2007.02.24
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「ん・・・」
部屋を香しいコーヒーの匂いが包んでいる。その匂いで目を覚ました莉和(りお)は、大きなあくびを一つすると、ベッドから飛び起きた。
あれから2年、肩までしかなかった髪が今では背中の中程まで伸びている。
外見は対して変化してはいないけど。
明るい茶色の髪を、二つに結って、寝間着から普段着に着替える。そうしないと、あの人が煩いから。
自室から出て、真っ直ぐに進んだ廊下の突き当たり。
そこに、彼女の雇い主であり、友人の仕事部屋があった。白を基調とする部屋はいつも片付いているのだけれど・・・。
「ぎゃーーーーー!!!」
叫んでしまうくらいに部屋の中は汚れていた。それはもう、普段の面影すら無くしてしまうくらいに、薄茶色に染まっていた。

「咲埜(さくの)!今度は何したの?!」
「あ、おはよう」
この状況を感じさせない柔和な笑顔を浮かべて、咲埜は言った。
彼女、咲埜は相当な世間知らずだ。莉和が目を離した隙に、とんでもない事をしでかしてくれる。
付き合ってきて何度、迷惑を被ったことか・・・。
少し考え込んでいた莉和の視界に、透明な丸い物が入ってきた。
そして、頭が痛くなった。
「あのね、コーヒー飲みたくて・・・。で、でも作り方が分からなくって。試しにコンロにかけたら・・・」
一回口をつぐんで、再び話し出す。その手に、コーヒーメイカーを抱えて。
「ぼん!て・・・。あ・・・の、その・・・。ご、ごめ「いいよ。でも次から気をつけてね?」
咲埜の言葉を遮って莉和は言う。その声は優しくて・・・。

それしか言葉が出なかった。
「じゃ、業者とかに、連絡頼んだから」
小さく頷いて咲埜はキッチンから出て行った。
それを視界の端に確認して、莉和は内心うなだれた。
(これ・・・高かったのに、な)

片付けながら、複雑な思いになる。
咲埜に怪我がなくて良かった。
だけど、大事な想い出がなくなるのは哀しい。
あと、どのくらい同じ気持ちを味わえばいいんだろう。
小さく口の中で呟くと、用意したポリ袋にコーヒーメイカーを放り投げた。
がちゃん・・・!
コーヒーメイカーは、機械音だけ残すと、その機能を失ったただの、ゴミとなった。
「・・・あ!」
遠くで、咲埜の声がした。
























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最終更新日  2007.02.24 20:22:31
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