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エッセイ、及びおもしろ時事談。

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何かを話し出すときに、必ず「あの~ね、もしもし」と話すことへの許可を貰うようにこの言葉が出て来る。
これは、昭和の30年代の初めの頃のことだと言う。
中学時代に、あるちょっと変な女の児が同級生の中にいたそうである。

何でも、背も男 ( まさ ) りに高くしかもどこと無く肩幅もガッシリとした雰囲気で、何となく男っぽい感じのする女学生だったと記憶しているそうだ。

中学の運動会などでは、女性ではこの女の子には勝つ選手はいなく、遂には東北大会にも出場するという、村始まって以来の大戦果を遂げた女の子だったそうだ。どういう訳か、彼女の場合は保健室が変わっていたと言う。

確かに、男子用と女子用との二つになってはいたが、そのどちらにも組しない保健室があったような気がするそうだ。「それがの、何を意味するのかの、その当時はまだ幼かったこともありの、あまり深く考えなかったんじゃ。

卒業してズーッと後になっての、そうらしいと言うことを風の便りで知ったんじゃ」。「何をかね?」と、元デカ(刑事)のチョビ髭さんが怪訝な目をして尋ねる。

「何をってな、つまり誰の子かと言う事との、性別がどっちかと言うことさ」。「なにーっ、誰の子に金玉か割れ目かだと~?」と、チョビさんが目ん玉を丸くした。

「そうなんじゃよ、その前にの、問題があったんじゃよ。夜這い相手が誰かと言うな、それが後で知ってビックリこえたワイナ。

誰だと思う?」と、もしもしの爺さんが興味をそそるような風に言う。「誰ってそりゃ、家族以外の男だろうさ、なぁ浅やん?」と、チョビさん。

「まぁ大抵はね」と、浅倉さんが何の疑問も無いように応じた。「と思うだろ、あんた方は?」と、どうももう一捻りあるような話し振りである。

「なんだと、おいおい、まさかがあるんじゃねぇだろうな、爺さん?」と、チョビさんがいぶかるように言う。「夜這いと言うのは、普通は他人様の家に忍び込んでこそ夜這いだ。

ところがの、この子の家庭ではの、早くに旦那の奥さんがの、死んでいないんじゃワ。そんなもんでな、未だ44,5のこの親父がの、年端もない16,7の娘を手なずけたんじゃよ」。

「いいじゃねぇの、若いほどさ」と、チョビさん。
「まぁな、その若いのもいいがさ、もし仮によ 自分の娘 だったならどう思う?」。
「な、なんじゃと、そ、そんなバカなことがあってたまるかってんだー 」と、チョビさんが後ろにひっくり返りそうになった。
」と、浅やんも呆れた顔で言う。
「マジもクソもあるかいな、事実は世の中に一つしかねぇさ。
時たまの、親娘二人だけの家族じゃった。
しょうがねぇから、近くにあったから使ったまでのことよ。

まぁ、親子 ( どんぶり ) と言うのかな」。

「う~ん」とこの二人が、顔を見合わせながら言いようのない様子で天を仰ぐ仕種をした。「まぁな、自分で蒔いて自分で刈り取ると言う自然の生活よの、な?」。

「なんじゃとー、米や野菜じゃあるめぇし、いくらなんでも体だぜ、なぁ、おい?」と、チョビさんが誰に質問するようでもなく吐露気味に言う。「それで、頭の方はイカレて生まれなかったのかな、その子?」。

「それがな、とんでもなく優秀な子だったんじゃよ。よく言うじゃねぇか、こう言う場合は相当バカな子か優秀な子かに別れるってな、それが近親セックスの結果だとな」。

「それでさ、無事に卒業はしたんだ?」と、私。
「それなんだがな、そりゃーなんたって成績はいいやら運動神経も優秀なもんだからな、特等生として高校へ受験無しで中学では推薦したわな。
ところがよ、これを断って都会に出て行ってしまった訳よ。
それがの、今度の第5回目の同級会のときによ、47、8年ぶりに現れたのよ」。
「じゃーなんであれ、懐かしかっただろうねぇ、さすがに?」と、浅やん。
「それなんじゃよ、 見たことも会ったこともねぇ人間が我々の席にいたんだぜ

何となくあるいはなぁとよ、思い浮かべてみたんじゃがどうも思いだせないんじゃよ。

それでいてよ、頭の隅のどっかに引っ掛かるんじゃよ。それでの、幹事に聞いて見たんじゃ、ビックリこいたぜ、なんと誰だと思う?」。

「そりゃー当然、その優秀児だろうがさ、な?」と、チョビさん。 「男だぜ、おとこ、な?」と、爺さん。

「なにっ、おとこ?・・・・・・、 女だろうが?」 と、私。
「なんとよ、女が男に化けて来たんだよ、それが?

今で言うところのさ、オカマいや、性同一性障害とか言う奴かな、それだったんじゃよ、まったくビックリしたなぁー、これには」。一同も、一瞬言葉を失った。

恰幅のいい体に眼鏡を掛け、光沢のある顔に年齢以上に若い姿であったという。今度この席に参上したのは、本来祖父に当たる筈だった父親と母の墓を作るために故郷に錦を飾ったのである。

寺に安置して放って置いた遺骨を、新しい墓所を買い取りもう墓石まで建てたと言うことだった。今までに小さい会社であつたが、それを経営しながら三人の子供をも世に送り出したと言う。

ヒマ人になり、そこで何としても世にハミ出した両親をもう一度いたわり、その苦労に感謝したく敢えて恥を晒しながらこの懐かしい席に、恥を忍んで出席させて頂いたと言うご立派な理念であった。「これにはよ、さすがに過去を言う奴はいなかったな。

反対に、見直さんにゃならんことになった訳よ。長いこと人間をしているとよ、どんな結果をもたらしているかは解らんもんじゃよ、のう」と、爺さんが回顧しながら盃を舐めた。

どうなることやらと、話しの行く末に興味とその風聞の面白さを期待していたが、この結果を聞いて我々も感動させられたお話しであった。

「逃げた里 月日が迎えた 錦旗」。









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Last updated  2013.11.14 19:53:06
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