Horse Rainbow 17


Horse Rainbow Vol.17 
「Forever Jun-ichiro~岡潤一郎物語 Ⅳ~
届かなかった夢。でも、感謝の気持ちでイッパイ」



今年の2月に紹介した Horse Rainbow 09
(あれから10年 あの日止まった時計が また動き出す)
5月に紹介した Horse Rainbow 11
(いつか見た夢、いつも願っていた願い、そして。。。)
10月に紹介した Horse Rainbow 16
(桑園での奇跡、仁川での成長、淀での約束)
今回は、その続編になります。
ついに、4作目に突入です。


11月16日、京都競馬場でエリザベス女王杯(GⅠ)が行われました。
エリザベス女王杯と言えば、12年前に、岡潤一郎騎手がリンデンリリーと共に、唯一のGⅠ制覇を果たした舞台でもあります。
あの時と違うのは。。。3歳女王決定戦ではなく、最強牝馬決定戦になっていること。
7年ほど前、レース体系の変更により、このエリザベス女王杯が古馬にも解放されました。
それで、出来たレースが秋華賞(GⅠ)。
3歳牝馬にとっては、秋華賞→エリザベス女王杯 と、GⅠレースを連戦することになります。
なので、今まで3歳馬がここで連対したことはわずか2頭だけ。
爆発的な末脚を持っているローズバド(2着)。
昨年無敗で連勝していったファインモーション(1着)。
今年は、3歳馬中心の女王杯になりました。

一応、予想は掲載しておきましょう。


<日曜京都11R:エリザベス女王杯(GⅠ:芝外2200m)>
京都のメインは、秋の最強牝馬決定戦。頭数は15頭。
移ろいやすきは、女こころと秋の空。
今年の天気も、レースも、やっぱり翻弄されるんですかね?

注目は、4冠達成を目指すスティルインラブ(3枠5番)です。
史上初の年間牝馬4冠を目指します。
さて、よくよく考えてみましょう。
このレース。3歳牝馬が連対したのはわずか2頭。
牡馬相手に善戦していた牝馬、もしくは古馬牝馬相手に善戦していた牝馬です。
スティルインラブはと。。。あ、条件に合致しない。
能力は認めて△は打ちますが、4冠達成は難しいと判断します。

もう1頭の注目は、雪辱に燃えるアドマイヤグルーヴ(4枠7番)です。
相変わらず、この馬は出遅れの懸念があります。
しかも、前走はあの競馬で敗戦。
スティルインラブの壁は、相当この馬には高いんでしょうね。
やはり、スティルインラブより重い印は付けられません。

古馬を代表する牝馬はレディパステル(2枠3番)。
ただ、この馬。先週まで出否未定でしたからね。
府中牝馬S(GⅢ)快勝後、何と捻挫で1週間運動できず。
その反動は、今回、確実に出ると思います。
人気でも苦しいぞ。。。今回は。

GⅠ初制覇の悲願に燃えているのは、ローズバド(8枠15番)。
2走前のマーメイドS(GⅢ)で、復活の勝利をあげました。
前走の府中牝馬Sは2着。
このメンバーで、末脚爆発の可能性は十分あります。
ただ、鞍上が不安。。。
最近、惜敗続きの横山典弘騎手ですからね。
2着まででしょう。あくまで▲まで。

さて、今年の春から散々言い続けてる事。
ついに、この言葉も、最後になるのかもしれません。
そう、やはり今年は、「ジュンペー馬券」抜きには、牝馬戦線は語れません。

◎はここで悲願達成!オースミハルカ(2枠2番)です。
前走の秋華賞(GⅠ)は、スタート直前に大ハプニング。
スタート直前にゲート飛び出しちゃ、ダメでしょ。。。
でも、そのハプニングにも負けず、6着に頑張りましたからね。
しかも、京都は明け方くらいまで雨の可能性も。
この馬、少し時計がかかる方がいい馬です。
安藤調教師も、川島信二騎手も、距離延長には不安顔。
でも。。。悲願を達成できる下地は揃ってます。
今回、何と11番人気と人気薄。
奇跡は、晩秋の京都に見えた!

○は史上初の母子制覇に燃える。ヤマカツリリー(5枠8番)です。
母リンデンリリーは、12年前のエリザベス女王杯の覇者ですね。
前走の秋華賞は、粘っこいレースをして3着。
常に上位を賑わせてきた安定感は、ここでは不気味です。
まさしく、この舞台で血が騒ぐ!

押さえで、外国馬のアナマリー(1枠1番)。
超大穴狙いでトーワトレジャー(7枠12番)。
この2頭を入れておきましょう。

おさらいです。
◎オースミハルカ
○ヤマカツリリー
▲ローズバド
△スティルインラブ
×アナマリー
×トーワトレジャー
(3連複) 2-8総流し
(馬 単) 2=8 2=15 2=5 1=2 2=12
(馬 複) 2総流し


スタート直後、予想通りスマイルトゥモローが逃げる。
メイショウバトラーが2番手。オースミハルカは3番手。
前回のようにハルカはゲートを飛び出すこともなく好スタート。
ヤマカツリリーは離された4番手を追走。
有力どころは後方待機という展開になりました。

残り1200m(スタートから1000m)を通過。57.5秒。やはり速い。
しかも、ここでメイショウバトラーがスマイルトゥモローを捕まえに行く。
明らかに速いペースでなおさら先行馬には苦しい展開にしてしまう。

残り800m。オースミハルカの手がやはり動き出す。
ヤマカツリリーは持ったまんまで4番手追走。
後ろを見ると。。。3冠馬スティルインラブが内。アドマイヤグルーヴが外。
ここで、勝負の分かれ目がありました。
「あ、スティルインラブ、ここで内に入れちゃ、ツライな。。。」

京都の坂を越えて、4コーナー直前。
外から、オースミハルカが先頭に並びかける。
「え?まさか???」
あの時の、12年前のエリザベス女王杯のレースが、一瞬頭によぎる。
内のスマイルトゥモロー・メイショウバトラーは確実に止まっている。
ヤマカツリリー・トーワトレジャーが離れた4番手争い。
後方からはまだ来る気配がない。
「え???」
戸惑いながら、直線の攻防へ。

しかし、やはりハイペースで引っ張られた影響は、モロに感じた。
外からの伸び脚が、全然違う。
気がつけば、外からスティルインラブ・アドマイヤグルーヴの2頭が猛追・・・。
オースミハルカに、粘れる脚は、もう残っていなかった。。。

結局、アドマイヤグルーヴとスティルインラブは並んでゴール。
内をすくったタイガーテイルが3着。
古馬代表レディパステルとローズバドが4着争い。
ヤマカツリリーは6着、オースミハルカは9着に敗れた。

着順だけを見たら、悲観しなければいけない結果なのかもしれない。
でも、着差を見たとき、思えることがあった。
「2頭とも、大善戦じゃないか。」
ヤマカツリリーはコンマ5秒。オースミハルカはコンマ6秒。
あれだけハイペースで引っ張られたレースで、これだけ残してるのなら、頑張ったと言えるんじゃないだろうか。

結果だけを見たら、届かなかった夢。願い。希望。
でも、今のよしきは、感謝の気持ちでいっぱいです。

15年前
タマモクロスとオグリキャップの天皇賞で、純粋に馬がキレイということで見始めた競馬。
12年前
大好きだったリンデンリリーと岡潤一郎騎手のGⅠ初勝利に、涙した時期。
10年前
岡潤一郎騎手の事故死で、一時競馬のことを止めかけた時期。
8年前
大好きだったライスシャワーが予後不良になり、ホントに競馬が嫌になった時期。
それから、「馬を追っかけない」・「騎手を追っかけない」。
競馬を、「徹底したギャンブル」と割り切るよしきがいた。
5年前。
ウソから出た真実、サイレンススズカの予後不良。
「1着か予後不良でしょ。」と、レース前に
「予後不良なんてありえない」と思って、言いまくっていたよしき。
内心は平静を装っていたけれども、さすがに動揺させられた。
2年前。
マンハッタンカフェの出現に、「この馬はライスシャワーの再来だ。」と思い出した時期。
1年前。
大好きだったマンハッタンカフェの突然の故障・引退に、落胆させられた時期。
リンデンリリーの子供、ヤマカツリリーの活躍に、心躍らせた時期。
そして、今年。
岡潤一郎騎手の後継者として活躍する川島信二騎手に、一目をおくようになった時期。

確かに、ギャンブルと完全に割り切れば、それはそれで楽しかったりもする。
でも、その後ろにあるロマン・夢・願い。
心の中にあるアツイものを、よしきは置き忘れていったのかもしれない。
12年前に見た、あの光景。
「岡潤一郎とリンデンリリー、夢にまで見たGⅠ初制覇!」
今でも、目を閉じれば、あの実況とレースの写真が浮かんでくる。

あの武豊騎手でさえ、仕事と割り切ってレースには乗ってない部分はあるだろう。
自分が乗っていた馬の子供に、また自分が騎乗する。そして、GⅠを勝つ。
そこには、時を越えた1つの魅力がある。
トウカイテイオーと岡部騎手のときも、そんな感じがした。
ジャパンカップを勝ったとき、純粋に喜んでいた姿。
あの姿は、そうそう見られるもんじゃない。

もう少し、競馬に夢を抱いてもいいのかもしれない。。。
そんなことを教えられた2003年 GⅠシーズン。
確かに、今年のGⅠシリーズは連敗が続いている。
でも、毎レース毎レース、何かしらの感謝があった。
そこには、昨年の今頃の絶好調期とは違う、何かが。

今だから言える。「ありがとう。」と。


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