韓流&相棒&水谷豊大好き!!!

韓流&相棒&水谷豊大好き!!!

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

花梨0714

花梨0714

カレンダー

コメント新着

素敵な出会い@ 素敵な出会い http://ran96.net/ranking/sefrie/html/…
どぴゅ@ みんなホントにオナ鑑だけなの? 相互オナって約束だったけど、いざとなる…
ドライブ好き@ 風呂入るのメンドクサイ! http://feti.findeath.net/icyk9-p/ 今日…
もじゃもじゃ君@ 短小ち○こに興奮しすぎ(ワラ 優子ちゃんたら急に人気無い所で車を停め…

フリーページ

2009年04月20日
XML


警視庁の記者クラブにつめて、事件報道を手がけている。

根っからのジャーナリストだと自負していた。

大学時代から新聞部に所属し、世の中の不正を暴く仕事に憧れてきた。

正義感と行動力には自信がある。

社会部は自分から手を挙げた職場だった。

それはそうなのだが、実際に社会部に配属が決まったときには、偶然のいたずらに驚いた。

大学時代からの交際相手の亀山薫が本庁の刑事だったからだ。

記者クラブにつめていれば、ときには顔を合わすこともある。

薫とはいまも同棲生活を営む仲なのだ。

もともとスポーツ特待生で大学の野球部に所属していた薫を、新聞部の美和子が取材したのがなれそめだった。

気さくで人のよい薫とはすぐに意気投合し、やがて交際するようになったが、将来をこの相手に託すということまでは考えていない。

一緒にいて安心できるパートナー、それが美和子にとっての薫の位置づけだった。

薫は最近、刑事部の捜査一課から生活安全部の特命係へ異動させられ、持ち前の元気をなくしていた。

美和子はそれが気がかりであった。

もうひとつの気がかりは、きょうの金子警部の応対だった。

荻窪でなにか事件があったらしいと探りを入れただけなのに、けんもほろろに追い返されたのだ。

―――この事件には首を突っ込まないほうがいい。亀山のためにも。

あの台詞はどういう意味だろう。

ふたりが交際している事実は隠していないので、金子が知っていても不思議ではない。

しかし、「亀山のためにも」とは意味がわからない。

美和子がひと足先に世田谷のマンションに戻って考え込んでいると、薫が疲れた顔をして帰ってきた。

悩みといらいらがないまぜになったような不機嫌な表情のパートナーに、美和子は鎌をかけた。

「薫ちゃん、荻窪のアパートでなにかあったの?」

「耳が早いな。どうしてそれを知っているんだ?」

「住民から社にタレコミがあったのよ。荻窪のとあるアパートの周りをたくさんの警官がうろうろとしていて、血だらけの遺体が運び出されたって。それなのに、所轄署に捜査本部が設置されているわけでもない。どういうことなのかしら。金子係長をつついても、この件には首を突っ込むなって」

「知らないな。それよりメシにしない?」

ふだんは口の軽い薫がわざと無視している。

女の勘が働いた。

「薫ちゃん、この事件にかかわっているんじゃないでしょうね?」

「どうして、わかった?」

すぐに尻尾を出す単純さが薫の美点のひとつである。

美和子は一気に攻め込む決心をした。

「薫ちゃん、ゆうべ、この部屋に帰ってこなかったよね。なにかあったの、ちゃんと説明してちょうだい」

元来防御には弱いと自覚している薫は、ここは正直に話そうと決めた。

それに、たとえこの場を取り繕ったとしても、記者クラブに通っている美和子が事件を知るのは時間の問題だと思ったからだ。

「伊丹の野郎、おれを容疑者扱いしやがってさ。凶器の果物ナイフにおれの指紋がついていたからだって。凶器にそんな証拠を残しておいて、事件の通報なんかするはずないじゃないか。案の定、女の容疑者が見つかったらしく、無罪放免、釈放されたわけだけどよ」

長い釈明を終えて、薫が顔を上げると美和子の表情がこわばっていた。

「つまりその女に誘われて、鼻の下伸ばして部屋までほいほいついていったわけね」

「伊丹と同じようなこと言うなよ。誤解だって。なんにもしてないって」

その言い訳が、美和子の怒りの炎に油を注ぐ結果になった。

平手で力いっぱい薫の頬をはたき、

「なにもしなければ、部屋に上がり込んでもいいんだ。しかも殺人事件にまで巻き込まれて、みっともないにもほどがあるわ。人質にされるわ、捜査一課からは左遷されるわ、そのうえ今度は……」

薫は左の頬を押さえながら、

「はめられたんだよ。信じてくれよ」

「わかった、あたし出ていく」

「おい、なにを言いだすんだよ」

「結婚もしていない男と女が、ずるずると同じ部屋で暮らしているのがきっとよくないのよ。出ていく」

美和子はそう言うと、クローゼットから旅行カバンを取り出し、衣装を詰め込みはじめた。

「おい、本気か?待ってくれよ。ねえ、メシにしよう。今夜はおれが作るから」

薫がなだめても効果はなく、美和子は荷造りの手を休める気配がない。

パフォーマンスに過ぎないだろうとたかをくくっていた薫も、この事態は笑い事では済まされないと気づき、大いに慌てた。

なんとかせねばならぬと思う。

「じゃあ、結婚しよう」

「あたしをおちょくってるの?」

「だって、結婚もしていない男女ってことが問題なら、結婚すればいいわけだろ?」

憤りをこめた視線を思慮の浅いパートナーに浴びせて、

「ちょっと、状況をわきまえてからプロポーズしなさいよ。そんな調子だから、まんまとはめられるのよ」

美和子はそう吐き捨てると、寝室に逃げ込んだ。

そのまま、室内からドアにロックをかけた。

むしゃくしゃした気分が収まらない。

部屋に飾ってあったガラス製の写真立てをフローリングの床に叩きつける。

ガシャンと大きな音がして、ふたりの思い出の写真にひびが入った。

怒りのヴォルテージが少し下がり、心の隙間に悲しい気持ちが侵入してきた。

「美和子、開けてくれよ。おれは松原を殺しちゃいないし、女ともやってない。神に誓って潔白だ」

ドアの外では薫がおずおずと申し立てていた。

はめられたというのはおそらく本当なのだろう。

薫は嘘がヘタなので、自分を騙そうとしていないことはわかる。

だからと言って、自分をこんなにみじめな気持ちにさせた相手をすぐに許すつもりはない。

知らぬ間に涙が出ている。

1枚のドアを隔てて、申し開きとすすり泣き。

マンションはいまや殺伐としてよそよそしい空気に支配されていた。

そんな冷えきった空間に携帯電話の着信音が響いた。

薫の上着の中からだった。

薫が携帯電話を取り出すと、着信欄には「杉下右京」という表示があった。

どこまでいじわるな上司なのかと怒りがこみ上げてくる。

舌打ちしながら電話に出て、

「すみません、ただいま取り込んでいるんで、あとにしていただけませんか」

しかし、右京は部下の窮状などお構いなしに、

「たったいま、重要参考人が連行されました。髪の長い女ですよ」

薫はあくまで刑事だった。

「え、すぐに行きます」

電話を切ると、ドアの向こうの美和子に「待ってろよ」と声をかけて、マンションから飛び出していった。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2009年04月20日 00時59分00秒
コメントを書く
[相棒ストーリー部屋] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: