お客様がマンションを購入されるというので売買契約に立ち会ってきました。立ち会うと言っても、すでに契約書や重要事項説明書は事前にチェックしてあるので、私にとっては「用心棒」みたいに、ただ同席しているだけですが。
昨日の買主様は、会社の社長様で大変しっかりされた方です。重要事項説明書は法に則り宅建主任者である仲介会社の社長さんが説明されたのですが、売買契約書は主任者ではない営業担当者が読みました。
この担当者、業界入社まだ半年なので、ところどころ間違ったり詰まったりして契約書を読むので、次第に買主様の顔がこわばってくるのがわかります。
契約終了後、「途中で読まなくていいわよ!と言いそうになった。」と笑っておられました。
こちらは、すでに書類に目を通して臨んでいるので、読み合わせなどしなくても理解しているのですが、一応形式上お付き合いをしているわけです。
売買契約という儀式は、最低限完全無欠で正確・丁寧に行なわれなければならないと思いますが、一方で祝い事でもあるわけですから、粛々と厳かに、また明るく楽しく取り行なわれなければならないとも思います。
そういう点から言えば、読み間違いや詰まりはふさわしくありません。神主が祝詞を読み間違えるようなものです。
こう考えると、自分も含め売買契約の場が清々しく取り仕切られていることは少ないなぁと反省するわけです。
契約さえきちんとできれば、そんなことどうだって良いではないかとおっしゃる方もありましょうが、何百件も契約をしてきた身で言えば、そういう視点でも持って立ち会っていないと退屈で仕方がないのです。
ちなみに「遵守」は「じゅんしゅ」と読みます。「そんしゅ」と読む人が多い。「貼付」は「ちょうふ」と読み、「てんぷ」ではありません。漢字くらいちゃんと読まないと教養を疑われますよ。昨日の買主様は、そこそこの地位にあれらる方ですから、お見通しでした。