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2021.04.01
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カテゴリ: 旅を推理する
旅行記といっても、
私の場合、人との出会いが中心である。
まだまだ、飛行機の中、
太平洋上である。

「フットサルを一生懸命にしている」
驚いた。香里は私と同じ趣味を持っていた。
「シューズを持ってきたので、トロントで仲間を集めてやりたい」
それで一頻り、サッカーの話題で盛り上がる。

千葉に住んでいて、ジェフの試合をよく見に行くらしい。
「巻が W 杯に選ばれたらいいのに」と言っていた。
キリンカップの巻の活躍を見ていると、
私なら 23 人目に入れたい。

サッカーをしているので、「多くの人と騒ぐのが好きですか?」と質問をすると、
「普段は人の中でワイワイしているのが好きだが、必ず一人の時間を欲する。
 その一人の時間はとても大事だ」と答えた。
この考えを聞いて、私は彼女の血液型が O 型だと見抜いた。私と同じなのだ。

さらに、友達との付き合いでも、
「メールでフォローしているのが、だんだんに面倒になる」
人の話はよく聞くが、決してそれに振り回されることはない。
ようは頑固なのだ。これも私と同じだ。

「恋人はいないの」、
なんて下世話なことも聞いてみる。
聞いてから、自分がおじんだと自己嫌悪に陥った。
でも、「それなりの人がいましたよ」と答えてくれる。

外国語専攻だと、ほとんどの学生が留学をする。
恋人ができても、 1 年から 2 年付き合って、別れて日本を出ていく。
「彼との付き合いもそれが前提だったんです」
と香里はさばけた調子で言ってのけた。

待っているとも言われないし、待っていてとも言わない。
「『待っているよ』なんていう男はなぐってやれ」
なんて私は言ったが、
きっと私は『待っているよ』と言う男だろう。

それからしばらく若者の恋愛論を聞くことになる。
「日本の男性はもっと、言うべきだ。
 日本女性はそれを聞きたがっている」
言うべき内容は愛情表現である。

「レディファーストは心地よい。
 韓国の男性は優しい」
隣国の男性は
日本女性に人気らしい。

日本女性が世界で人気があるのに、男性は人気がない。
表に出して表現することをしないからだそうだ。
でも、日本男性の全包囲網の優しさを外国女性が理解できれば、
その人気はうなぎのぼりと思える。

そのような優しさを発揮できるのは日本男性のみである。
日本女性は残念ながら、
そのことに気づいていないのだ。
ほんと?

日本男性はレディファーストを実行できない。
レディファーストの思想は、
女性を見下しているように思えてならないのだ。
他人への優しさは、そうじゃないだろうと思えるのだ。

下世話ついでに、結婚観などを聞いてみた。
すると、
「結婚はしないだろう」
香里はそう私に言い切った。

いつか誰かが歩んだ道だ。
私の友がかつて私に言った言葉だ。
モントリオールで私はまさにその友と会う約束をしている。
この偶然性はいったい何なんだろう。

海外へのあこがれ。
別に結婚はしなくてもいい。
子供を生まなくてもいい。
もちろん、今の私はそれを簡単に否定したりはしない。

私は友のことを香里に教えた。
「女性の友人で、海外で活躍している人がいる。
 はじめ、イギリスに行って、今カナダにいる。
 投資会社の副社長の地位を得てバリバリにがんばっている。

 かつて、あなたと同じ事を言って日本を離れた。
 そして、今も独身だ …… 」
香里は、私の話を聞いて、
即座に「うらやましい」といった。

『成功している女性』のところに反応したのだ。
『今も独身』には、反応していない。
そういうものらしい。
香里にとって、すごいと思えるところは、私の友が世界を駆け回っているところ。

香里もそれが夢だという。
確かに魅力的に見えるのだろう。
それを追い求め、
これから旅立つのだから。

『結婚しないかもしれない』
『子供をうまないかもしれない』
女性は社会に船出するとき、
このような決心をしなければいけないのだろうか?

私は香里に説教めいたことを言いそうになったが、言葉を飲み込んだ。
香里のように、これから何かを求めて旅立つ若人達に、
ロウトルがいつか来た道を口にすることが、いいことなのだろうか?
そうは思えない。

どの道にしろ、その人の人生だ。
私の友も香里もこう言った。
「どうせ一度の人生だから。
 自分のために、自分に何ができるかを追求することが人生だと」

脳的、本能的に人間を紐解けば、
上記の考えは違うのだが、
20 才そこそこの、将来の期待で胸膨らませている若人に
そのことを言うのが正しいのだろうか?

子孫を残すことより楽しいことはたくさんある。
「子供を育てるには金がかかる」
と香里がいう。
自分がたくさんの親の金を使っていることを認識しつつそう答える。

その一方で、
「もし、結婚したら、いつまでも恋人同士の関係でいたい」という。
これについては、
無理だと言っておいた。

女性の脳の仕組みを教えてあげ、
子供ができると、
夫より、子供が大事になることを教えた。
それが自然なのだ。

経済でも語学でも、アカデミックなことは、努力をすれば、手に入れられる。
でも、ヒューマンビーイングに関することは、だめだ。
だいたいにおいて、面倒だから逃げ出してしまい、
その本質が分からないまま終わる事が多い。

私のライフワークは
人間研究だ。
なんだか、最後は
やっぱり説教めいたことを言っていた自分を反省した。

トロントに着いた。
乗り換えの時間が少なかったので、
私は機内で香里に別れを告げた。

入国審査に手間取る。

すでに、乗り継ぎの飛行機の出発時間は過ぎている。
通路を走っている日本人が何人もいる。皆、学会に参加する人たちだろうか。
日本人の流れが学会への道とばかりに、
私は点在する日本人を探してそれを道しるべにして走る。

3 階出発ロビーで対象物を見失った。
しかたなく、係員に尋ねた。
ボディランゲージである。
頭で考えるより何かを叫ぼうである。

時差ボケでちょうどよい。
私は息を切らせて乗り継ぎの飛行機にたどり着いた。

   いや~、15年前、
   20歳の女の子相手に語っていたんだね。
   たぶん、香里の父親に成り代わって
   切実な父親の想いを伝えていたのかもしれない。

   ところで、言葉はその状態ではないところに生まれるのである。
   例えば、『自然』と言う言葉は、自然しかない未開の地にはない言葉だ。
   自然と違う、人工物の都市があって初めて、区別するために
   『自然』という言葉が生まれる。(養老孟司の 『人間とは何だ』から)

   余談だが、
   同じように、未開地には『幸せ』という言葉がなかった。
   これは意味深だ。そこでは、『不幸せ』な状態がないということだ。
   現在人が『不幸せ』な状態を生み出したということか。

   それはともかく、この考えでいくと、
   西洋にある『レディファースト』と言う言葉は、
   そうじゃない状態があったから生まれた。
   つまり、西洋ではレディファーストでない状態が散見されるということだ。

   じゃあ日本ではというと、『女は男の3歩後を歩く』というのがある。
   同じ考えで行くと、3歩前を歩くシーンがままあったということだ?
   これはかつて、小説教室に通っていた時、
   年配の先生に教えて頂いたことだが……。

   本当のような、そうでないような……。
   江戸時代、地方から参勤交代で多くの男が江戸にやってきた。
   そのお陰で、江戸は結婚相手となる女が少なく、
   武士でも商家の娘を嫁に貰っていた。

   一般の家庭でも、かかあ天下で、
   家事も稼ぎも男の仕事で女は何もしなかった。
   女は男の稼ぎが気に入らなければ、すぐに離縁した。
   江戸時代の離婚率は今より高かったらしい。

   三行半は女性から男に出させたものらしい。
   駆け込み寺は、面倒な男を振り払うための施設だったらしい。
   女が強く、前に出ることも多かった。
   だから、『3歩後を歩く』の言葉が出現した。

   明治維新を男たちが必死に頑張ったのは、
   強い女からの脱却だった。とその先生は締めくくった。
   ここまでくると、 SF だね。
   いや~今、こんなことを書くと思いっきり叩かれると思われる。

   他の方のブログを読んでいると、色々なことが書かれています。
   『レディファースト』は先に女性を部屋に入らせて危険を察知させたなごり。
   『3歩後を歩く』は切りかかられたときに女を守るため。
   などなど。

   もし、『レディファースト』が上記の名残なら、その言葉を使わないよね。
   『3歩後を歩く』も江戸時代に刺客に襲われるシーンってどれほどあるの?だね。
   いずれにしても、日本人に『レディファースト』は似合わないし、
   『3歩後を歩く』ではなく、横を歩いたほうが楽しい。その時は歩道側が婦女子。

余談だが、機内の夜食にカップヌードルがだされた。
それもお湯を入れてからずいぶん時間が経っていて、
麺が伸び切っているやつだ。
しかし、カナダ人には思いのほか売れ行きがよかった。

不思議だ。つづく。

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最終更新日  2021.04.01 12:54:25
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