からリストラ研修に出されている。 八方塞の状態で疲れきっている母親。 我儘放題の息子のいうままに、両親は振り回されている。 ある日、一枚のポスターに惹かれ、息子はダイビングをやりたいと言い出す。 左足切断で足が不自由だし、お金もかかるのだが、教えてくれるスクールに出会う。 よいインストラクターにも出会い、息子は少しずつ上達する。 ダイビングの海洋講習後、息子は初めて足の事故について両親に口を開く。 3年間の引きこもりの後の初めての外出での事故。 あれは事故ではなく、自殺だったのだと。 結局死に切れなかったけれど、あの前も後も、息子の日々は死んだと同然だった。 しかし、あのポスターの青い海に出口があるのを見たとき、自分にも出口があるような気がして、ダイビングに惹かれたのだと。 どこの家族も傍目にはよく見えても、多かれ少なかれ色々なことがある。 親も子供も、皆迷ったり苦しむ事があるし、家族だからこそ、相手に激しく感情をぶつけてしまう。 父も母も子供も、皆それぞれ良かれと思って考えたり行動したりする事も、家族だからこそ、空回りしたり返って相手に負担を与えたりする。 他人なら遠慮や気遣いがあるけれど、家族の場合はストレートに出してしまうし、甘えてしまう。 「青いエグジット」の結末も、又甘い、という人があるかもしれない。 でも、家族の愛情のある限り、誰でも自分なりの出口を見つける可能性があるのだと感じさせてくれる。
2004年08月30日
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